ワニが犬を救助した?…ワニの認知能力は我々が考えているよりも優れている

このワニは、犬を食べる気はないように見える。

このワニは、犬を食べる気はないように見える。

Utkarsha Chavan

  • 川に逃げ込んだ犬を、ワニが安全な場所まで誘導したように見える。
  • ワニが「攻撃範囲内」にいたにもかかわらず、なぜ犬を食べなかったのか、研究者たちはよく分からないという。
  • 結局、ワニはこれまで考えられていたよりも、はるかに高い認知能力を持っていると考えられる。

野良犬の群れから逃げていた若い犬が飛び込んだのは、ワニのいるさらに危険な川だった。だがワニは犬をおやつにする代わりに、安全な場所まで誘導したようだ。

インドのマハラシュトラ州にあるサヴィトリ川で、ヌマワニの行動を調査している研究者たちは、Journal of Threatened Taxaの8月号に掲載した論文で、この時の画像を公開した。

「これらのワニは確かに鼻先で犬に触れていた。(犬を)小突いて、安全な場所までエスコートしているように見えた」と研究者は報告している。

野良犬に追いかけられていた若い犬は、逃げ切ることができた。

野良犬に追いかけられていた犬は、逃げ切ることができた。

Utkarsha Chavan

簡単に捕まえられそうな獲物にワニが飛びつかなかったのは意外かもしれないが、ワニが犬を逃がした理由はたくさんあるとサウスイースタン・ルイジアナ大学の生物学者クリス・マレー(Chris Murray)はInsiderに語っている。

満腹だったのかもしれないし、獲物を待ち伏せるには隠れる場所もなくふさわしい状況ではないと感じたのかもしれない。あるいは、過去に犬を食べようとして嫌な目に遭ったのかもしれない。

「捕食の生態に関して、自然界ではこのような費用対効果の分析が常に行われている」とマレーは言う。

論文の著者らは、ワニが犬に共感を示したのではないかと示唆しているが、マレーはそれは違うと考えている。

インドやスリランカの沿岸部には、人間の近くに生息するヌマワニが多く、人間が襲われる頻度が世界で最も高い地域があるとマレーは言う。

「だから、ワニが共感を示すということはあり得ないと思う」

しかし、人間がワニの認知能力を過小評価しがちだという論文の著者らの意見には賛成している。

論文には、ワニが小枝を鼻にのせて鳥をおびき寄せたり、群れで協力して獲物を狩り、他のワニにも食べ物が行き渡るようにするといった行動が報告されており、マレーもそのような事例を知っている。また彼は、ワニが過去の経験から学んでいるような行動を観察したこともある。

「このような事例はエピソード的なものが多い。私にもそのようなエピソードがある。ワニの認知能力、つまり周囲の状況を分析する能力や記憶力は、これまで考えられていたよりも、はるかに優れていると思う。彼らは単なる意地悪でのろまな爬虫類ではない。とはいえ、窮地に陥った犬を哀れんでいるわけでもなさそうだ」

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