ドン・キホーテ銀座本館の外観。
撮影:杉本健太郎
10月1日は中国の建国記念日にあたる国慶節だ。この時期、中国企業は大型連休とするケースが多く、訪日中国人観光客にとっては9月29日から8日間続く大型連休が始まっている。
2023年はゼロコロナ政策が終了してから初めての国慶節であり、多くの中国人観光客が来日することが見込まれている。そんななか、ドン・キホーテ銀座本館では、中国人観光客に向けた医薬品・健康食品、特に乳酸菌商品の需要を見込んだ準備をしているという。
商品によっては、国慶節前の段階で既にコロナ禍の20倍の売れ行きになっているものがあるというから驚くほかない。
医薬品、健康食品、チョコレートが人気
人気の高い日本限定フレーバーのキットカット。
撮影:杉本健太郎
ドン・キホーテ銀座本館ヘッドチーフの柴亜記仁(しば・あきひと)さんによると、国慶節直前の取材日現時点で中国人観光客に売れているのは、「主に医薬品と健康食品、 あとはお菓子やキャラクターグッズ」だという。「コロナ禍で世の中全体の健康意識が高まり、中国でもお土産として医薬品、特に栄養剤が売れている」。キャラクターグッズが売れているのは、「コロナ禍でアニメが流行った影響」だそうだ。
お菓子は特にチョコレートが品質が高いと好調だという。
「抹茶など日本特有の味が人気だと思います。1番売れているのはバリエーションが豊富なキットカットです。日本限定フレーバーのものがよく売れます」
お菓子コーナーでは抹茶味のものがまとめられている。
撮影:杉本健太郎
医薬品・健康食品は既にコロナ禍の数倍 、なかには10~20倍の売れ行きになっている商品もあるという。既に医薬品・健康食品の売り上げは「コロナ禍以前の水準」を上回っている。つまり2019年水準以上になっているということだ。
「サロンパスなどの貼り薬に加え、栄養剤、胃腸薬などの飲み薬も根強く人気です」
医薬品コーナーには貼り薬や胃腸薬、栄養剤が並ぶ。
撮影:杉本健太郎
乳酸菌商品が想像以上の売れ行き
ドン・キホーテ銀座本館では、こうした中国人の健康需要を見据え、キリンのプラズマ乳酸菌商品「おいしい免疫ケア」を売り込もうと大々的に展開している。実際に9月後半から商品を設置したところ、売り上げは好調だという。
「正直、想像以上に売れています。銀座本館の機能性食品の中では1番動きを見せていて、(国慶節直前の)2週間でこれだけ動くのかという驚きがあります。気温が下がって乾燥してくると風邪も流行りだすと思うので、さらに数字は伸びると思います」
「おいしい免疫ケア」の展開コーナー。
撮影:杉本健太郎
実際にプラズマ乳酸菌飲料の国内売り上げは好調で、中国人観光客の影響は未知数ながら、キリンビバレッジ マーケティング部ブランド担当の猪股唯子さんによると、「プラズマ乳酸菌が入った飲料の1月から8月までの累計販売数量は558万ケースで前年比138パーセントで推移している」という。
中国人観光客に向けたポップでアピールしている。
撮影:杉本健太郎
中国人観光客と言えば、以前から高級ブランド品や家電の「爆買い」のイメージが根強い。しかし、そのニーズに変化もありそうだ。背景には中国人の健康意識の高まりがある。
日本能率協会総合研究所の「中国における健康意識と日本⾷に関する調査2021年」によると、健康に気を使っている中国人の割合は2015年の36%から81.3%に大幅に伸びている。また、健康・美容のために実際に定期的に⾷べたり飲んだりしているものに関しては、「⽜乳/ヨーグルト、乳酸菌飲料」が53.3%(2015年)から93%に伸びている。
中国人の新たな「爆買い」に備え、柴さんは「お客様がどれだけ来ても耐えられるだけの在庫を用意し、ドンキならではの山積みの展開ができるように準備しています。常にお客様を迎えられる用意はできています」と語った。