起業家のルイザ・ジョウは、自分自身の経験をもとに会社を辞めて起業家になる方法をオンラインで教えている。
Courtesy of Luisa Zhou
最終的に会社を辞めることを目標に起業を決意したとき、私はこう誓った。「この決断を意味のあるものにする」そうでなければ、これまでずっと築いてきたキャリアを無駄してしまうことになるからだ。
ありがたいことに、この決断は実を結んだ。1年も経たないうちに、私はビジネスの売り上げを100万ドル(約1億4000万円、1ドル=140円換算)以上にし、その後も毎年ビジネスを成長させている。以下は、そのために私がとった最も重要な4つのステップだ。
1. クライアントは待つのではなく、自分で探す
「作ってしまえば客はおのずとやってくる(Build it and they will come.)」というのは、映画の中の話だ(訳注:映画『フィールド・オブ・ドリームス』で主人公が使った「If you build it, he will come.」という表現をもじったもの)。でも、それではビジネスは成功しない。
多くの新人起業家がやってしまいがちな間違いは、手の込んだウェブサイトを立ち上げ、クライアントが来るのをただひたすら待つことだ。インターネット上に存在する10億以上のウェブサイトの中で、自分のサイトを訪れてもらえる確率はかなり低い。
だから私は、待つのではなく、自分から出て行って顧客を見つけることにした。
私が最初に手掛けたオンラインビジネスは、仕事で培ったスキルを活かした、企業のオーナー向けのデジタル広告のコンサルティングだった。中小企業の経営者にオンライン上でよく訪れるのはどこか尋ねたところ、Facebookのグループ上に潜在顧客がいそうだと気づいた(オンラインフォーラムは時代とともに変化するかもしれないが、原則は同じ。私はもう何年も、Reddit、Instagram、YouTube、ポッドキャスト、業界別のフォーラムなど、インターネット上のいろいろなところでクライアントを見つける方法を教えてきた)。
こうしたオンライングループの中で、理想的なクライアントが使いそうな言葉、例えば 「広告」や「キャンペーン」を検索してみた。すると多くの場合、そういった言葉に関連する質問をしている人たちが見つかるので、私はその質問に回答していった。
これがクライアント獲得にどうつながるのかは分からなかったが、まずこちらから率先して価値を提供すれば、少なくともネット上で自分の評判が高まるのは間違いない。それに、私の提供する無料回答以上の答えを必要としている人もいるはずだと思ったのだ。
私にとっての見返りは、彼らに「あなたは何に困っていますか」「あなたは何を支援してほしいですか」といった市場調査に付き合ってもらうことだった。こうすることで自分は何を売るべきかが分かる。そこで私は、約10のFacebookグループのリストを作成し、毎日いろいろな人のあらゆる質問に答えた。 そうやって私はクライアントを獲得したのだ。
例えば、ある女性に市場調査の質問をさせてもらった時はこうだ。私の質問に答えてもらったお礼に、彼女が広告に関して知りたかったことに私が回答してあげた。彼女はその後何度も追加質問をメールしてくるようになり、そのたびに私も答えていった。約2週間後、彼女は私の無償のサポートに対する感謝の言葉とともに、もっと成果を上げるために私と契約できないかと聞いてきた。
Paypalを通じて最初の入金があったときは信じられない気持ちだった。うまくいった! このやり方が通用すると分かったので、同じやり方を続けて最初の数人のクライアントを獲得した。
もちろん、このやり方は簡単ではない。私もこの方法でクライアントを獲得するまでに少なくとも50人と話したが、多くの人に価格が高すぎると言われた(私の給料並みの価格でもだ)。
そうした反応をもらうとやる気が削がれ、もう諦めようかとも思った。でもそのたびに、成功する起業家にとって拒絶は次のステップへの踏み台だ、本気で起業したいなら私もここを乗り越える必要があると自分に言い聞かせた。
2. ベストな商品を作ることにこだわる
私にとってコーチングとコンサルティングは、起業して給料に代わる収入を得るうえで最善の方法だった。しかしこのやり方だと自分の限られた時間と労力に依存するため、本質的にはビジネスの可能性を大きく狭めていた。
そこで20人ほどのクライアントと仕事をしたところで、クライアントに最高の結果をもたらす方法について私が学んだことのすべてをオンラインコースの形にまとめることにした(注:これは何人かから、私がデジタル広告のコンサルティング事業でやっていたようなことをやってもらえないかと頼まれ、別の人のオンラインビジネスの立ち上げを手伝った後のことだ)。
