炎上するイスラエル軍車両の前で自撮りするパレスチナ人男性。
Yasser Qudih/Getty Images
- 10月7日、ハマスがイスラエルに対して史上最悪の攻撃を開始した。
- 過激派はパラグライダーを使い、フェンスを破ってイスラエルに侵入し、民間人を殺害、拘束した。
- アナリストによれば、このテロ集団は地域の不安定を利用しようとしていたという。
イスラエルが史上最悪のテロ攻撃から立ち直る中で、過激派組織ハマスによる攻撃のタイミングに注目が集まっている。
攻撃は10月7日未明に始まり、過激派がパラグライダーを使い、イスラエルとガザの国境の警備フェンスを突破した。
アメリカ政府関係者はNBCニュースに対し、この攻撃は、イスラエルとサウジアラビアとの関係を正常化するために進行中の、アメリカが支援する重要な交渉を頓挫させるためのものだろうと語った。
サウジアラビアは歴史的にイスラエルの正当性を認めず、国家間の敵対関係は1948年の第一次中東戦争にまでさかのぼる。
しかし、サウジアラビアの支配者であるムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)は、イスラエルとの関係正常化による経済的利益を利用することに熱心であり、他のアラブ諸国もそれに追随するのではないかと期待されている。
ハマスの主要な支援者であるイランは、イスラエルとその地域の近隣諸国との関係を正常化しようとする試みに長い間反対してきた。
フィナンシャル・タイムズは10月8日に、イランによるイスラエル攻撃への関与があるかどうかをアメリカ当局が確認しようとしていると報じた。
今回の攻撃とイスラエルによるハマスへの宣戦布告を受けて、リヤド側が要求していたイスラエルによるパレスチナ人への譲歩を含むイスラエルとサウジアラビアの協議が成功する可能性はさらに低くなっている。
ハマス自身は、今回の攻撃はイスラム教の3番目の聖地であり、長年の引火点となっているエルサレムのアル・アクサ・モスクにイスラエル人入植者が侵入したことへの反応だと述べた。
しかし、ハマスの関係者はロイターに対し、この作戦は何年もかけて準備されており、ハマスが最近の出来事に対するイスラム教徒の不満を利用しようとしている可能性が高く、より広範な外交情勢が攻撃の本当の動機であることを意味していると語った。
「現実には、ハマスはこの攻撃をエルサレムのアル・アクサ・モスク周辺へのイスラエル軍の侵攻への対応として見せかけているが、より広い外交情勢の中で自らを主張する方法として、この時期に、このような形で、この紛争を引き起こすことを選んだということだ」とガーディアンは述べている。
アナリストらによると、攻撃のタイミングの背後にある可能性のあるもう一つの要因は、最近のイスラエルの政治的混乱だ。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は、自身に対する汚職疑惑の調査をきっかけに、イスラエルの最高裁判所の権限を縮小しようとしており、大規模な抗議行動を引き起こしている。
NATOの元司令官であるジェームズ・スタブリディス(James Stavridis)はNBCニュースに対し、「イスラエルの敵対者の間では、イスラエルがこれほど分断され、弱体化し、引き裂かれたことはないという意識がある」と語った。