ルドミア・ワノット(Ludomir Wanot)は、不動産投資を行いながら、起業家として不動産仲介事業も行っている。
Ludomir Wanot
ルドミア・ワノット(Ludomir Wanot)は、現在30歳にして経済的な自由を手に入れた。13戸の不動産ポートフォリオを構築し、毎年5万ドル(約640万円、1ドル=128円換算)ほどの不動産収入を得ている。さらに、Insiderが確認した資料によると、2021年にはビジネスパートナーとともに不動産仲介事業を通じて100万ドル(約1億2800万円)近くの利益を上げている。
ワノットは幼い頃からリサーチと実践の力を身に付けてきた。15歳の時、生まれ育ったワシントン州フェデラルウェイで自動車市場について独自にリサーチをしたところ、フォルクスワーゲンの需要が高いことが分かった。
そこで、フローリングの施工で貯めたお金で4000ドル(約51万円)の中古のフォルクスワーゲンを購入し、1週間後には5500ドル(約70万円)で販売したという。
「修理とかはしていません。その代わり、綺麗にクリーニングして、プロ仕様の写真を撮るんです」
彼はその後も特定の車種を購入しては同様の方法で販売し、1回につき平均1000ドル(約12万8000円)の収入を得た。また、同じく10代の頃から「富の築き方」をテーマにリサーチを続けていたそうだ。
経済的に苦しいシングルマザーのもとで育ったワノットは、「お金で選択肢が広がることを知り、もっと自分の人生に選択肢を増やしたいと思った」という。
「それで、もっとお金を稼ぐにはどうしたらいいか考え始めたんです。ネットで調べると、お金持ちの9割は不動産を所有して富を得ていることを知りました」
そのときから、いつか不動産が自分の富への扉になるだろうという予感があった。
ワノットは「学ぶことと稼ぐことは間違いなく直接的な相関関係があります」と強調する。そして自身も不動産投資を行うにあたって、「手に入る限りの関連書を1年かけて読み漁った」という。
彼はこれまでに、1937年に出版されたパーソナル・ファイナンスの名著『思考は現実化する(Think And Grow Rich)』(ナポレオン・ヒル著)や、『The Millionaire Real Estate Investor(未訳:大富豪の不動産投資家)』(ジェイ・パパサン著)といった本を読んできた。
そして、1年間の独学を経たワノットには特にお気に入りの2冊がある。以下では日本でも翻訳出版されているその2冊の内容と、ワノットが学んだ教訓について紹介する。
『金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』
1997年に出版されたロバート・キヨサキの『金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学(Rich Dad Poor Dad)』は、パーソナル・ファイナンスの名著の一つとされ、不動産投資家や早期退職者の間で愛読されている。
著者のキヨサキは2人の父親のもとで育った。「貧乏父さん」と呼ばれる実の父と、「金持ち父さん」と呼ばれる、わずかなお金から大金持ちになった父だ。2人の父親はともに仕事で成功し、かなりの収入を得ていたが、一方は常に経済的に苦労していた。
キヨサキは、「金持ち父さん」と「貧乏父さん」の考え方、話し方、行動の根本的な違いに気がついた。本書はキヨサキが「金持ち父さん」から学んだ、お金を使いこなし、長期的な富を築くための時代を超えた教訓を紹介している。
貧しい家庭に育ったワノットは、キヨサキの「貧乏父さん」の考え方に自身の幼年期を取り巻く環境との類似点を感じたという。しかし、それ以上にインパクトがあったのは、もちろん「金持ち父さん」による貴重な教訓の数々である。
ワノットがこの本から特に学んだことは、富裕層は資産を築くことに重点を置いているということだ。まさにワノットは現在、キャッシュフローを生み出す不動産投資のポートフォリオでそれを実現している。
『バビロンの大金持ち』
1926年に出版されたジョージ・S・クレイソンの『バビロンの大金持ち(The Richest Man In Babylon)』は、現在も読み継がれている名著だ。
クレイソンの本は、自分の収入の一部(たとえ10%でも)を将来の自分のためにとっておくことの重要性を強調している。「世の中には収入の8〜9割を貯蓄すべきという記事がたくさんあって、みんなそうしなきゃいけないと思っています」とワノットは言う。
「でも、年収が4万〜5万ドル(約500万〜600万円)の平均的なアメリカ人にとって、8〜9割を貯蓄というのはあまり現実的ではないですよね。この本は、10%を自分のために残すだけで、それが数年後に飛躍的に増える可能性があることを教えてくれます」
本書では、ワノットのように不動産を通じて富を築きたいと考えている人に対し、最初の不動産購入のために、毎月の給料の一定割合を頭金に充てるために貯蓄することを勧めている。
不動産購入に必要な資金は、世間で思われているほど大層な金額ではないかもしれない、とワノットは話す。実際、彼は「FHA(連邦住宅局)ローン」という制度を利用して兄と一緒に最初の不動産を購入したが、かかった初期費用は1万ドル以下で済んだ。
FHAローンとは政府が支援する住宅ローンで、これを利用するとクレジットスコアの低い人たちが住宅価格の3.5%という低い頭金で住宅を購入できる。
「不動産の購入には2割の頭金が必要だと思われていますが、それは全く違います」
なお、FHAローンを利用するには2つ条件がある。プライマリーレジデンス(主たる住居)として物件を購入すること、少なくとも1年以上住んでからでないと貸し出すことができないことだ。
こういったローンは、利用する前に条件をしっかり理解しておく必要があるが、うまく使えば非常に有用なツールになる、とワノットは話している。
※この記事は2022年4月29日初出です。