債券市場は利回りの上昇に苦しんでいる。米国債30年物は数十年ぶりに5%を超え、専門家は10年物も同様の道を歩むと見ている。
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- ブルームバーグによると、2020年3月以降、満期が10年以上の国債は46%急落した。
- これは、ドットコムバブル崩壊時の株式市場の損失をわずかに下回る水準だ。
- 債券の暴落は、1981年に10年物利回りが16%近くになった時よりもひどい。
利回りを急騰させている債券市場の売りは、過去の最も極端な市場のメルトダウンを凌駕し始めている。
ブルームバーグによると、満期が10年以上の国債の損失は2020年3月以降46%に達し、30年債は53%も急落した。
これらの損失は、ドットコムバブル崩壊後に49%、2008年の余波で57%という、最近の歴史上最悪の暴落時に見られた株式市場の損失に匹敵する。
過去の債券市場のメルトダウンと比較しても、長期国債は歴史上最も極端な暴落に見舞われている。その損失は、10年物利回りが16%に迫った1981年の2倍以上だ。
この暴落は、ポール・ボルカー(Paul Volcker)前連邦準備制度理事会(FRB)議長が歴史的なインフレに取り組み、フェデラル・ファンド金利を20%弱まで押し上げたときに起きた。
金利は現在もその水準を大きく下回っているが、パンデミック後にFRBが積極的な金融引き締めに転じたことが、債券市場の同様の暴落を引き起こした。そしてトレーダーは、インフレの再燃を懸念して売りを続け、今年に入っての国債の大量発行も債券価格を圧迫している。
その結果、長期債の利回りは2007年以来の高水準まで上昇し、30年債は数十年ぶりに5%の壁を超えた。投資家たちは、4.7%強で推移している10年債も同様の道を歩むと予想している。ビル・アックマン(Bill Ackman)、レイ・ダリオ(Ray Dalio)、ビル・グロス(Bill Gross)などの著名な投資家は、10年債が近いうちに5%に達すると見ている。