気候変動の影響で南極大陸の流氷が融けている。2022年2月撮影。
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- アメリカの国立雪氷データセンター(NSIDC)の報告によると、南極の海氷面積が過去最低を記録した。
- これだけ下がったことに「とにかく驚いた」と、NSIDCの研究者がBBCに語っている。
- 南極の海氷面積は、2017年や2022年に続き、2023年も記録的な最小値に達している。
アメリカの国立雪氷データセンター(NSIDC)の衛星画像によると、南極海の海氷で覆われた面積が2023年9月中旬に過去最低レベルを記録した。
北極圏と南極圏の海面で凍る海氷は、両地域で減少している。
南極の海氷面積は、2017年と2022年に記録的な最小値を観測し、2023年には少なくとも2回の記録的低さに達した。
NSIDCの上級研究員であるウォルター・マイヤー(Walter Meier)は「我々がこれまで経験したことのないレベルで、とにかく驚いた」とBBCに語っている。
南極が不安定だと、地球全体の気候に大きな影響を与え、気温上昇は避けられなくなり、人類に壊滅的な結果をもたらす可能性があると科学者たちは警告している。
南極海の海氷面積の6月から10月にかけての変化。灰色が1981年から2010年の平均値、緑色が2022年、水色が2023年の値を示しており、2023年は明らかに海氷面積が減少している。
National Snow and Ice Data Center
南極の気候危機がどれだけ進行しているのかを把握することはとても難しい。この地域はアメリカ合衆国の1.5倍もの面積があり、情報も蓄積されていないからだ。
エクセター大学の氷河学者、マーティン・シーガート(Martin Siegert)教授は「私が南極の研究を始めた30年前には、ここで異常気象が起こるとは思ってもみなかった」とBBCに語っている。しかし、科学者たちの考えは変わりつつあるようだ。
南極は地球温暖化の影響をさまざまな形で受けている。1950年代から3.2°Cという気温上昇を記録しており、これは世界平均の3倍以上に相当する。南極南太平洋連合(ASOC)によると、この地域の海水温は他の地域よりも急速に上昇しており、棚氷は1980年代の6倍の速さで融けている。
この地域の海氷面積は、20世紀に入ってから大きく変化している。1900年代初頭に減少したが、その後、増加に転じ、近年は最高値と最低値の両方が記録されていると、BBCが2月に報じている。2018年には、この地域の一部で氷が増えているとアメリカ航空宇宙局(NASA)が報告した。
しかし、最近の記録的な低水準は懸念されている。
ネイチャーに9月13日付で掲載されたレポートによると、海氷面積が最近記録的な低水準になったのは、海水温の上昇と関係しており、海氷はほぼ下から溶けてきているという。
レポートの共著者であるエド・ドッドリッジ(Ed Doddridge)とアリアン・ピュリッチ(Ariaan Purich)がオーストラリアのABCニュースに語ったところによると、海氷面積は通常9月に最大となるが、2023年はこの例年の平均的な最大面積よりも約150万平方km減少しており、このような変化は不可逆の可能性があるという。