国立科学博物館のミュージアムショップには、科学のワクワクと暮らしの知恵が詰まっていた

日本最大級の科学博物館、国立科学博物館(以下、科博)が先日、運営費捻出のためにクラウドファンディングを開始し話題になった。

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撮影:野口羊

集まった金額は9月29日時点で7億7000万円となり、科博が収集・保全する「地球の宝」の重要性を感じている人や、科博のファンの多さに驚いた。

子どもから大人まで、幅広い分野の知識欲を満たしてくれる常設展や特別展の素晴らしさは言うまでもないが、科博の魅力はそれだけではない。

展示を見に行ったついでに立ち寄ったミュージアムショップに思いの外ワクワクし、普段の生活にも役に立つ買い物ができたので、購入した商品を紹介してみたい。

実験器具の機能性

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撮影:野口羊

科博のミュージアムショップでは、それほど数は多くないものの、実験器具が販売されている。

科学の実験などを想定して作られた製品だが、意外なことにキッチンでも大活躍してくれるのだ。

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撮影:野口羊

広口の三角フラスコは、コーヒーを淹れる際のサーバーとして使おうと思って購入した。

口が広いのでドリッパーを載せることができ、目盛りもあるので抽出量もひと目で把握できる。

ガラスの耐熱性・耐薬品性は言うまでもなく、強度も十分だ。

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撮影:野口羊

そしてこの形が役に立つのが、なんといっても抽出したコーヒーを振り混ぜるとき。

ドリップしたあとのコーヒーは、成分にムラがあるのでそのまま注いだり飲んだりしでしまうと、均一に味を楽しむことができない。

薬品を振り混ぜやすい三角フラスコであれば、わざわざスプーンなどを使わずにコーヒーを混ぜることができるので、洗い物も少なく済ませることができるのだ。

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撮影:野口羊

300ミリリットルのビーカーは、シンプルで洗いやすいキッチン用の計量カップとしても役立ってくれる。

サイズ的にコップにもちょうどよく、冷たい飲み物をいれれば見た目にも涼やかだ。

科博の雑誌「milsil」はガチ

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撮影:野口羊

科博は、隔月で自然と科学の情報誌「milsil(ミルシル)」を刊行しており、バックナンバーも含めてミュージアムショップで購入することができる。

当然のことながら、科学のプロフェッショナルが制作しているだけあって、内容の「ガチ」さには余念がない。

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撮影:野口羊

その分野の専門家が最新の研究をもとに、しかし我々のような一般読者にもわかりやすい形で、さまざまなトピックについて解説してくれている。

テーマも日常的な興味に接続されるようなものを多く取り揃えてくれている。

なかでも料理が好きな筆者が興味を惹かれたのは、vol.14の「味覚」特集だ。

普段なんとなく感じているだけだった味覚というものについて、最新の研究をもとに解説されているので、日々の料理のヒントにもなりそうだと感じた。

不思議な食べ物たち

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撮影:野口羊

科博には、科学のおもしろさを感じさせてくれる不思議な食べ物も販売されている。

味が全く想像できなかったため興味を惹かれて購入してみたこちらは、宇宙のアイスクリームのバニラ味。

宇宙食の製造工程と同様の、フリーズドライ技術でバニラアイスが再現されているらしい。

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撮影:野口羊

気になる中身はというと、四角い箱に落雁のような白くて軽いものが入っていた。

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撮影:野口羊

食べてみると、確かにバニラアイスの味に近い。当然ながら冷たくはないし、非常に軽い食感でサクサクしているので、何を食べているのかよく分からない気持ちにはなる。

しかし甘くておいしい……。なんとも不思議な体験ができるお菓子だった。

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撮影:野口羊

お菓子といえば、コオロギを原料としたチップスも販売されていた。

昨今ではもはや珍しいものではなくなってきた昆虫食だが、未来のタンパク源として科博で販売されていると不思議な説得力を感じる。

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撮影:野口羊

サクサク軽くて香ばしく、甘みもあって普通においしい。

科博で展示をみて小腹が空いたときに休憩スペースで食べるのにもちょうどいいかもしれない。

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撮影:野口羊

水を入れるだけでおにぎりができる「宇宙おにぎり」というものも気になって購入してみた。

お湯であれば15分、水では60分、注いで待つだけでおにぎりが完成するというものだ。

せっかくなので、水で試してみることにした。

水を注いて少し振り混ぜて60分後、点線に沿って切り取ると……

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撮影:野口羊

想像していた以上にしっかり鮭おにぎりができていた。

味についても、少し塩気が足りなく感じたぐらいで、鮭おにぎりとしてちゃんとおいしいと感じた。

水を入れるだけのインスタント食品だったとは思えない出来だ。

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撮影:野口羊

この製品は、宇宙食だけでなく、災害時の備蓄食品などにも使われる「アルファ米」が使われているので、賞味期限も長い。

いくつか防災バッグに詰めておいても良さそうだと感じた。

役には立たないけど…

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撮影:野口羊

科博のミュージアムショップにでは、さまざまな鉱物や化石の標本も販売されていた。

貴重で高価なものもあったが、意外とお手頃価格で手に入るものまであった。

充実の展示で科学のワクワクを感じたあとには、特に何も実用性はなくとも、こうした標本を手に入れたい気持ちになってしまうのも不思議ではない。

筆者は、不思議な幾何学図形を呈するレアメタル「ビスマス」の人工結晶が800円ほどで販売されているのを見つけ、こんなにお手頃な価格でこんなに不思議なものが手に入るのか……?という感動で衝動買いしてしまった。

こうした楽しみ方ができるのも、科博のミュージアムショップならではだろう。

特別展「海 ―生命のみなもと―」のミュージアムショップも充実

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撮影:野口羊

今回は常設の日本館にあるミュージアムショップをメインに巡ったが、10月9日まで開催中の特別展「海 ―生命のみなもと―」のミュージアムショップもかなり充実していた。

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撮影:野口羊

キリンのパッケージでおなじみ「キリマルラーメン」を製造している小笠原製粉とのコラボで、「海のめぐみラーメン」が販売されていた。

ミュージアムショップで展示のコラボグッズが制作されることは多々あれど、コラボラーメンはかなり異色と言えるだろう。

シーフード味で、「海 ―生命のみなもと―」展でみた海洋の歴史や神秘に思いを馳せながら食べることができそうだ。

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撮影:野口羊

また「海 ―生命のみなもと―」展では、サンリオ随一の海洋キャラクター「ハンギョドン」とのコラボグッズも充実していた。

サンリオ好きの筆者は物欲を抑えるのに必死だったが、ハンギョドンのピンズのみを購入した。

サンリオキャラクターやハンギョドンのファンには、ぜひとも足を運んでいただきたいラインナップだった。

今後にも期待

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撮影:野口羊

展示を目当てにして行くとあまりじっくり見れないことも多いミュージアムショップだったが、じっくり物色してみると、科学のワクワクや生活の知恵が詰まったアイテムを入手することができた。

意外と実験器具のバリエーションが控えめだったり、他の場所でも購入できるようなお土産アイテムも多かったりしたのは少し残念に感じたが、クラウドファンディングに想定以上の金額が集まっていたりするのを見るにつけても、今後の展開にも期待できそうだ。

また今後開催される特別展でも、さまざまなコラボアイテムなどが登場するだろう。

展示もミュージアムショップも楽しめる国立科学博物館。展示目当てでも、ミュージアムショップ目当てでも、ぜひ気軽に足を運んでみてもらいたいと感じた。




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