古代ローマの百人隊に扮する男性たち。現代のローマで。
Alessandra Tarantino/AP Photo
- バンク・オブ・アメリカは歴史的な金利の推移をグラフ化したものを発表した。
- 同行のストラテジストによると、中央銀行は過去1年間で、借入コストを「5000年ぶりの低水準」から引き上げたという。
- おそらく今日の投資家たちは、同行のグラフから学ぶことはそれほど多くないだろう。
バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)のストラテジストたちは、TikTokで話題になっている男性たちと同じように、ローマ帝国について考えている。
理由は分からないが、同行は最近の調査報告で5000年分の金利を最新の数字まで入れてグラフにすることにした。
借入れコストの上昇は過去1年半にわたり、市場を牽引してきた大きな要因のひとつであり、インフレを抑制するため世界中の多くの中央銀行は積極的な引き締めを実施してきた。
ほとんどのトレーダーたちは、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の物価高騰との戦いはほぼ終わったと考えている。だが、歴史から学ぶべきことがあるとすれば、それは間違っている。
紀元前3000年から現代までの金利の推移。
Bank of America
バンク・オブ・アメリカは、シドニー・ホーマー(Sidney Homer)とリチャード・シラ(Richard Sylla)の著書『A History of Interest Rates(金利の歴史)』を引用している。この本には、青銅器時代後期、古代ギリシャ、ローマ帝国の時代から20世紀までの金利が年代順に記されている。
上のグラフは、メソポタミア人、ローマ人、ビクトリア人が最も高い借入コストと戦わなければならなかったことを示している。一方、最近の金利は「5000年ぶりの最低水準」から上がってきているにすぎないと2023年9月30日、同行の投資ストラテジストであるマイケル・ハートネット(Michael Hartnett)率いるチームは述べている。
「それは、債券と株式の異常な高リターンの終焉を意味する」と同チームは付け加え、さらに、今ウォール街がおびえている5%の利回りは、過去250年間ではごく普通のことだったと指摘している。
(ただし、同行のデータは約4100年分の歴史に触れておらず、パンデミック時代のレートが過去最低だったという主張には疑問が残る。)
言うまでもないが、投資家はこのグラフを鵜呑みにすることもできる。しかし、このストラテジストたちが「この先に暗い時代が待っている」と話しているのはおそらく冗談ではない。
ハートネットは2022年の株価がひどい数字になると予測した数少ないウォール街のアナリストの一人であり、彼はそれ以降ずっと悲観的な見方を続けている。彼は最近のリサーチノートの中で、原油価格の高騰や米ドルの暴騰、FRBのさらなる利上げがアメリカ経済の足を引っ張る可能性があると警告している。
彼のチームは5000年前のデータに基づいて予測をすることはあまりないが、ちょっとした歴史の教訓を知ってもだれも損をしないだろう。