「熱心な人や個人事業主ほど、副業で疲弊する危険性があります」
「I Like to Dabble」というブログの管理人であるダニエラ・フローレス(Daniella Flores)はそう指摘する。自らを「They/them」と呼ぶフローレスは、現在12の収入源を持つ自称「副業家」だ。
本業以外で12の収入源を持つ「副業家」ダニエラ・フローレス。
Daniella Flores
本業としてIT企業にフルタイムの会社員として勤めて給与を得つつ、副業でライティングやコンサルティングサービスを行っている。他にも、デジタル商品の作成・販売やアフィリエイトのパートナーシップ、投資の配当などからも収益を得ている。副業で成功を収めたこともあり、今後は本業を辞めて個人事業主として働く計画も立てている。
しかし、フローレスが副業と生活のバランスを保つまでには、多くの試行錯誤を重ねなくてはならなかった。
「自分を見失うほど働きすぎてしまう人々には賛成できません。残念ながら私も以前は自分をそのような状況に追い込んでしまい、特にこの2年は働きすぎていました」
以下では、セラピーの助けを借りた経験もあるフローレスが、バーンアウト(燃え尽き症候群)を回避しながら副業でより多くを稼ぐためにおすすめする5つの方法を解説する。
1. 長時間働きすぎないようにする
起きている時間の全てを副業に費やすこともできるが、休息をとることも重要だ。特に副業をする人のほとんどは一般的な会社員としてフルタイムの仕事をしているため(だから「副」業と言うのだが)、簡単にオーバーワークに陥ってしまうことを理解すべきだと言う。
「副業を週20時間だけにしたとしても、本業で週40時間働けば、週に60時間働いていることになる訳ですから。副業は素晴らしいことですが、早期退職のために貯蓄額を増やそうと自分の時間を全てつぎ込むような無理な稼ぎ方はやめましょう。繰り返しますが、自分を見失うほど働きすぎてしまう人々には賛成できません」
フローレスは、副業に充てる時間には制限を設けるべきだと言う。彼女自身、現在はフルタイムの本業が忙しいため、独立するまでは週に8時間程度しか副業に充てていないそうだ。
2. 副業も仕事であることを忘れない
「たとえそれが本業を補うための受動的所得であったとしても、副業が仕事であることに変わりはありません。つまり、事務にもたくさんの時間がかかるということです」
この作業時間も仕事の一環であるほか、税金の申告や登記などの法的手続きには時間がかかるのだ。
なお、フローレスは当初、副業についても本業の源泉徴収を利用していたが、「I Like to Dabble」の収益を処理するために合同会社(LLC)を設立した。しかし、結果として税金が高騰したため、今後は法人形態を変更したいと考えている。
3. 事業経費を把握しておく
フローレスはまた、「副業をするにあたり、経費がどのくらいかかるかを覚えておくことが重要です」と語った。
「毎月の経費と利益、税引き後の実際の手取り額などをしっかり把握しておきましょう。本業をやめて副業だけにシフトしたいならなおさらです。私は当初、この把握に時間がかかってしまいました」
4. 低賃金のわりに投資が必要な副業は避ける
このほか、劣悪な環境のもと最低賃金で働くような副業はおすすめしないとフローレスは言う。
その一例としてフローレスが挙げるのが、低賃金なのに時間がかかる「ギグ・エコノミー」だ。ライドシェアアプリを活用しようにも、自分の車を使い、その車の維持費や保険料も支払わなければならないのに低賃金だとしたら、副業として時間を費やす価値はないだろう。
5. 必ず好きなことを副業にする
フローレスは、「積極的にやりたいと思わない副業に時間とエネルギーを費やすと、その副業は確実に有害で嫌な経験になってしまう可能性が高い」と言う。
「そうなってしまうのは、副業で成功するためのビジョンが、自分のスキルや、情熱を傾けられるものと一致していないからだと思います」
副業がうまくいくかどうかの分かれ目は、何よりも先に、自分がそれを楽しめるかどうかにかかっている。
「自分のやりたいことや価値観と一致しているか、本当にそれを毎日やりたいと思うかが大切です」
※この記事は2022年5月23日初出です。