「chocoZAP」1周年新事業戦略&新サービス発表会に登壇したライザップグループの瀬戸健社長(中央)。ゲストとして辻希美さん(左)、丸山桂里奈さん(右)も登壇した。
撮影:土屋咲花
コンビニジムの「chocoZAP(ちょこざっぷ)」が、さらに「コンビニエンス」なサービスを始める。
RIZAP(ライザップ)は9月28日、「ちょこざっぷ」の新サービスとして、全店舗約1000店にセルフホワイトニングやセルフネイル、ワークスペースなど6種のサービスを順次導入することを発表した。
新サービスの大半は年内に全店導入、「カフェ」も2024年に開始へ
瀬戸健社長。
撮影:土屋咲花
「ちょこざっぷは単なるジムではありません。これからもっとコンビニエンスへということで、自分と、毎日がもっともっと好きになるサービスを発表していきます」
ちょこざっぷのキャラクターが描かれたTシャツ姿で登壇したライザップグループの瀬戸健社長は、冒頭でこう宣言した。
新サービスはセルフネイル、セルフホワイトニング、マッサージチェア、デスク付きのバイク、ワークスペース、コーヒーなどが飲めるドリンクサーバーの「ちょこカフェ」の6種。
ワークスペースと「ちょこカフェ」は2024年中、それ以外の新サービスは年内に全店舗に導入する。
ちょこざっぷは、運動初心者向けの24時間無人ジムだ。「着替えなくてOK」「1日5分でもOK」をうたい、価格は従来のフィットネスジムと比べ3分の1程度。新たなフィットネス層を取り込んできた。8月にはフィットネスジムの会員数で日本一(※同社調べ、他社の開示資料から比較)を達成したことを発表している。
ちょこざっぷでは女性ユーザーの獲得を狙い、開始当初から「セルフエステマシン」や「セルフ脱毛マシン」などの従来のフィットネスジムの常識を覆すサービスも提供してきた。今回、この事業方針をさらに拡大した形だ。新サービスの投入後も、価格はこれまで通りの月額税込3278円を据え置く。
「高額でなかなか手が届かなかったり、特別な時に使っていたりしたような、ホワイトニングなどのサービスを追加料金なしで受けられます。
(かつてはなかった)スマートフォンが今は生活の一部になっているように、特別だった習慣が身近になっていくということで、新しい隙間時間の使い方をご提案したい」(瀬戸社長)
セルフネイルマシン。デザインは397種類から選べる。
撮影:土屋咲花
セルフホワイトニング。専用ペーストを塗ってLEDライトを照射することで、歯の表面の汚れを落とすという。
撮影:土屋咲花
サービス展開に取り入れた「データドリブン」経営
発表会では、辻さんと丸山さんがそれぞれ新サービスを体験した。
撮影:土屋咲花
今回発表した新サービスは元々、一部の店舗で試験的に導入していた。結果が良かったサービスについて全店導入を決めた。小さく始めてテストを繰り返し、顧客の反応が良かったものを投入していく「データドリブン」な事業展開は、サービス設計だけでなく広告戦略などにも同社が活用している得意技だ。
「プロトタイプを作り、まずは集客できるかどうかをテストします。その後、(新サービスやマシンの)利用率や、お客様の来店動機になっているかどうかなど全てデータを取っていくわけです。利用頻度によっては、経済的に採算性が合うかどうかについても見ていきます。
かといって原価をケチるのも良くないので難しいのですが、色々な要素を見て総合的に判断しています」(瀬戸社長)
セルフネイルなどの各種新サービスは、既存店舗では他のマシンと入れ替える形で導入を進めていく。ちょこざっぷでは、店舗に設置したAIカメラでマシンの利用時間や稼働率を分析している。この分析結果をもとに、どのマシンと入れ替えるのかを決めていくという。
「コンビニでも、カテゴリーは変わらなくても、商品は常に入れ替わっていくじゃないですか。一方、サービスっていうのは固定化してるケースが多いんですよね。 でも、それはちょっとおかしいんじゃないかなって僕自身は思ってるんです」(瀬戸社長)
新サービス導入にかかる投資金額は非公開だが、ライザップグループは8月、ちょこざっぷ事業への投資資金として長期借入と資本性劣後ローンを利用して最大67億5000万円の資金調達を発表している。
顧客の不満は「最優先課題」
「タイパ(時間対効果)」を意識したデスクバイクは、PC操作などをしながら運動ができる。
撮影:土屋咲花
2022年7月の「ちょこざっぷ」サービス開始以降、9月28日時点の会員数は83万人を超え、店舗数も1000店を突破した。
一方で、勢いが先行するあまり、店舗では清掃が追いつかなかったり、マシンの故障が相次いだりとサービス品質の課題も出ている。SNSでは、ユーザーの不満ともとれる投稿も散見される。
瀬戸社長はこうした課題について
「そこ(の対応)は最優先であることは間違いないです。
その時その時の対症療法ではどうにもならないことがいっぱいあって、モグラたたきではなく、ちゃんとお客様が快適な状態にいかに短い時間で復帰できるかという点の効率化を今進めています」
と話す。
清掃は当初、週に4回程度だったというが、会員数の増加や顧客からの声を受けて今では週に平均12回に増やした。マシンの故障に関しては、顧客からの「故障かもしれない」という報告を受けてからメンテナンス会社による確認、ちょこざっぷ専用アプリとの連携、修理対応という一連の流れを効率的に進める仕組みづくりに取り組んでいるという。
ライザップの理想は高い。日本のフィットネス人口は3%程度と言われているが、ここをアメリカに並ぶ20%まで引き上げることを目指す。
「幸福度の向上においても運動が非常に効果的なものだと証明されています。我々は新しいサービスが運動に参加いただくきっかけになることを目指していきたいと思っています」(瀬戸社長)