イーロン・マスクがまたXの従業員をレイオフした。
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イーロン・マスクは最近、X(旧Twitter)の信頼と安全(Trust and Safety)担当の従業員を解雇した。ソーシャルメディアプラットフォームを広告主のために安全な環境に保つためには、彼らの役割はなくてはならないものだ。
同社に詳しい2人の関係者によると、今回の人員削減は2023年9月の第1週に行われ、マスクが2023年初めに事業を縮小して以来、初めてのレイオフのひとつとなった。
レイオフの規模は5〜10人程度とささやかなものだったが、明らかに信頼と安全を担当する従業員をターゲットにしたものだった。同ポジションは、X上の日々のコミュニケーションをモニターし、有害なコンテンツに目を光らせて拡散を防ぐことで、企業などが安心してXに広告を出稿できるようにするのが任務だ。
マスクが論争だ陰謀だ反ユダヤ主義だと裁判沙汰になるなか、Xの広告ビジネスは半分以下に激減し、利用者も減少している。
フルタイム勤務の信頼と安全担当の従業員は以前、プロダクト、法務、エンジニアリングといった社内の各部署で横断的に業務にあたっていた。その数は約230人で、他にも数百人が契約ベースでコンテンツモデレーションなどの追加業務に従事していた。しかしマスクの買収後ほどなく、その大半が解雇された。
2022年11月中旬までに同社の信頼と安全チームはエンジニアも担当者もいなくなり、主に管理業務を行っていた人たちの手に委ねられることになった。
2023年1月にはさらにチームが削減された。マスクは信頼と安全チームのリーダー2人と面談したが、2人ともマスクとの意見の相違から会社を去り、社員を1000人強まで削減するなかで後任が据えられることはなかった。
関係者によれば、このチームは現在、当初の数分の一の規模になっているという。ある関係者によると、信頼と安全チームのフルタイム従業員は現在約20人で、うちの何人かは契約社員だったが、リンダ・ヤッカリーノがTwitterのCEOに就任して間もなく、夏にフルタイムの職務に昇格したという。
同じ関係者によると、彼らは主にコンテンツモデレーションを担当しており、チームの数人は法務やポリシーに携わっているという。ここ数カ月、技術的に必要なことは、Xに残っている約500人のエンジニアのうちの誰かが対応し、ほとんどのエンジニアが社内横断的に業務にあたっている。
InsiderはXの広報担当者にコメントを求めたが、回答はなかった。
Xの信頼と安全チームは、今回のレイオフに先立って数人の増員がなされており、厳密にいえばヤッカリーノとマスクの監督下にある。だが、このプラットフォームは、人手不足で権力もそれほどないチームの能力をはるかに上回るほどの問題を抱えている。
マスクは、多くのフォロワーを持つネオナチ・ユーザーのアカウントを多数復活させ、子どもを搾取する画像を投稿したアカウントまで復活させた。また、広告に関するトラブルを反ヘイトの非営利団体である名誉毀損防止同盟(Anti-Defamation League)のせいにして、X上に反ユダヤ主義の波を引き起こした。
一方、マスクとヤッカリーノはここ数カ月、X上のコンテンツの 「99%」は 「健全 」だと述べている。Insiderは以前、管理ソフトウェア会社のSprinklrが2023年1月から2月にかけて50万件のツイートを調査したケーススタディをもとに、この主張を検証している。
同調査では、これらのツイートの15%にXが提供した300の中傷的な英単語リストのいずれかが含まれていることが判明したものの、同社は、これらのツイートは中傷のないツイートよりもエンゲージメントが低いと主張していた。この調査では、X上のコンテンツの99%が健全であるとは報告されていない。