中国の自治体は歳入不足…訳の分からない罰金を科しているところも

上海のあるレストランでは、無許可でキュウリを料理に使ったとして、5000元の罰金が科せられた。

上海のあるレストランでは、無許可でキュウリを料理に使ったとして、5000元の罰金が科せられた。

Reuters

  • 債務とデフレに苦しむ中国の都市は、資金繰りに困窮している。
  • 地方自治体は、必要な資金をかき集めようと、訳の分からない罰金を科したり、請求書を無視したりしている。
  • エコノミストは、中国が経済の「失われた10年」に陥る危険性があると警告している。

経済問題を抱える中国では、資金不足に陥った都市が、訳の分からない違反切符を切ったり、請求書を無視したり、さらには高齢者の健康手当を削減し始めている。

その理由のひとつに、自治体が中国政府の厳格なコロナ対策にかかるコストを捻出するのに苦労していることが挙げられる。パンデミック関連費用は、2022年における中国の債務残高を123兆元(約2500兆円)にまで押し上げる大きなきっかけになったとCNNがアナリストの試算を引用して報じている。

これらのコストにより、いくつかの都市は不安定な財政状況に陥っている。経済が中国最大規模の広東省は、2020年以降、検査やワクチンなどのコロナ対策に総額220億ドル(約1600億円)を費やしたと公式文書で報告している。2022年だけでも、コロナ対策に投じられたコストは、北京で約45億ドル(約6600億円)、上海の居住区で約6億6400万ドル(約980億円)だったという。

このような財政難をきっかけに、一部の都市では必要な資金をかき集めようと、訳の分からない罰金を科し始めている。この夏の初め、上海の3つのレストランが、無許可でキュウリを料理に使ったとして、それぞれ5000元(約10万円)の罰金を科せられ、ネット上で話題になった。

中国のトラック運転手も違反切符を切られやすくなっている。ある運転手は、ここ2、3年の間に過積載の違反切符を58枚切られ、その総額は27万5000元(約560万円)になったと、中国メディアの界面新聞に語っている。

この傾向は数年前から始まっていたようだ。中国の少なくとも15の都市では、2021年に罰金と没収による収入が2倍、あるいはそれ以上になったと、粤開証券(Yuekai Securities)が分析している。一方、政府の他の収入源は減少している。CNNが中国政府のデータを分析したところ、所得税収入は2022年に3.5%減少し、1993年以来最大の落ち込みを記録した。

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