ネットフリックス(Netflix)の採用面接を攻略するには、明文化された同社のカルチャーの中でいかに自分が成果を上げられる人材であるかを示すこと——これに尽きる。
Insiderはネットフリックスの元社員に取材を敢行、採用面接でどんな質問をされたかを尋ねた。
投げかけられる質問はポジションや面接官によっても異なる。例えばエンジニア職なら、テクニカルな質問や厳しい試験をクリアする必要がある。
とはいえ、こうした難問の多くは、ネットフリックスを志望するなら必ず読むべき、かの有名な「カルチャー・デック」(2009年に初公開された、同社の人事方針の概要を示したスライド。現在はカルチャー・メモ)に紐付いている。
ある内部関係者は言う。
「まるで面接のプロセス全体が試験のようでした。ネットフリックスのカルチャーに合う人材かどうか、というね」
そこで本稿では、元社員の証言をもとに、ネットフリックスの採用面接で尋ねられる質問を公開する。
1. 私に聞きたいことはありますか?
「私に聞きたいことはありますか?」という質問は、面接の際によく聞く質問だと内部関係者は言う。
これは他の企業の面接でもよく聞かれる当たり障りのない質問だが、ネットフリックスでは誘導尋問でもある。カルチャー・メモに書かれているネットフリックスのコア・バリューのひとつに「好奇心」があるように、こう尋ねることで候補者の好奇心を測っているのだ。
ネットフリックスでオリジナルコンテンツ担当バイスプレジデントを務めていたシンディ・ホーランドは、ニューヨーク・タイムズの取材に対し、自身が面接をする際、候補者の本質を見極めるためにまずこの質問から入ることが多かったと語っている。
「最初にこう聞くと、上手に答えられる人もいれば、面食らってしまって『特にありません』と答える人もいます。だからといって自動的に不合格になるわけではありませんが、候補者がどういう人なのか、ある程度は分かります」
ネットフリックスの企業文化や仕事の進め方に関して賢く質問できれば、好印象を与えられるだろう。
ある内部関係者いわく、「ネットフリックスはたくさん質問する人が好き」なのだそうだ。
2. 上司と意見が合わない時はどうしますか?
「上司と意見が合わない時はどうしますか?」も、ネットフリックスの採用面接では頻出の質問だ。フィードバックをしたりされたりすることに抵抗がないか、意見が対立した時にどう対処するのかを見ている。
ネットフリックスのカルチャーでは、誠実さも重視される。カルチャー・メモには、社員に求める資質として「率直で、信頼でき、透明性があり、政治色がないこと」と書かれている。
同社では、同僚に対して積極的にフィードバックすることが善しとされている。相手が上司でも、共同CEOのリード・ヘイスティングスであってもだ。先へ進むにあたっては全方位から検討したい、そのためには会議で反対意見を述べることも日常茶飯事なのだと内部関係者は言う。
「特に難しいフィードバックを受けた場合にどう対処するか」と聞かれた、と証言する内部関係者もいた。
3.私に何かを教えてください
「あなたが情熱を注いでいるトピックを選んで、それについて教えてください」と言われた元社員もいる。
候補者の人柄を見るための質問だが、面接官が見ているのは候補者が選ぶトピックそのものではなく、答え方である。
その場でトピックが思いつかなかったり、はっきり答えられないと赤信号がつく可能性がある。情熱はコミュニケーションと並んでネットフリックスのコアバリューの一つだからだ。
前述の元社員は、候補者がこの質問にすぐに答えられないと「この人はコンフォートゾーンを外れると成果を挙げられない人なんだなと思う」と言う。
1回の面接で赤信号が1つついたからと言って、ネットフリックスで働く夢が潰えるわけではない。通常、複数の面接官が何度も何度も面接するからだ。ある元社員は10回も面接を受けたという。最終的に採否を決めるのは採用担当マネジャーだ。
4. 失敗談を教えてください
ネットフリックスの採用面接では、候補者がどれくらい自分をさらけ出せるかをよく見ている。
カルチャー・メモによると、ネットフリックスは失敗を潔く認め、そこから学べる人材を求めている。
この質問が来たら、ちょっと失敗したけど最終的にはうまくいった、という類の体験は選ばないほうがいい。ある内部関係者は言う。
「ポジティブな内容が聞きたいわけではないんです。ひどい大失敗をした時のことを語ってほしいし、そこからどう立ち直ったのかを教えてほしいんです」
5. このプロジェクトチームでどう協力していきますか?
採用面接の際、「仮にこんな状況だったらあなたはどう働きますか」と聞かれた内部関係者も複数いた。
よくある設定は、チームでコラボレーションする必要のあるプロジェクトだ。ネットフリックスには多くのチームがあり、チーム編成は常に変わっていくという。あなたは他者とうまく協力できる人材なのか——採用担当マネジャーが知りたいのはそこだ。
これこれのプロジェクトで複数のチームと連携しながら計画をまとめるにはどうしますか、と聞かれることもあるし、チームの一員としてプロジェクトをどう進めていきますかと聞かれることもあるだろう。これに似た質問で、マネジャー職なら「どのようにチームをまとめていくか」と質問されるだろう。
「職位にかかわらず、ネットフリックスではコラボレーションが重視されます」とある内部関係者は言う。
ネットフリックスは、マイクロマネジャーは求めていない。仕事をこなすのに必要なツールを人に与えられる人材を求めているのだ。カルチャー・メモにはこうある。
「製品やサービスが素晴らしいクオリティになるまで細部に口出しをするCEOや幹部がいいとは思わない。シニアマネジメントが行った意思決定の少なさを誇りに思いたい」
※この記事は2021年5月11日初出です。