完成したコースの出来は素晴らしく、クライアントからも好評だったが、私はそれで満足しなかった。このマーケット向けに最高のコースを作りたいと思ったのだ。そこで3年の歳月をかけ、完璧なコースを完成させた。
この間もずっと一人でパソコンに向かっていたわけではない。何百人もの受講者にこのコースを見てもらい、疑問点や分かりにくいポイントを指摘してもらった。フィードバックをもらうたびにコースの中身を改善していった。これは本当に骨の折れる仕事だった。素晴らしいコースを作ることに固執せずそこそこのクオリティで満足していれば、この作業は何年か短縮できたかもしれない。でも、それはしたくなかった。
こうして、自分でも心から自信作と呼べるものができあがった。それだけでなく成果にもつながった。今では私の代表的なコースには何百ものクライアントから高評価がつき、ベストコースだと言われている。
3. リスクをとる
最初のクライアント数人からフィードバックを受け、自分はクライアントの役に立てていると確信を持った私は、さっそくビジネス規模を広げることにした。
そのためには商品をもっと多くの人に見てもらうことがカギになるが、このプロセスは通常、非常に時間がかかる。そこで役立ったのがFacebook広告だ(広告業界でのバックグラウンドがここでも役に立った)。
最初のコースをローンチした際には約1500ドル(約20万円)の広告費をかけたところ、8000ドル(約100万円)の売り上げが立った。この経験から、広告費を使えば利益を出せるというデータの裏付けがとれ、広告に1ドル投じるとどれだけの売り上げにつながるのか見当がつくようになった。
最初のコースで得られたデータをもとに、数カ月後に2番目のコースをローンチした際には約1万ドル(約140万円)を広告に投資して10万ドル(1400万円)の売り上げを上げることができた。最初の時の結果はまぐれだった可能性もあるが、2番目のコースでも試してみて、広告、マーケティング、販売における戦略が成功していると確信が持てた。
2つのコースの成功で、ビジネス規模を拡大する準備が整った。3番目のコースの時は広告に約8万ドル(約1100万円)をかけ、80万ドル(約1億円)の売り上げを上げることができた。
もちろんこれも簡単なことではない。
もしうまくいかなかったら赤字を抱え込むかもしれないと考えると、投資をする時はとても怖かった。また、長時間かけて未来のクライアントと話をしたり、オペレーションチームやカスタマーサポートチームと夜遅くまで作業をし、それぞれのコースをスムーズに立ち上げるために相当な労力を使った。
4. やりすぎるぐらいやる
この手順を踏まなければ、他のこともうまくいかなかっただろう。結局のところ、どのような業界であっても世界は狭い。良い仕事をすれば噂になり、悪い仕事をすればさらにその噂は広がる。
私のいる業界は競争が激しく老舗も多いので、その中で目立つためには、ライバル企業よりも先に彼ら以上のことをしなければならないと思っていた。
例えば、クライアントとの初回の打ち合わせで自分が何をすべきかは重々承知していたが、それでもすべてスムーズに事を運べるよう、1時間の電話のために3時間かけて言うべき言葉を一言一言あらかじめ書き留めた。2回目の打ち合わせの際も同様に準備した。
オンラインコースを販売するようになってからも、私は過剰なぐらいにサービスを提供し続けた。何百人ものクライアントを相手にしていたので、毎日数時間かけて受講生の質問に答え、可能な限り彼らが最高の結果を出せるようにサポートした。
そのため競合他社よりも多くの時間をかけることになったが、その甲斐あって、山ほどの感想ととても多くの幸せなクライアントを得ることができた。
ここに至るまでのプロセスは決して簡単なものではなかった。しかし私自身の起業の旅を通して、そしてその過程で何千人もの人々が手助けをしてくれたおかげで、起業は誰にとっても実現可能な夢だと気づくことができた。あとはあなたの、思いの強さ次第だ。
※この記事は2022年12月19日初出です。
ルイザ・ジョウ:エンプロイー・トゥ・アントレプレナー(Employee to Entrepreneur)のシステム開発者。9時5時の会社勤めから解放され、10万ドル(約1400万円)を超える高収益オンラインビジネスを始める方法を教えている。フォーブス、アントレプレナー、サクセスマガジンなど、多数の記事でも紹介されている。