NASAのハッブル望遠鏡、これまでの定説を覆す「青い閃光」を観測

科学者たちが謎の青い閃光を発見した。何が原因かは分かっていない。

科学者たちが謎の青い閃光を発見した。何が原因かは分かっていない。

NASA, ESA, NSF's NOIRLab, Mark Garlick , Mahdi Zamani

  • 一見何もないように見える宇宙空間から、まばゆいばかりの青い光が放たれ、天文学者を困惑させている。
  • 科学者たちは以前、「高速青色光過渡現象」は死にゆく星によって引き起こされると考えていた。
  • しかし、この新しいフラッシュの位置は、死にかけの星があるべき場所の近くにはない。

一見何もないように見える宇宙の真ん中に現れた青い閃光に、科学者たちは困惑している。

華氏約3万6000度(摂氏約2万度)だったと思われるこの鮮やかな閃光は、高速青色光過渡現象(Luminous Fast Blue Optical Transient :LFBOT)として知られる珍しい爆発だ。NASAは10月5日にこの発見について声明を発表した

科学者たちは、以前は何がこのような明るいエネルギーの爆発を引き起こすのかがわかっていると思っていた。しかし、今年4月に初めて発見された最新の観測によって、科学者たちは何が起こっているのかを再考している。

「LFBOTは、知れば知るほど、我々を驚かせる」と、この発見に関する論文の著者で欧州宇宙機関(ESA)研究員のアシュリー・クライムズ(Ashley Chrimes)はプレスリリースで述べている。

その閃光は発生するはずのない場所で光った

LFBOTは数日で消滅してしまう。この閃光は非常に明るく短命であるため、科学者たちは以前、コア崩壊型超新星と呼ばれる特殊なタイプの現象によって引き起こされるに違いないと結論づけていた。

通常、超新星は数カ月間輝き続ける。これとは対照的に、コア崩壊型超新星は、最も大きな星が死ぬときに起こり、数日しか続かないエネルギーの爆発を放出する。

問題は「フィンチ(Finch)」と呼ばれるこの最新のLFBOTが、最も近い銀河系から1万5000光年離れた場所で起こったことである。これはコア崩壊型超新星が移動するには遠すぎる。

超新星は、銀河の中で生まれた恒星の終焉の姿だ。大きな星の寿命は短いので、そのような大きな星がコア崩壊型超新星になる前に、そこまで移動する時間があったとは考えにくい。

「LFBOTが最も近い銀河の中心から遠く離れた場所でも発生する可能性があることを知った。フィンチの位置は、どのような種類の超新星であっても存在するべき場所ではない」とクライムズは述べている。

未確認のブラックホールか、それとも2つの星の衝突か

LFBOTの原因究明は振り出しに戻った。

明るい青色の閃光の原因については、他にもいくつかの仮説がある。 しかし、それらは奇妙なものだ。

仮説の一つは、ブラックホールが星を飲み込んでいるというものだ。 その場合、まだ発見されていない球状星団がその周りに見えることが予想される。 これまでこの地域に向けられていた望遠鏡の威力が十分ではない可能性があるが、プレスリリースによると、新しいジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、その機能により、この問題の答えを提供する可能性があるという。

もうひとつの可能性は、2つの中性子星が猛スピードで宇宙空間を移動しているときに、たまたま衝突してキロノバ(通常の新星の1000倍の威力を持つ爆発)を起こしたというものだ。

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「キロノバ」の想像図。

NASA's Goddard Space Flight Center/CI Lab

「この発見は、答えよりも多くの疑問を投げかけている。多くの可能性のある説明のうち、どれが正しいのかを解明するためには、さらなる研究が必要だ」とクライムズはプレスリリースで述べている。

この発見は、プレプリントサーバーで出版に先駆けて共有され、査読付き学術誌『The Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』に掲載される予定だ。

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