イーロン・マスク
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- イーロン・マスクの伝記を執筆したウォルター・アイザックソンは、マスクによるツイッター(現在のX)買収は「狂気の沙汰」だったとフィナンシャル・タイムズに語っている。
- それは、マスクに「共感性が欠けている」からだとしている。
- さらにマスクは、人間の感情に基づく広告媒体であるツイッターを、ハイテク企業だと勘違いしていたという。
他人の感情を理解できないイーロン・マスク(Elon Musk)がツイッター(Twitter、現在のX)を買収したことは「狂気の沙汰」だった。彼の伝記を執筆した作家はそう考えていると、フィナンシャル・タイムズ(FT)に語った。
タイムの元編集長で伝記作家のウォルター・アイザックソン(Walter Isaacson)は、2023年9月12日に発売された著書『イーロン・マスク』についてのインタビューに応じ、マスクが440億ドルをツイッターに投じたのは、スペースX(SpaceX)やテスラ(Tesla)といった他の会社での成功に飽きたからだとFTに語っている。
「すべてがうまくいっていると、マスクは居心地が悪くなる。彼は調子のいい状態が好きではない。ドラマチックなことを求めているんだ」
宇宙植民地化といった大きなゴールの実現に向けて、マスクがXで過ごす時間を減らそうとしていたことや、彼がAIの進化を恐れていたことなども、伝記に記されている。
「もっとリッチになりたいというわけではない」とマスクはアイザックソンに語ったという。
マスクがツイッターを買収すると聞いたとき、アイザックソンは彼の伝記作家を務めるのは「大変な試練」になると感じたとFTに語っている。
「狂気の沙汰だと思った。マスクには共感性が欠けているため、ツイッターには向いていなかった」
これについては、伝記でさらに詳しく書かれており、ツイッターは実際には人間の感情や関係性に基づく広告媒体だが、マスクは「テクノロジー企業」だと考えていたという。
マスクによる買収以降、広告主は大挙してXを去った。彼はそれを「活動家グループ」のせいにしているが、広告主はマスクの予測不可能な行動を懸念しているようだ。
また、マスクはXの社員に週80時間労働を要求したり、自分を批判する社員や自分のジョークが嫌いな社員を解雇したりしている。このようなマネジメントに、彼が駆け引き上手なCEOではないことが表れている。
マスクとの間に3人の子どもがいるミュージシャンのグライムス(Grimes)がアイザックソンに語ったところによると、マスクの共感性の欠如は、彼がアスペルガー症候群であることと関係があるのだろうという。
「彼は場の空気を読むのがうまくない。彼の感情的な理解力は、普通の人間とはまったく違う」
InsiderはXにコメントを求めたが、回答は得られていない。