本記事の著者で認定ファイナンシャルプランナーのナタリー・テイラー氏。
Courtesy Natalie Taylor
- お金の「扱い方」を子供に教えるのはとても大切だ。だが、それ以上に、お金に対する「考え方」を教えることを優先したほうがいい。
- 私はファイナンシャルプランナーとして、また1人の母親として、子供にお金との付き合い方に慣れさせ、お金に対する考え方を学ばせている。
- そのように、お金に関わる感情をコントロールできるようサポートすることが、子供に贈れる最高のプレゼントの1つになると信じているのだ。
お金について子供に教える方法として、よく知られているものはいくつかある。「寄付用」「貯金用」「使う用」に分けた貯金箱を用意したり、スーパーで値段を比較させたりするなどだ。たしかに、こうしたスキルや習慣、つまりお金の「扱い方」を教えるのは、とても大切なことである。だが、それ以上に重要なのは、お金に関わる感情をコントロールする方法を学ばせること、つまりお金に対する「考え方」を教えることだ。
誤解しないでほしい、もちろんスキルと習慣はとても重要だ。でも、そうしたお金をめぐる行動は、感情や考え方によって大きく左右される。そこを正すのは大変だと思えるかもしれないが、簡単なことでも大きな効果をもたらせる。
1. お金の話をオープンに
5歳のわが子はフットボールに夢中だ。だから、うちではよくフットボールの話をするが、クォーターバックの名前を全員知っていなければならないわけではない。それと同様、家族との日常会話にお金の話題を持ち出すために資産管理の専門家である必要はないのだ。
食べ物やスポーツや週末の予定と同じように、お金のこともごく普通の話題にするといい。お金についての会話を気楽なものにすることで、感情的な負担を減らそう。すべての答えを知っている必要なんてない。
食料雑貨、おもちゃ、車、家などシンプルなものにかかる費用を教えることから始めよう。あなたの稼いだお金があなたの口座に入っていて、そこからお金を使っているのだと子供たちに伝えよう。単純なことのように聞こえるが、携帯電話をタップするだけで支払いが済んでしまうことの多い現代、すべての支払いのお金は口座から引き落とされているのだと知るだけでも大切だ。
2. お金の決定にはトレードオフが伴うことを教える
「おもちゃ屋さんでお金を全部使ったら、食べ物を買う分が減ってしまうんだよ」。そんなふうに、あなたには一定額の収入があり、家族が現在と未来の両方において何を望み、必要とするかに基づいて、お金の使い方を決めているということを教えよう。すべての買い物は、家族の価値観、目標、ニーズ、欲求に基づいた選択なのだと。
あなたの支出に意図があることを示し、無限の預金があるわけではないけれど、何が一番大切かを決めるのは自分自身なのだと教えよう。すべての決定には取捨選択が伴う——子供たちの理解を助けるために、そうした決定の具体例をいくつか説明しよう。
3. 「広告免疫」をつけさせる
数週間前、子供たちと一緒にテレビを見ていたらコマーシャルが流れ、キスをする人たちの姿をいくつも映した後にソーダのボトルが画面に現れた。その後、私たちはキスをする人たちとそのソーダとにどんな関係があるのだろうと一緒に考えた(特になかった!)。
テレビであれ、ビデオゲームの中であれ、看板であれ、子供に広告を認識させよう。どこかで誰かが何かを買わせようとしているという事実を理解させるのだ。広告のイメージやストーリーについて、「なぜ」を引き出す質問をしてみよう。
このように意識してじっくり考えることでマーケティング戦略を見抜けるようになり、広告に対する抵抗力がつく。そうすれば、耳ざわりのいい売り文句に踊らされることなく、賢い消費決定ができるようになるのだ。
4. お金に関わる意思決定プロセスを身につけさせる
親として、子供には優れた決定をしてほしいものだ。正直に言うと、私はつい子供たちのためにと代わりに決定をしてしまいそうになる。それでもその衝動に抗い、どんな決定をすべきかではなく、どのように決定すべきかを学ばせることを大事にしている。正しい答えだけでなく、プロセスを教える必要があるのだ。
お金のことであってもなくても、あなたが決定を下すまでの思考プロセスを言葉にして子供たちに伝えよう。あなたが検討している選択肢、その裏で捨てなければならない他の選択肢、選択に対する根拠を聞かせよう。子供が決定を下すときには、何が自分にとって一番大事なのかをじっくり考えさせ、あらゆる選択肢を検討させて、最も大切なことを基準に選択肢を天秤にかけさせよう。
5. 導きながら、失敗もさせる
昨年の夏、息子が誕生日にもらったお金でゲーム「マインクラフト」のおもちゃをどうしても買いたいと言うので、車で店まで買いに行った。しかし、店の駐車場を出て5分もしないうちに、息子はすっかり飽きてしまった。息子は返品できるかと聞いてきたが、それは無理だ。その瞬間、彼は感情にまかせた購入決定でいかにたやすく12ドルが消えてしまうかを学んだ。
子供たちにお金の使い方を誤らせよう。そう、失敗させるのだ。大きくなったときにもっと大きな損失を出すより、12ドルの失敗で済む幼いうちに経験したほうがずっといい。間違った選択をして嫌な気持ちになることは、強力な学びの瞬間である。そして重要なのは、子供がそうやって学んだときに、「だから言ったでしょう」と言わないこと。その代わり、「自分で失敗に気づけたんだからすごいね」と伝えよう。
子供がお金との付き合いに慣れ、お金についての考え方を学び、お金に関わる感情をコントロールできるようサポートすることは、あなたが子供に贈れる最高のプレゼントの1つだ。実際、あなた自身も自分のお金の使い方を深く意識するようになって、子供たちのためにお金について話せば、あなたの気分も上がるかもしれない!