20代は、iDeCoをやってはいけないのか? 運用前に確認しておきたい3つのポイント

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  • 最近では、20代から老後資金づくりをはじめる人が増えている。若いうちから始めれば複利を味方にでき、それだけ有利になるからだ。
  • だが、月100円から始められるNISAはともかく、「iDeCoは20代からやってはいけない」という意見も目立つ。
  • その根拠は、60歳まで原則「現金化」できない、最低月5000円以上は必要になる、20代のうちは「自己投資」も大切、という3つだ。

最近では、20代から老後資金づくりをはじめる人が増えています。たとえ少額であっても、若いうちから始めれば複利を味方にでき、それだけ有利になるからです。

その力強いパートナーのひとつが、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)でしょう。しかし、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)はともかく、「iDeCoは20代からやってはいけない」という意見も目立ちます。それは、なぜでしょうか?

本記事では、20代の人がiDeCoを始める前に、確認しておくべき3つのポイントについて解説していきます。

そもそもiDeCoとは?

まず、iDeCoとは何か、簡単に振り返っておきましょう。そもそもiDeCoとは、老後資金形成のために設けられた、国による私的年金制度のことです。

iDeCoによって得られる、税制面での大きなメリットは、以下2つ。

  • 積み立てた金額が全額所得控除となり、その分の所得税や住民税が軽くなる
  • 利益が出ても約20%の税金がかからない

特に最初の1つは、収入が高ければ高い人ほど、メリットが大きくなります。ただし、勤務先における年末調整や確定申告は必要です。

投資先の商品は、投資信託や定期預金、保険などがあり、自分で選択可能。どれを選ぶかで、最終的に利益の差が数百万円に及ぶということもありえます。

では、20代でもiDeCoをやるべきか、3つのポイントを確認していきましょう!

1. 60歳まで原則「現金化」できない

iDeCoは、老後資金づくりが目的のため、原則60歳まで現金として引き出すことができません。そのため、20代のうちから大きな金額をiDeCoに入れてしまうと、せっかく資産が出来ても、60歳まではそれを使えないのです。

20代から60歳までは40年近くもあり、ライフプランが固まっていないケースが多いはず。その間、どんな場面でお金が必要になるかわからないものです。

結婚や出産、子育て、住宅購入、その他転職や留学など、何かの際に「あのお金があれば……」と思うタイミングが発生するかもしれません。その際に、他に貯蓄がなければ、それらをあきらめるか、予算を下げるか、金利の高いローンを組まざるを得ないのです。そうなったら、大変もったいないですよね。

ですので、20代でiDeCoを始めるには、慎重になる必要があるのです。

2. 最低月5000円以上は必要になる

通常の投資信託を積み立てる場合、いまはネット証券などで月100円などの超少額から始められる時代。ところが、iDeCoの場合は、最低の積立金額が月5000円と、少々高めです。

さらに、iDeCoを始めると、積み立てをしている間は、手数料として月171円を支払う必要が出てきます。これは、NISAや一般的な課税口座で、同じ投資信託を積み立てる場合は不要なお金です。

月5000円から、この171円の手数料を差し引いて投資すると、プラス幅が小さくなるか、場合によってはマイナスになるかもしれません。これを“手数料負け”と言います。

この状態を避けるには、例えば月1万円以上など、多めの金額で積み立てることで、手数料の割合を小さくしたいところです。なので、iDeCoを始めるなら、それが可能な家計の状況になってからが望ましいと、筆者は考えています。

3. 20代のうちは「自己投資」も大切

30代以降に比べると、20代は体力も気力もみなぎっている時期です。そのため、仕事に関する能力を高めたり、新たな学びを始めたりすることで、30代以降の飛躍に大きく影響を与える時期とも言えるでしょう。

その際に、iDeCoへ仮に月1万円を拠出して、「自己投資のお金が出せないから何もしない……」なんていうことになれば、大変な機会損失です。20代の自己投資は、自分をパワーアップさせて、その後の長い人生における収入アップにつながる可能性が高いからです。

iDeCoを検討する場合は、ぜひ自己投資へのお金も確保できるかを確認しておきたいですね。

逆に20代でもiDeCoを始めるべき人は?

とはいえ、iDeCoの掛け金が全額所得控除になるメリットは非常に魅力です。 これまで述べてきた内容を考慮に入れて、20代でもiDeCoをやった方がいい人もいます。以下にそのポイントをまとめておきましょう。

  • 年収が高い人(全額所得控除による節税メリットが大きくなるため)
  • ある程度ライフプランの見通しが立っていて、貯蓄プランが立てられそうな人
  • 月1万円以上積み立てができ、60歳まで現金化しなくて大丈夫な人
  • 自己投資への資金も余分にある人

逆に、この条件がそろっていない20代の人は、「始める時期がまだ来ていない」と認識された方がいいかも。それなら、iDeCo ではなくNISAを活用して、少額で投資をしていくのがおすすめです。

NISAなら、60歳などの年齢に関係なく、いつでも売却して現金として引き出すことができますし、月171円の手数料が不要です。また、利益が出ても約20%の税金がかからないメリットは、iDeCoと同じ。ライフプランがまだ確定していない頃合いなら、融通のききやすいNISAにしておくのが望ましいでしょう。

iDeCoは、老後資金づくりが目的であるため、良くも悪くも「60歳まで現金化できないこと」をしっかり心にとめておきましょう。そのうえで、上記のポイントを確認しながら検討してみてください。

※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。

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