FIREを少しでも早く達成するために、6つの簡単なできること。資産形成の古典本『ダイ・ブローク』に学ぶ

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  • FIREを実践したいなら、リタイアを資産形成のゴールと見なしてはならない。
  • できる限り資産を増やし、非課税口座の活用に注力しよう。
  • 生活防衛資金として必ず6カ月分を貯蓄し、働いている間に適切な保険に入ろう。

従来の仕事を長く続けるのではなく早期退職したいなら、20年前に書かれたパーソナルファイナンスに関する古典本が参考になる。

スティーブンM.ポラン氏とマーク・レヴィン氏による『ダイ・ブローク―新時代のマネー哲学 リッチに生きて一文なしで死ね!(原題:Die Broke)』は、FIRE(経済的自立・早期退職)がインターネットで流行るずいぶん前の1997年に出版された本だ。だが、生きているうちに資産をすべて使い、自分自身の興味や情熱に力を注ぐためにフルタイムの仕事を辞めるという彼らの主義が追い求める目標は、FIREに似ており、類似したプロセスを辿る。

この本の中で、ポラン氏とレヴィン氏は、従来のフルタイムの仕事から早く足を洗いたい人が考えるべき6つのことを指南している。

1. 一定の年齢を資産形成のゴールと考えない

従来型の退職プランでは、一般的に65歳という決まった年齢がゴールだ。だが、FIREを目指す人がより早く早期退職を達成し、そのうえフルタイムで働くのをやめてもライフスタイルを維持するのには、別の哲学が必要だ。

著書の中で両氏は、早期退職を実践したいなら、資産形成のゴールを定めるべきではないと説く。人生行路が未定であるように、この先のスケジュールも定かではない。何一つ心配しなくてもよくなる終着点は死ぬときだけだ。つまり、資産形成を生涯の課題として考えるべきなのだ。とはいえ、永遠に働かなければならないのではない。資産を増やす能力はリタイアした瞬間に失われるわけではないのだ。

実際、多くの退職者はフルタイムの仕事を辞めた後でも資産を増やせると、ビル・パーキンス氏は著書DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール(原題:Die With Zero )』の中で書いている。特定の数字や年齢を意識することで、いつゴールを達成できるのかわかりやすくなるが、一つ覚えておいて欲しいことがある。それは、いつだってゴールは変わることがあり、フルタイムの仕事を辞めた後でも所得を増やすことは可能だということだ。

2. 貯蓄額ではなく、資産を増やすことに専念しよう

ポラン氏とレヴィン氏は次のように書いている。

「FIREのための数字、すなわち早期退職に必要な貯蓄額については常にさまざまな計算方法がある。だが、それは単なる数字以上に重要だ」

「結局のところ、辞める準備ができたと自分が感じたときにリタイアし、その代わりにできるだけ多く資産を増やすことに注力すべきだ。早期退職は競争ではない。あなたが誰かより早くFIREを達成したなどと評価する人はいないのだ。むしろ、できるだけ多く、できるだけ早く、自分が安心できる範囲で資産を増やすという非常にシンプルな目標を持つことが大事なのだ」

決まった数字を立てなければ、達成できないかもしれない目標に手を伸ばすのではなく、今ある資産で何ができるかに集中できる。

3. 65歳で退職する人向けのルールに従うな

もうじき退職を迎える人は年を取るに従って保守的な投資に移行できる、というのが一般的なルールだ。だが、早期退職したいならこのルールは当てはまらないかもしれない。

むしろ、早期退職者ならば、資産をより長続きさせるためにはリスクをもう少し取る必要があるかもしれない。「よくある図表や公式が示すよりも長く、株式を中心に投資を続ける必要がある。あまり早くアクセルから足を離すな」と本には書かれている。

リスクは伴うかもしれないが、長く投資を続ければ、保守的な投資にシフトした場合よりも資産を増やせる。

4. 生活防衛資金を確保する

65歳でリタイアしようと、35歳でリタイアしようと、生活防衛資金は誰にとってもお金のやりくりにおいて必要不可欠な部分だ。生活防衛資金は予想外の支出を賄ってくれるだけでなく、より積極的により長く投資を続けるうえでのクッションになり得る。「アクセル全開で投資を続けようと思うなら、万が一の備えは必要だろう」

ポラン氏は、安心して早期退職するために、6カ月分の支出額に相当する資金を取っておくよう推奨する。他のマネーのプロも同意見であり、ファイナンシャル・プランナーは不測の支出に備えて3~6カ月分を現金で貯蓄することを勧めている。

5. 適切な保険に入る

生きているうちに全財産を使って一文無しで死ぬというポラン氏とレヴィン氏の哲学に従うつもりならば、巨額の死亡保険は不要だろう。

その代わりに、両氏は早期退職に向けて励む人は、障害所得補償保険に加入することを推奨している。これは、障害を負ったり働けなくなったりした場合に、医療費等を支払い失った所得を負担してくれる保険だ。この保険があれば、安心して生活できるだけでなく、どうやって暮らしていくか心配する必要もないだろう。

生命保険はファイナンシャル・プランの重要な部分になりうるが、障害所得補償保険は見落とされがちだ。「私のところに来るときには、ほぼすべての顧客が必要以上に多くの死亡保険に入っている一方、障害所得補償保険は少ない」とポラン氏は著書に記している。

6. 適切な口座にできるだけ多く貯蓄する

早期退職を計画したとしても、退職口座はやはり最善の貯蓄先だ。

勤務中に利用可能な企業型確定拠出年金は、節税効果があり貯蓄を増やすのに役立つ。また、個人型確定拠出年金(iDeCo)のような年金制度にも節税効果があり、資産形成に一役買うだろう。マネーのプロは、会社がマッチング拠出制度を設けている場合には、企業型確定拠出年金に雇用主と同額まで拠出することを推奨する。その後で、iDeCoに毎年の上限額まで拠出し始めると良いだろう。


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