2023年8月20日、ウクライナのクレミナ郊外で、砲弾を装着した攻撃ドローンを、SNSに投稿するために撮影するウクライナ兵。
AP Photo/Bram Janssen
- ウクライナの元実業家や映画製作者たちは、ロシアと戦うためにドローンのエリート部隊を編成している。
- このチームのリーダーは、8000万ドル相当のロシア軍の兵器を破壊したとAP通信に語っている。
- 9月18日からの一週間だけでも、205ものロシア軍の兵器を破壊したという。
AP通信によると、ウクライナの元ビジネスマンや企業幹部、エンジニア、映画製作者などで構成される小規模なグループが、ドローンのエリート戦闘部隊に変身し、戦場でロシアに大きな打撃を与えているという。
アスガルド・グループと呼ばれる12人のドローンチームのリーダーは、元は裕福なビジネスマンで、戦場では「ファーマシスト(薬剤師)」と呼ばれている。
ロシア軍に対するウクライナの反転攻勢が遅々として進まない中、ファーマシストは敵の大規模な兵器を手頃な価格の小さなドローンで狙うよう部隊に指示している。そしてその方法は効果的であることが証明された。
70万ドル(約1億円)の予算で編成されたアスガルド・グループは、ドローンを用いてすでに8000万ドル(約120億円)相当のロシア軍装備を破壊したとファーマシストは推定している。
攻撃用ドローンは、通常の武器よりもはるかに安く作れるとファーマシストは説明する。
ファーマシストのような戦場のリーダーが行った戦略が成果を上げたことから、ウクライナ政府は10億ドル(約1500億円)を投入してドローン戦闘能力の強化に取り掛かったとAP通信が報じている。
ウクライナのミハイロ・フェドロフ(Mykhailo Fedorov)デジタル変革相がAP通信に語ったところによると、東欧諸国は最先端の「ドローン軍団」の構築に専念しているという。ウクライナでは今年すでに1万人以上のドローンパイロットが新たに養成された。
「戦争の新たなステージがまもなく始まる」とフェドロフは述べている。
ウクライナ政府高官は「企業がさまざまなドローンの生産に投資してくれるように、我々はあらゆることをしている」と付け加えた。
ロシアによるウクライナ侵攻が激化する中、フェドロフはX(旧ツイッター)への9月25日の投稿で、ウクライナの「ドローン軍団」が9月18日から一週間で、205ものロシア軍の兵器を破壊したと発表した。それには大砲64門、戦車27台、トラック55台、装甲戦闘車38台が含まれている。
「我々の兵士は前進し続け、ロシア軍は兵器を失い続けている」とフェドロフはXに投稿している。