[お金の相談室]インフレ下の買い物を「俺の金の無駄遣い」と非難する夫、どう説得すればいい?

GettyImages-958248734

Cavan Images/Getty Images

  • For Love & Money」は、人間関係とお金に関する読者の相談に答えるコラムである。
  • 今回は、家族のための買い物をしているのに、夫から無駄遣いと言われて悩んでいる読者からの相談。
  • それに対する回答は、「夫にしばらく買い物をさせてみて、実際どれだけお金がかかるか実感させる」だ。

親愛なるFor Love & Money

私は専業主婦で、食料や日用品、学校行事に必要な物、誕生日プレゼント、4人の子供たちの新しい衣類など、家族のための日常的な買い物はほとんどすべて私が担当しています。最近、月の出費が増えたため、コロナ以前の家計の予算に戻そうと、クーポンを活用したり、中古品やセール品を買ったり、1週間に肉を食べる回数を減らしたり、できる限り努力してきました。

私は節約してきましたが、夫は我が家の家計がいかにインフレの影響を受けているか理解していないようで、スーパーで使った金額をめぐり毎週のように喧嘩しています。先週、彼のお金を私が無駄遣いしていると責められました。夫が善意の解釈もせず、この問題を私 vs. 彼の戦いにしていることに、とても傷ついています。どうしたら我が家の出費について、夫に同じ認識を持ってもらえるでしょうか?

インフレでへこんでいる主婦より


親愛なる インフレでへこんでいる主婦 様

私たちの多くが、インフレの日常的な現実に頭を悩ませています。そして、あなたの状況は、私がその最大の原因だと考えていることを浮き彫りにしています。それは、消費と貯蓄に対する私たちの文化的態度です。

アメリカにおけるパーソナルファイナンスの風潮は、シンプルに「支出は悪で、貯蓄は善」。それは私も理解できます。自分の銀行口座が空っぽで平気な人はいないし、消費主義のハムスター・ホイールから抜け出すのは難しいですから。ところが、この考え方に内在する罪悪感が、インフレを本当に信じることを難しくさせているのです。

生きていくために出費は避けられません。しかし、支出が常に「悪」とされる文化において、私たちは出費する自分に厳しくなりがちです。特に口座の残高が自分の理想より少ない時はなおさらです。

もちろん、食料や光熱費など必要な出費に関しては「支出は悪」は当てはまらないと、私たちは自分に言い聞かせます。しかし、ご指摘の通りインフレの要素が加わると、それに適応するため予算を削り、思うほど貯蓄へお金を回せなくなります。したがって、私たちは概念の性質そのものが変わったことを認識せず、「支出」という宿敵を責める傾向があるのです。

「支出」が宿敵になる理由

こう考えてみてください。毎週あなたは食料品に300ドル(約4万4400円)、外食に200ドル(約2万9600円)使うとします。もっと自炊の回数を増やしてその200ドルを節約するべきだと考えるでしょう。でも、何らかの理由で外食を続け、レストランで200ドル使ってしまいます。そしてあるとき突然、物価が高くなり、食料品に500ドル(約7万4100円)、外食に300ドル使っていることに気付くのです。

それは出費額の快適な範囲をはるかに超えているので、あなたは完全に外食をやめます。それでも、食料品は定期的にテイクアウトを楽しんでいた頃と同じ金額になっているため、やはり最初の300ドルに対して約200ドル多く浪費している感覚になります。そのため、食料品は必要な出費であるにもかかわらず、あなたは食料品への出費も「浪費」のように感じてしまうのです。

家族の中であなただけが日常的な出費の管理を任されているという状況も、事態をより複雑にしている要因です。なぜなら、浪費しているという漠然とした考えの背後に、ある人がいるからです。あなたのご主人は家計からかけ離れすぎていて、生活費の現状を理解していないのです。あなたが些細な出費まですべてをやめたとしても、彼の中では食料品への出費が高すぎることはインフレの証拠にはならず、常にあなたのお金の使い方に問題があると考えるでしょう。

インフレの現実を知らしめる

私がこんなことを説明しているのは、物価が3年前よりはるかに高くなっているということを私たちの多くが認識し、自分自身やパートナーに寛容になる必要があるからです。確かに、1商品あたり1ドル程度の値上げにすぎないかもしれませんが、その1つひとつが積み重なって大きな出費になっていくのです。

ご主人にこれを理解させるためには、インフレの現実にもっと触れさせましょう。そのためには数週間、彼に食料の買い出しを任せてはいかがですか? お2人のどちらが料理を担当することが多いのか分かりませんが、もしあなたなのであれば、しばらくご主人に料理をしてもらって、どれだけ材料費にお金がかかるか実感してもらうのです。

案外、彼の方が賢い買い物ができることが分かるかもしれません。もしそうなったら、あなたが彼からその技を学べば良いのです。でもおそらく、ご主人は物価高に初めて気付き、あなたのお金の使い方を非難するのではなく、もっと協力的になるでしょう。

共感は理解への近道

非難といえば、「彼のお金」という発言について話しましょう。以前、このコラムで専業主婦の労働について書いたことがありますが、夫婦のどちらかが家事全般を担当し、もう一方が生活費を稼ぐという形の結婚生活において、これは繰り返し問題になるテーマのようです。

誰かと生活を共にする場合、どちらかが日常的な側面を管理し、もう一方が経済的な部分を担当するのが理にかなうケースは多いですが、私はこのコラムを通して(そして自分自身、一時期専業主婦を経験して)、この役割分担はまったく同じ理由で感情的なストレスや緊張を伴うということを学びました。

人間は物事を文字通り捉えがちなため、給与明細の宛名が夫婦のどちらか一方の名前になっていたら、その給与を与えられるに至った背景にはパートナーの労働による支えがあるということを認識できないのです。そしてどちらか一方の肩書きが「専業主婦」だと、どうしてもそれしかしていないと思ってしまいがちなのです。

そのため、あなたのように一家の稼ぎ頭の給料の分け前を受ける権利がないと言われた専業主婦は、自分の家事労働に対する請求書を作成し、夫から給料を受けるべきだと、私は認知行動療法セラピストに言われたことがあります。結局そういうことなのです。もし夫の給料が「彼のお金」だったら、あなたは夫のために無償で働いていることになり、明らかにそれは非常に非倫理的なのです。

試しに1カ月くらいご主人に家計の管理を任せてみて、それでも「彼のお金」だと主張するようであれば、ストライキを起こすしかないかもしれませんね。共感は理解への近道です。ご主人をその近道に誘導してみてはいかがですか?

応援しています。

For Love & Money

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み