新NISA、自分に合った投資方法とは? 「よくある質問(FAQ)」風にまとめてみた

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すべての人にとって正しいといえる投資方法はない。

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  • いくらお得で便利になった新NISAといえど、すべての人にとって正しいと言える投資方法はない。
  • それぞれの目的や資産状況、そしてリスク許容度によって、適切な投資方法は異なってくるからだ。
  • ありきたりな解説文では手の届かないところを「よくある質問(FAQ)」風にまとめてみた。

初心者向けといってもまだまだ敷居が高い新NISA。旧NISA利用者でさえも、さまざまな疑問は尽きないはず。新NISAと旧NISAとはまったく異なる制度と位置づけされているからです。

しかし、新NISAは格段に自由度が上がり、個々のシチュエーションに合った投資ができることが魅力。とはいえ、その分すべての人にとって正しいといえる投資方法もないのが悩ましいところです。

ちなみに、新NISAと旧NISAにおける主な違いは次の3つ。1. 非課税投資枠が1800万円に拡大されたこと、2. 非課税保有期間が無期限化されたこと、3. つみたて投資枠と成長投資枠を併用できること。

私たちはこれらを踏まえて、自分に合った投資方法を探し出さなくてはなりません。本記事では新NISAに関して、ありきたりな解説文では手の届かないところを「よくある質問(FAQ)」風にまとめてみました。


Q1. 新NISAは「いつから、どうやって始めればいい」のでしょう?

新NISA制度は、2024年1月から開始されます。そもそもNISAとは、購入した金融商品に対する利益が非課税となる制度のこと。これまで一般NISA、ジュニアNISA、つみたてNISAと順次展開されてきましたが、それらがすべて撤廃され、新しい仕組みのNISAが展開されることになります。

これを機に、新たにNISA制度を活用したい方は、今からでもお好みの金融機関でNISA専用の口座を開設してください。その場合、まずは人気の高いところで始めるのが良いかもしれません。いずれ自分の目的にあったものへと移管することもできるので、とりいそぎNISA制度を活用した投資に慣れることを優先してください。

旧NISA口座をすでに保有している方は(現時点で新しく始める方も同様に)、2024年から同じ金融機関へ自動的に新NISA口座が開設されます。特に手続きする必要はありません。ただし状況によって異なる場合もあるため、心配な方は金融機関に問い合わせましょう。

Q2. 新NISAは「そもそも始めるべき」なんでしょうか?

どんな理由であれ、資産形成に興味を持っているのであれば、NISA制度を活用しない手はありません。なぜなら一般的な投資と比べてNISAならとてもお得に運用できるからです。

そもそも投資とは、できるだけ損を出さずに利益をコツコツ積み上げていくもの。いわゆるテンバガー(株価が10倍以上に成長する銘柄)を掴んで、膨大な利益を出すような「投機」とは違います。つまり確実に利益を得るためには、最低5年程度の時間がかかるものと理解してください。

しかしその分、少ない利回りでも時間をかけ、複利で運用することで利益は大きくなります。それと同時に、同じ理屈で手数料や税金も長期では大きな金額に積み上がるもの……。特に投資信託や株の譲渡益に対してかかる20.315%の税金は、かなりの負担です。そのため投資では手数料や税金を「いかに低く抑えるか?」が勝負となるのです。

新NISAでは、そうした投資に対する利益が非課税となります。さらに、集客を図りたい金融機関が、相次ぎ手数料を無料(国内株)としており、この制度を利用することで投資コストが低く抑えられるのです。

旧NISAと比べても非課税枠が大きくなって期間も恒久化された新NISA。つみたて投資枠と成長投資枠を併用できるようになっており、使い勝手も抜群に良くなっています。気になっているなら、ぜひ挑戦してもらいたいものです。

Q3. 新卒入社を機に投資デビューを考えています。「新NISAとiDeCo、どちらから始めるべき」ですか?

新入社員となると投資に回せる資金や、そもそもの貯金が少ないでしょう。まずは病気や急な事故に備え、ある程度の「現金」を貯めることから始めると良いと思います。これを、一般的には「生活防衛資金」と言います。

しかし、新NISAのメリットは非課税保有期間が無期限な点にあり、長期運用であるほど制度のメリットを享受しやすいという特徴があります。そのため、小口で購入できる「つみたて投資枠」を活用し、毎月一定額を拠出する手法を取ると良いかもしれません。ちなみに現行の「つみたてNISA」ではネット証券の場合、100円以上1円単位から購入することが可能です。

一方、iDeCo(個人型確定拠出年金)も素晴らしい制度です。資金に余裕があるなら同時進行させても良いかもしれません。ですが、1. 60歳まで原則「現金化」できない、2. 最低月5000円以上は必要になる、という点は最低限理解しておくべきでしょう。

そう考えると、まずは新NISAから始めると良いと思います。

Q4. 40代です。「そこそこ資金ができた」ので新NISAを始めたいのですが、おすすめの投資方法は?

