山東省青州市で建設中の商業用不動産。2023年9月15日撮影。
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- 中国には非常に多くの住宅が余っている。30億人がそこに住むことができるという試算もある。
- 9月23日に開催された経済フォーラムで、中国政府の元高官がこの驚くべき数値に言及した。
- 彼は、この試算は極端だとしながらも、中国の14億人の人口でさえ、そのすべてを埋めることはできないと述べた。
中国には30億人が住めるほどの空き家があるかもしれないと、中国政府の元高官が語った。
30億人と言えばアメリカの人口の10倍、西ヨーロッパの人口の15倍、首都北京の人口の140倍に相当する。
この驚きの数値は、中国内の空き物件数に関する専門家による試算値の中でも、大きく見積もった数値だという。
中国の国家統計局元副局長、賀鏗(ホー・クン)は、2023年9月23日に広東省東莞市で開催された「中国実体経済発展大会」で、苦境にある中国の住宅市場について語った。
「今、空き家はどれくらいあるのだろうか。専門家は実にさまざまな数値を発表している。最も極端な説によると、その数は30億人が十分に暮らせるほどだという。だが中国の人口は14億人でしかない。この試算値は少し大きすぎるかもしれないが、少なくとも14億人では埋まらないだろう」
この天文学的な数値は、中国では何年も前から議論されてきた。一般的に、都市部の平均的な家の広さとされる39平方メートル(公式発表)と中国全体の世帯平均人数(2021年に実施された第7回国勢調査では2.62人)に基づき試算される。しかし、空き家の総床面積の推計値が公式に発表されたことは、未だにない。
8月の政府統計によると、中国における売れ残った住宅の総面積は約6億5000平方メートルだとロイター通信が伝えている。
平均的な住宅の広さを約90平方メートルとすると、これは約720万戸に相当するとロイターは試算している。なお、この試算値には、販売済みだが未完成の住宅や、投資用として購入された住宅の数はカウントされていないという。
30億人という試算値は大きすぎるとしても、やはり賀の発言や大量の住宅が余っているという問題認識は、中央政府のスタンスと乖離している。
中国の中央銀行は3月、国内の不動産セクターは立ち直りつつあり、「市場の信頼回復は加速している」と述べた。
中国の住宅市場は近年、大量の住宅供給過剰に直面していることが明らかになっている。長年にわたって中国の急速な経済成長の柱となってきた不動産セクターでは、建築熱が熱狂的に高まったものの、そうやって建てられた高層住宅ビル群に住む人は誰もいないという状況も見られる。
買い手は付いたものの、建設会社の資金不足のために完成できない住宅で埋め尽くされている地域もある。
中国第2位の不動産デベロッパーである恒大集団(エバーグランデ)は、2021年に世界で最も負債を抱えた企業となり、デフォルト(債務不履行)に陥った。その影響でアメリカ国内の企業まで破産に追い込まれるのではないかという恐怖を呼び起こした。
一方、中国最大の不動産会社である碧桂園控股(カントリー・ガーデン)は9月初め、危うくデフォルトに陥るところだった。同社は8月に2つの米国債の利払いを怠っていたが、30日間の猶予期間内になんとか取引を履行した。
Insiderは、賀が顧問を務める中国の戦略的研究所である人事科学研究院にコメントを求めたが、回答は得られていない。