地球の内核は固体の金属というよりもバターに近い…謎が多い磁場の説明に役立つ可能性

地殻、マントル、内核と外核を含む地球の各層のイメージ図。

地球の各層(地殻、マントル、外核、内核)のイメージ図。

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  • 科学者たちは長い間、地球の内核は巨大な固体金属球のようなものだと考えてきた。
  • しかし、ある研究の結果、内核はバターのように非常に柔らかい可能性があることが明らかになったと主任科学者は述べている。
  • この結果は、地球の磁場がなぜこれほど奇妙なものであるかを説明するのに役立つかもしれない。

地球の内核は固体の金属球のように硬いという長年信じられてきた仮説に疑問を投げかける新しい研究結果が発表された。

それによると、地球の心臓はこれまで考えられていたよりもずっとベトベトしている可能性が高いという。「キッチンでバターが柔らかくなるのと同じようなものだ」と、この研究の筆頭著者である中国の四川大学のYoujun Zhang教授は、共同研究したテキサス大学のプレスリリースで語っている。

この発見は、地球の磁場が常に予想を裏切る理由など、この惑星の長年の謎のいくつかを説明する助けになるかもしれない。

我々は地球の核を見たことがない

地球の内部を直接採取する方法はない。そこまで深く掘削することはできないし、仮にできたとしても、人間の使う道具は地球の奥底の温度や圧力に対処するのに苦労するだろう。

そのため、科学者たちは通常、地震によって広がる衝撃波から得られる情報に頼っている。

この波が地球内部の構造にどのように伝わっているかを見ることで、地球内部で何が起きているかを推測することができる。

この地震波データとコンピューターモデルを組み合わせることで、科学者たちはこれまで、地球の中心部の圧力が非常に強いため、灼熱の温度にもかかわらず、そこにある鉄原子は固体の形になると予測していた。

これらのモデルでは、原子は六角形のパターンでくっついていた。つまり、地球の中心(内核)には巨大な固体の金属球があり、溶けた金属のプール(外核)の中で揺れ動いていたのだ。

しかしながら、それが完全なモデルではないことは分かっている。

鉄原子が内核の内部で六角形に配置されている様子を表した模型を持つ、研究の主執筆者であるテキサス大学のジュンフー・リン教授。

鉄原子が内核の内部で六角形に配置されている様子を表した模型を持つ、研究の主執筆者のJung-Fu Lin教授。

Jung-Fu Lin / UT Jackson School of Geosciences

地球内部のドロドロした部分が明らかに

2021年の研究で、すでに地球の内部が大きな鉄球であるという仮定には疑問が呈され始めていた。地震波は完全な固体の核と一致するような形で地球を通過していないことが分かったのだ。

「見れば見るほど、退屈な鉄の塊ではないことがわかる」とイギリスのブリストル大学(University of Bristol)の地震学者、ジェシカ・アーヴィング(Jessica Irving)は、2021年に科学ニュースのウェブサイト「ライブサイエンス(Live Science)」に語っている。

2023年10月9日に、「米国科学アカデミー紀要」に発表されたこの新しい研究は、この謎を解こうとしたものだ。

研究室内で、内核に見られる激しい圧力と温度の状態を再現し、そのデータをより高度なコンピューターモデルと組み合わせた。その結果、原子は実際に六角形のパターンで固まっていることがわかったのだ。

しかし、驚くべきことに、個々の鉄原子はまだそのパターンの中で、まるでゲストがディナーテーブルを移動するように動くことができたとプレスリリースには書かれている。

強い圧力によって六角形のパターンに拘束されているにもかかわらず、原子が地球の内核の中でどのように移動するかを示したアニメーション。

強い圧力によって六角形のパターンに拘束されているにもかかわらず、原子が地球の内核の中でどのように移動するかを示した図。

UT Jackson School of Geosciences

「我々の大きな発見は、固体の鉄が地球の奥深くでは驚くほど柔らかくなるということだ。それは鉄の原子が我々が想像していたよりも動くことができるからだ」とZhang教授は述べた。

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