グーグルは予告していた「Google Pixel 8/8 Pro」を正式発表した。
撮影:小林優多郎
グーグルは10月4日(現地時間)、スマートフォンやスマートウォッチなどの新商品を正式発表した。
いずれの製品も日本で10月12日に発売が予定されており、直販価格(税込)は以下の通り。
- Pixel 8……11万2900円(128GB)、12万2900円(256GB)
- Pixel 8 Pro……15万9900円(128GB)、16万9900円(256GB)、18万9900円(512GB)
- Pixel Watch 2……5万1800円(Wi-Fi版)、5万9800円(LTE版)
カメラは大幅向上。マクロ撮影時のAFにも対応
「Google Pixel 8」の背面カメラは二眼構成。カラーバリエーションは写真左から、Rose、Hazel、Obsidianの3色。
撮影:小林優多郎
Pixel 8/8 Proの共通する進化点は、主に「カメラ」と「AI機能」だ。
カメラはPixel 8が広角50メガピクセル(MP)、超広角12MPの二眼構成。Pixel 8 Proは広角は同じで、超広角が48MP、広角5倍の望遠48MPの三眼構成となっている。
共通しているメインの広角レンズでは、前機種「Pixel 7/7 Pro」と比べて感度が21%向上し暗所撮影に強くなっている。
また、超広角レンズ側の性能も向上しており、前機種にはなかったオートフォーカス機能が追加されている。これにより、Pixel 8では最短3cm、8 Proでは最短2cmのマクロ撮影が可能になっている。
「Google Pixel 8」の背面カメラは三眼構成。カラーバリエーションは写真左から、Porcelain、Bay、Obsidianの3色。
撮影:小林優多郎
なお、光学ズームは引き続きProモデルのみの展開で、デジタルズームに関しては8が最大8倍(広角レンズ利用)、8 Proが最大30倍(望遠レンズ利用)という仕様だ。
正面カメラに関しても両機種とも10.5MPのカメラを搭載している(オートフォーカスはProのみ)。本機種から画面ロックの解除に加えて、決済アプリなどの認証にも正面カメラによる顔認証が使えるようになっている点も地味だが、改良点だ。
Pixelに生成AIを使った機能もついに登場
「音声消しゴムマジック」の画面。音楽と環境ノイズを判別している。
撮影:小林優多郎
カメラで使えるAI機能は、いまやPixelシリーズの真骨頂と言える存在になった。
8/8 Proの登場に合わせて発表された新機能は「動画ブースト」「ビデオ夜景モード」「ベストテイク」「音声消しゴムマジック」「編集マジック」の5つだ。
それぞれの機能(今後アップデートで提供されるものも含む)については以下の通り。
- 動画ブースト……撮影した動画を解析し、AIが自動で画質やダイナミックレンジ、被写体ブレなどを補正してくれる。
- ビデオ夜景モード……静止画で提供されていた夜景モードの動画版。薄暗い場所でも明暗差がハッキリとした映像になる。
- 音声消しゴムマジック……動画の音を解析し、AIが音声や雑音、音楽などを判別する。判別した要素ごとに強弱を指定できるため、雑踏の中で声だけ、話し声が聞こえる環境で演奏中の音楽だけ、といったような抽出作業ができる。
- ベストテイク……生成AIを活用した機能。写真内の顔を認識し、AIが提案した別の表情に変えられる。端末内に保存された同じ顔写真のデータを学習でき、同じ人を撮る量が増えるほど精度が増す。
- 編集マジック……5月の「Google I/O 2023」で発表された機能。従来の「消しゴムマジック」の機能も統合され、指定した被写体を消せるほか、被写体の位置や空の色なども変えられる。
ベストテイクでは、集合写真などで目を閉じていたり、違う方向を向いている人の顔を直せる。
撮影:小林優多郎
特に「ベストテイク」に関しては反響の大きそうな機能だ。想定されている利用シーンとしては、旅行先の集合写真など、全員が笑顔の写真が欲しいときに使える。
