Surfaceの新製品を発表するマイクロソフトのSurfaceデバイス担当バイスプレジデントのBrett Ostrum氏。
出典:マイクロソフト
マイクロソフトは9月21日(現地時間)、同社のPCシリーズ「Surface」の新型モデルを発表した。
発表されたモデルは廉価版の「Surface Laptop Go 3」と、クリエイター向けの「Surface Laptop Studio 2」の2機種。日本でも10月3日から出荷予定で、直販サイトなどではすでに予約を受け付けている。
- Surface Laptop Go 3……14万2780円(税込)〜
- Surface Laptop Studio 2……33万6380円(税込)〜
マイクロソフトは同時に9月26日から配信を開始するWindows 11のアップデートも発表。対話型生成AI「Copilot in Windows(プレビュー版)」などの新機能は新しいSurfaceでも動作する。
性能一新も価格が上がってしまった入門機
シンプルな特徴を持つ「Surface Laptop Go 3」。
出典:マイクロソフト
Surface Laptop Go 3は、性能と価格のバランスをとったスタンダードモデルの3世代目の製品に当たる。
2022年6月に発売した前機種の「Surface Laptop Go 2」とLaptop Go 3を比べると、ディスプレイは両機種とも12.4型1536×1024ドットのPixelSenseディスプレイを採用、カラーバリエーションは同じ4色構成など、見た目の違いはほとんどない。
性能面では、CPUが1つ上の世代になり、初代Surface Laptop Goから88%高速化。メモリーも最低容量が2倍、ストレージは256GB固定になっている。
内部構造の変化ゆえか、バッテリー駆動時間が最長13.5時間らから最長15時間(いずれも公称値)に伸びている。
Surface Laptop Go 3 | Surface Laptop Go 2 | |
---|---|---|
CPU | Core i5-1235U | Core i5-1135G7 |
メモリー | 8/16GB | 4/8GB |
ストレージ | 256GB SSD | 128/256GB SSD |
ディスプレイ | 12.4型(1536×1024ドット) | |
バッテリー駆動時間 | 最大15時間 | 最大13.5時間 |
前機種同様にキーボード面に指紋センサー付き電源ボタンや大きめなタッチパッドを搭載するなど、シンプルで堅実な使い勝手を実現している。
9月21日の発表会ではWindows 11に標準搭載されている動画編集ソフト「Clipchamp」(2021年にマイクロソフトが買収)のデモをLaptop Go 2を使って実施した。
デモでは、スマホで撮影した動画や写真を選んで、Clipchampに用意されているスタイルや音楽、フォントなどを選ぶだけでSNS向きの短尺動画を制作しており、ライトな写真や動画の編集であれば十分に動作することがアピールされていた。
Clipchampでは素材から数分で短尺動画が作れる。
出典:マイクロソフト
気になるのは価格だ。日本においては最低構成(8GBメモリー/256GB SSD)で14万2780円(税込)。
前機種のLaptop Go 2の発売当時の価格は、最低構成(4GBメモリー/128GB SSD)で9万6580円。メモリー容量などを合わせたモデル(8GBメモリー/256GB SSD)で12万2980円(いずれも税込)であったことを考えると、かなり割高になっていると言える。
Microsoft 365のバンドルの有無もあるため単純比較はできないが、アメリカでもLaptop Go 2が発売当初は最低599ドルだったのに対し、Laptop Go 3では799.99ドルに値上げされており、入門機のGoシリーズと言えど「お手軽さ」は少し薄まっている。
Laptop Studio 2はmicroSD対応などの拡張面も向上
Surface史上最もパワフルと称される「Surface Laptop Studio 2」。
出典:マイクロソフト
クリエイター向けで変形機構のあるSurface Laptop Studio 2も、Laptop Go 3同様に外観やディスプレイという意味ではあまり変化はない。
ただし、前機種「Surface Laptop Studio」の発表は2021年9月であり、今回CPUも第11世代から第13世代へ。外部GPUもモバイルワークステーション向けの「NVIDIA RTX 2000 Ada」が選択可能になっているなど、性能を一気に一新した形だ。
また、新たにmicroSDXCリーダー(最大2TB)とUSB 3.1仕様のUSB Standard-A(USB-A)端子も追加するなど、インターフェイス面も充実した。
インターフェイスは拡充され、USB 4およびhunderbolt 4対応のUSB Type-C端子が2つ、 USB 3.1仕様のUSB Standard-A端子が1つ、microSDXCカードリーダー、3.5mmヘッドホンジャック、充電用のSurface Connect 端子という構成になっている。
出典:マイクロソフト
その他の部分で特筆すべき点としては、Web会議などで使えるWebカメラが進化している。
性能的には初代Laptop Studioも今回の第2世代も1080pでMicrosoft Hello(顔認証)に対応したWebカメラであることは変わりない。
ただし、Laptop Studio 2ではWindows 11のAIカメラ機能「Windows Studio 効果」が利用でき、背景ぼかしや自動フレーミング、目線の調整などが適用される。
最新のWindows 11でAI機能をより強化するマイクロソフト
Copilot戦略について話すマイクロソフトのサティア・ナデラ(Satya Nadella)CEO。
出典:マイクロソフト
21日の発表会では、新しいSurfaceを使ったWindows 11のデモが実施されたが、デモやプレゼンテーションの大部分は同社が最も力を入れている生成AIに関する「Copilot」機能に関連するものだった。
プレゼンテーションの時間的にも、今回の2機種に共通する「進化点は性能向上がメイン」であることからも、ハードウェアとしてのSurfaceへの熱は感じられず(個別の公式ブログ記事すらない)、今回のSurfaceがあくまでWindows 11やAI機能の単なるタッチポイントになっていることは明白だ。
Business Insider Japanでは、マイクロソフトのOSとCopilot戦略について、発表会現地でマイクロソフトを取材するレポートを近日掲載予定だ。