アマゾン川の支流で120頭以上のイルカが死亡… 水温が上がり過ぎて「スープのよう」と専門家は警鐘

イルカ

イルカの死骸を回収する研究者ら。

Bruno Kelly / Reuters

  • アマゾン川の支流、ブラジルのテフェ湖周辺は9月下旬、記録的な暑さに見舞われた。この地域では深刻な干ばつが続いていた。
  • 湖の水温は約39度あったという。
  • 120頭以上のアマゾンカワイルカが暑さの影響で命を落としたと見られていると、研究者は話している。

アマゾン川の支流、ブラジルのテフェ湖周辺では9月下旬、水温が約39度に上昇し、120頭以上のアマゾンカワイルカの死骸が研究者によって発見されたり、岸に打ち上げられるなどした。

CNNによると、テフェ湖周辺は記録的な暑さに見舞われていて、深刻な干ばつも続いていた。

テフェ湖

Bruno Kelly / Reuters

ニューヨーク・タイムズによると、イルカたちの調査を主導している持続可能な開発のためのマミラウア研究所(Mamirauá Institute for Sustainable Development)は、水温が通常よりも10度近く高いと指摘している。マミラウア研究所の研究者たちは、病気や汚染などさまざまな死因の可能性を調べているものの、水温が死因として最も可能性が高いと考えているという。

「水面が死骸で覆われているのが見えるだろう」とマミラウア研究所の研究者ミリアム・マルモンテル(Dr. Miriam Marmontel)氏は同紙に語っている。

水温があまりに上昇したため、湖が「スープのよう」になってしまったともマルモンテル氏は話している。

回収された死骸

Bruno Kelly / Reuters

「1、2頭のイルカの死骸に出くわすことは珍しいことではない」とシコ・メンデス生物多様性保全研究所(Chico Mendes Institute for Biodiversity Conservation)環境緊急事態部門の責任者クラウディア・サクラメント(Claudia Sacramento)氏はワシントン・ポストに語っている。

「(こうしたイルカたちは)高齢だったり、病気だったりすることが多い。ただ、このような状況はこれまで見たことがない」

研究者たちはイルカ —— 生きていたとしても方向感覚を失い、潜水することもできない —— を心配しているが、水温の低い場所に移すこともできないと同じ研究所の別の研究者アンドレ・コエーリョ(André Coelho)氏は話している。

イルカ

イルカの死骸を調べる研究者ら。

Bruno Kelly / Reuters

「カワイルカを他の川に移すのは、それほど安全とは言えない。(事前に)有害物質やウイルスが存在しないか、確認することが重要だ」とコエーリョ氏はCNNに語った。

科学者たちはその確認作業を進めている。ワシントン・ポストによると、10人以上の獣医師たちが検査のためのサンプル採取や死亡したイルカの解剖をボランティアで行っている。

解剖

イルカを解剖する獣医師や研究者たち。

Bruno Kelly / Reuters

死亡したイルカの数は、生息するアマゾンカワイルカ全体の5~10%という途方もない割合を占めていると、マミラウア研究所のマルモンテル氏はNPRのインタビューで語っている。

ただ、これで終わりではない。今後数週間のうちにこの地域ではさらに深刻な干ばつが起きると見込まれていて、動物たちにとってはより厳しい状況になる恐れもあると、CNNは報じている。

「わたしたちは最悪の事態に備えている」とイルカたちの解剖を手伝っている獣医師のアドリアナ・コロシオ(Adriana Colosio)氏はワシントン・ポストに話している。

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