スティーブン・バートレット氏はポッドキャスト「Diary of a CEO」のホストであり、LinkedInで100万人以上のフォロワーを持つ著名なB2Bインフルエンサーとみなされている。
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広告代理店のオグルヴィ(Ogilvy)が行った調査によると、B2Bインフルエンサーのインフルエンサーマーケティングにおける需要が急増しており、B2Bビジネスの75%が、すでにキャンペーンにB2Bインフルエンサーを起用していることが明らかになった。
オグルヴィは、アーンスト・アンド・ヤング(EY)、JPモルガン(JPMorgan)、ノキア(Nokia)、IBMなど、世界11市場のB2Bブランドの550人以上の幹部らを対象に今回の調査を実施した。
オグルヴィは、B2Bインフルエンサーを「専門家の意見に貢献できる、豊かな経験に裏打ちされた信頼できる専門知識」を有する人物であると説明している。つまりB2Bインフルエンサーとは、たとえば企業の創業者、ブランドの経営幹部、研究者、医師、大学の教員などが当てはまる。一方、B2Cクリエイターは、トレンドを生み出す側に近い存在であるとオグルヴィは定義している。
オグルヴィの今回の調査から得られた、5つの重要な結果は以下の通り。
1. B2Bビジネスの75%は、すでにB2Bインフルエンサーをマーケティングキャンペーンに活用している
さらに、CMO(最高マーケティング責任者)の93%が今後B2Bインフルエンサーの起用を増やす計画を立てており、そうでないCMOも半数以上が、将来的にB2Bインフルエンサーの起用を計画している。
「この結果は、この分野に投資しているクライアントからの需要が高まっていることの表れと言えるでしょう」
オグルヴィのグローバルインフルエンス責任者であるラーフル・タイタス(Rahul Titus)氏はInsiderの取材にこう語る。
2. B2Bインフルエンサーを利用したキャンペーンの67%が、ブランドのみのキャンペーンよりも、ブランドのマーケティングパフォーマンスに大きな影響を与えた
マーケティング担当者の4 分の3以上が、インフルエンサーを利用したキャンペーンは、近い将来にブランドのみのマーケティングを上回る成果を上げると予想している。
オグルヴィの調査によると、従来はインフルエンサーマーケティングにおいて効果測定が難しかったことがマーケティング予算の増額を確保する上での障害だったという。またマーケティング担当者の大多数(84%)は、キャンペーンや取り組みに対するマーケティング支出や予算の増加を正当化するために、投資収益率(ROI)を示す必要があると回答している。
インフルエンサーマーケティングキャンペーンの多くは、「認知」キャンペーン、または特定のブランドについての情報を広めることを目的としたキャンペーンと見なされる。これらの成功は、通常はソーシャルリーチ、エンゲージメント、シェアなどの指標で測定されるが、これらは測定可能なROIに直接関係しているわけではない。
しかし今回の調査では、B2Bインフルエンサーによるキャンペーンは単に商品の情報を広めるだけでなく、売上の創出にも影響していることが明らかになった。マーケターの43%は、B2Bインフルエンサーによるキャンペーンによって、売上やその他の明らかなROIが増加したと回答している。
3. マーケティング担当の経営幹部の89%は、従業員をインフルエンサーとして活用することには価値があると認識している
従業員は、多数のオーディエンスへのアクセスのほかに、ブランドや外部のオピニオンリーダーができない方法で、業界とコミュニケーションをとることも可能だ。
オグルヴィのB2Bインフルエンス担当ビジネスディレクターのジェームズ・ボールドウィン(James Baldwin)氏は、報告書を発表するプレゼンテーションの中で次のように語った。
「CEOやCMOに、ビジネスの成功にとって特別な要素は何かと尋ねれば、おそらくは従業員こそがビジネスの真の強みであり、最大の資産であるという答えが返ってくるでしょう。ブランドにとって、従業員をインフルエンサーとして活用することは、まだ未開拓の大きなチャンスです」
また、資産管理会社シュローダーズ(Schroders)のCMOのベス・セイント(Beth Saint)氏は、シュローダーズは従業員のアドボカシーに強く取り組むようになっていると語った。
「周りを見回せば、私たちは従業員というアンプリファー(増幅器)を得ていることがわかる。10倍のリーチが可能で、しかもほとんどタダで手に入るものがあるということだ」
4. マーケティング担当者の90%が、ソーシャルメディア上のB2Bインフルエンサーは、業界の最新情報を得るために重要だと考えている
そしてその半数以上が、日々の主な情報源としてB2Bクリエイターを挙げている。
5. LinkedInの他に、YouTubeもB2Bの影響力を得るためによく利用されている
B2Bマーケティングチームの50%が、YouTube(ユーチューブ)が重要なプラットフォームであると考えており、僅差でFacebook(フェイスブック、48%)とInstagram(インスタグラム、46%)が続く結果となった。
今回の調査では、B2Bインフルエンサーマーケティングにおいて、この分野での優位性がすでに確立されているLinkedIn(リンクトイン)以外に選択するプラットフォームについてマーケティング担当者に質問した。
この数年、LinkedInはクリエイターネットワークに力を入れ、専門家がビジネスの知識だけでなく、エンタメ的コンテンツも共有する場所としての地位を確立している。
LinkedInは最近のアップデートで、他のソーシャルメディアプラットフォームと同様の「有料パートナーシップ」ラベルを導入した。このラベルは、ブランドが商品やサービスを宣伝するためにクリエイターにお金を払っていることを示すものだ。つまりこのラベルが登場したということは、ブランドがLinkedInでますますインフルエンサーを雇うようになっていることを示唆している。