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デビッド・グリーン(David Greene)氏は人生に近道があるとは考えていない。
ポッドキャスト「BiggerPockets」のホストを務めるグリーン氏は、仕事であれ、スポーツであれ、他の何であれ、自分が望むものを達成するためにはハードワークが必要だと考えている。
だが今日、特にSNS上には、金融系インフルエンサーによって近道のヒントとされるものがはびこっているとグリーン氏は言う。
「オンラインコンテンツの世界では、簡単にお金を稼ぐ方法を説明しようとするコンテンツがトレンドです。90年代に、使いやすいトレーニング器具を売り込むのが流行った時のようなものです」と、複数の州に賃貸物件を所有しているグリーン氏は言う。
「『自宅でお手軽に、汗をかくことなく最高のトレーニングができます!』といった感じです。しかし、それには効果はありません」
彼が7冊目の著書『Pillars of Wealth: How to Make, Save, and Invest Your Money to Achieve Financial Freedom(富の柱:経済的自由を手に入れるためにお金を稼ぎ、貯めて、投資する方法)』を出版するのも、この背景があったからだ。彼は、新参の投資家に、自分の目標を達成するためにハードワークをするメンタリティを持ってほしいと願っている。
グリーン氏はInsiderの取材に対して、自身の著書に書かれた富を築くための2つのヒントを、投資を始めようとしている人々に向けて明かしてくれた。どちらも「信じられないほどシンプルで実践しやすい」とグリーン氏は話すが、どちらも長期的な戦略であり、一攫千金の方法ではない。
「信じられないほどシンプル」な2つの戦略
第一の戦略はハウスハックだ。つまり、自分が住む物件の一部をテナントに貸し出すことだ。
具体的には、自宅の一室を長期の入居者やエアービーアンドビー(Airbnb)のゲストに貸し出すこと、2ユニットの住宅や3ユニットの住宅を購入してそのうちの一室に住むこと、ガレージを居住スペースにすること、裏庭に小さな家(ADUと呼ばれている)を建てることなどが考えられるという。
ハウスハックによって、投資家らは自分の住居費を最小限に抑えるか、またはなくすことができ、同時に、値上がりする可能性の高い不動産で資産価値を高めることができる。
「毎月3000ドル(約45万円、1ドル=149円換算)を返済する住宅ローンを組み、月々500ドル(約7万5000円)だけ払うということです。これは2500ドル(約37万5000円)貯蓄しているのと同じです。そして30年後には完済し、その間に5倍の価値になった高評価の資産を所有しているのです」
グリーンが推奨する第二の戦略では、いくつかの段階を踏むことになる。まず、キャッシュフローを稼ぎ出す賃貸物件(自分で住むこともできるもの)を購入し、15年ローンを組み、余剰キャッシュフローをすべて住宅ローンの返済に充てる。そして翌年には別の物件で、さらに翌々年にはまた別の物件で同じことを繰り返す。
家賃が年々上昇していけば、最終的には、物件がプラスのキャッシュフローを生むようになる。15年後に1軒目のローンを完済したら、その物件でキャッシュアウト・リファイナンスを行い、それで得られた現金を生活費に充てつつ、家賃を元手に別の物件を購入するという。
2軒目でもローンを完済し次第、物件をリファイナンスし、それ以降の物件でも同じことを繰り返す。ローンを完済したら、保有物件からリファイナンスを行い、このサイクルを繰り返すのだ。もちろん、ローンを完済した後も家賃収入を頼りに生活することは可能だ。しかし、これは課税所得となってしまう。一方、キャッシュアウト・リファイナンスで得られたお金は所得とみなされず、課税されない。
「理論上は、二度と働かずに暮らせるようになります。15年間、懸命にハードワークすれば、リファイナンスで物件から引き出した現金を頼りに生活できるようになるのです」