投資用の資金に余裕がある場合は、つみたて投資枠ではなく成長投資枠でまとめて買うのもアリかもしれません。つみたて投資枠は年間120万円までしか投資できませんが、成長投資枠なら年間240万円まで投資できます。

初めて投資をする方は、成長投資枠でも投資信託やETFなど、リスクが分散された商品を選ぶようにしましょう。これまでの実績で言えば、S&P500などの米株式指数に連動する「インデックスファンド」は長期で伸び続けています。

なお、自分なりに市場や財務状況を分析し、伸びそうな企業があれば個別株を候補に入れても良いですが、下落リスクが大きいため投資初心者にはおすすめしません。個別株の場合は、インサイダー取引についても気をつけてくださいね。

ちなみに、成長投資枠とつみたて投資枠を併用できるのが新NISA制度のメリットです。筆者の場合、安全に運用したい分はつみたて投資枠で運用し、リスクを許容しながら投資する分については成長投資枠を使う、といった方法を考えています。

Q5. 老後資金2000万円問題は気になるけど、「投資が怖い」です。新NISAは本当に安全なのですか?

老後資金を目的として投資をする場合、元本割れしてしまっては元も子もありません。筆者は老後資金を株や投資信託ではなく、預金や債券などの無リスク資産で蓄財しています。

それでも老後資金目的で投資したいのであれば、無リスク資産を基本としつつ、余裕のある範囲内で金融商品に回してください。新NISAの場合、毎月一定額で少しずつ投資できるつみたて投資枠を活用すると良いでしょう。

つみたて投資枠では現行のつみたてNISAと同じ、金融庁の審査をパスした商品のみ購入できるためリスクは低めです。株式指数に分散投資したインデックスファンドのほか、債券重視型の低リスクな商品が候補としてあげられます。年齢に応じて、低リスクな商品へ自動的に配分し直してくれる、ターゲットデートファンドも良い選択かもしれません。

Q6. すでにNISAを活用しています。「既存利用者」が新NISAを始める際に気をつけるべきポイントは?

新NISAは現行の制度とは別枠で設定されているため、特に気を付ける点はないでしょう。すでにNISAを始めているからといって、現行制度で保有している商品を売却する必要は無く、新NISAでの非課税枠が減少してしまうことはありません。

ただし、現行NISAから新NISA口座への移管(ロールオーバー)も不可能です。なので、その点は注意しておきましょう。現行制度で運用している分に関しては、非課税期間一杯まで持ち続けるか、売却して新NISA用の資金にするといった選択肢が考えられます。

Q7. 新NISA口座を開設するうえで、「金融機関を選ぶ際のポイント」を教えてください

国内は人口減少が続いているため金融機関は競争状態にあります。ネット証券でも厳しい状況が続いているくらいです。

金融機関各社は新NISAに注目しており、特典などを設けることで利用者を増やそうとしています。金融機関選びの際は、1. つみたてNISA取扱商品数、2. 株式の売買手数料、3. ポイントなどの特典プログラムの3点に注目すると良いかもしれません。

ネット証券の場合、手数料無料化が進んでいるため、そこで差異を見つけることは難しいですが、特典プログラムについては大きく異なります。ECで使えるポイントや航空会社のマイルなどが貯まる特典などが提供されているため、自分の消費志向に沿ったものを選ぶと良いでしょう。特典分も考慮しながら、利回りを算出してみてください。

Q8. 「商品が多すぎ」て混乱します。ひとまずどれを選べばよいですか?

資金に余裕が無い場合は、つみたて投資枠を活用しながら少しずつ運用してください。Q5.で回答したように同枠で購入できる商品は比較的低リスクです。

一方、成長投資枠では初心者の場合、Q4.で回答したようにリスクが分散された投資信託やETFを選ぶと良いでしょう。初心者の場合は全世界に分散投資されたオルカン型投資信託などがおすすめです。

なお、投資信託を選ぶ際にポイントとなる「純資産総額」や「信託報酬」といった用語は、ざっくりと理解はしておいたほうがいいでしょう。

ちなみにAIが投資を提案もしくは自動的に運用してくれるロボアドバイザー(ロボアド)を提供する金融機関も新NISAへの対応を進めています。商品選びに自信が無い方はロボアドを検討してみると良いかもしれません。

まとめ

いくらお得で便利になった新NISAといえど、すべての人にとって正しいといえる投資方法はありません。目的や資産状況、そしてリスク許容度によって、適切な投資方法は異なります。

自分の分析に確たる自信があり、株主優待なども期待している場合は、成長投資枠で個別銘柄を買うのもアリでしょう。初心者で資金に余裕がない場合は、つみたて投資枠で少しずつ積み立てるべきです。まずは目的設定から始めることで、適切な投資先が見えてくるはず。

初めて投資をする方には、なかなかハードルの高いところも多いかもしれません。ですが、それを乗り越える価値はあるものだと思います。

※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。

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