一方で、被写体の意図しない表情にもできるため、節度ある利用がユーザーには求められる。
グーグルでPixel製品を担当するピーター・プルナスキー(Peter Prunuske)氏は、ベストテイクや編集マジックなどの生成AIを活用した技術について、ディープフェイクに使われる一定の可能性については認めつつも、「(グーグルは)AIの原則を公表している。ユーザーの信頼は真剣に考えている」と述べた。
Google Pixel 製品管理担当 シニア ディレクターのピーター・プルナスキー氏。
撮影:小林優多郎
プルナスキー氏によると、例えば編集マジックで作成した画像にはメタデータが含まれており、サードパーティー製アプリでも対応すれば、画像が手直しされたかどうかは判別できるとしている。
こうしたAI機能は種類によってクラウドと端末側のハイブリッド処理によって実現している。
Pixel 8/8 Proでは最新の「Tensor G3」を搭載しており、7/7 Proに搭載されている「Tensor G2」に比べて演算効率が170%向上している。
Tensor G3によりカメラや写真・動画以外にも音声アシスタントの複数言語対応や、レコーダーの自動言語認識なども利用できる。
対iPhoneを意識したPixel初の「7年間サポート」
Androidスマホの「iPhoneに比べて長く使えない問題」をPixelが解決できるか。
撮影:小林優多郎
8/8 ProではPixelシリーズでは初めて7年間のOSおよびセキュリティアップデート、新機能を含むソフトウェアアップデートを7年間提供する計画になっている。
例えば、アップルのiPhoneの最新版OS「iOS 17」は2018年発売の「iPhone XS/XRシリーズ」までをサポート。
国内で販売しているAndoridスマートフォンメーカーの中では、シャープが秋頃に発売する「AQUOS Sense8」で最大3回のOSアップデートなどを公言しているが、一般的にAndroidスマートフォンはiPhoneに比べてセキュリティー的な面で長く使えないという印象は根強い。
グーグルとしては、ライバルのアップルよりも長い期間サポートすることで、自社で開発するAndroidとPixelの親和性をアピールする狙いがある。
Pixel Watch 2は新センサー搭載&バッテリーもちが改善
最新Wear OSを搭載する「Pixel Watch 2」。
撮影:小林優多郎
スマートフォンのPixelのほか、スマートウォッチの「Pixel Watch 2」や、既存のワイヤレスイヤホン「Pixel Buds Pro」の新色・新機能も発表されている。
特にPixel Watch 2については引き続きFitbitによる健康管理機能やSuica/iD/QUICPay+の非接触電子マネー機能をサポート。
新しい継続的皮膚電気活動(cEDA)センサーや皮膚温センサーを新搭載することで、より正確な心拍数やストレスの変化などを計測できるようになっている。
写真左からPixel Watch 2、初代Pixel Watch。正面から見た時の印象はほとんど変わらない。
撮影:小林優多郎
また、最新版のWear OS 4をプリインストールし、6つの新しい文字盤(ウォッチフェイス)のほか、「Gmail」と「Googleカレンダー」アプリが使えるようになる。
前機種の「Pixel Watch」で指摘されていた電池のもちも改善。常時表示モードでも最大24時間駆動し、30分で12時間利用できる高速充電に対応した(いずれも公称値)。
写真左からPixel Watch 2、初代Pixel Watch。裏面を見るとセンサーの違いで世代がわかる。
撮影:小林優多郎
Pixel 8/8 Pro、Pixel Watch 2のいずれも直販サイトのGoogle Storeのほか、NTTドコモ、KDDI(沖縄セルラーを含む)、ソフトバンクでも取り扱われる予定。
Watchについては初めてNTTドコモでも取り扱われるため、同社のアクセサリー端末向けプラン「ワンナンバーサービス」が利用できると見られる。