Pixel 8、iPhoneユーザーが乗り換えはアリ? エアドロができなくても「仕事で使いたい」と思える理由

かれこれ8年ぐらい、iPhoneを使っている。

なんとなく「みんな使っているから」という理由だけでiPhoneにしてきたが、最近ちらほらと周りでPixelを使う人が増えてきた気がする。

よく耳にするのが「仕事で使いやすい」という話。果たして、ビジネスパーソンが使うべき理由が詰まった1台なのかを探ってみることにした。

Pixel 8が登場

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撮影:荒幡温子

10月12日に発売開始した、Pixel 8。仕事だけでなく、プライベートでも2週間ほど使用してみた。

iPhoneとの違いは、PixelはGoogle自身も謳うように、AIスマホであるという点に集約されるだろう。

カメラの修正機能をはじめとして、文字起こしや自動応答機能など「面倒なことは全部Pixelがやってくれる」という安心感は、iPhoneにはないものだった。

両者の価格差も気になるところ。iPhone 15の128GBモデルが12万4800円なのに対し、Pixel 8は同様のストレージ容量で、約1万円安い11万2900円で販売する。

なぜか手頃なイメージが先行しているが、廉価版のPixel aシリーズの存在や、頻繁に実施するセールの影響なのだろう。

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なお、iPhone同様に下取りサービスもあるが、Pixelに限らず、iPhoneやその他Androidの他機種も対象内だ。これは、一気に機種変のハードルが下がる嬉しいポイントではないだろうか。

議事録に重宝する「文字起こし」

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仕事で使える一番の機能といえば、文字起こし。編集者として、取材はもちろん、ちょっとした会議の議事録にも重宝する。

使い方は簡単だ。レコーダーのアプリから録音を開始して、文字起こしをタップするだけで、リアルタイムでテキスト化してくれる。

Pixel 6シリーズから導入されているものなので、真新しいものではない。だがiPhoneからの乗り換えで、GoogleのAIの本気に面食らったのが、この機能だった。

その精度はもちろん、Googleエコシステムの恩恵もあって、便利の一言に尽きる。

無料の文字起こしアプリも使えないことはないが、使いやすさはPixelに軍配が上がる。任意のテキストをタップすると、その音声が再生されるという、直感的な操作もわかりやすい。

個人的には、テキスト化した音源をそのままGoogle ドキュメントのファイルに起こせるので、第三者への共有も手早く済むのも、Pixelならではの使いやすさだと感じた。

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Business Insider JapanのTikTokを字幕起こししてみた。

なお、似たような機能に、「自動字幕起こし」がある。

すでに字幕機能のあるYouTubeやTikTokではあまり意味がないかもしれないが、撮影した動画やInstagramのリール、ポッドキャストなどがテキスト化されるものだ。

だいたい一文遅れくらいのテンポにはなるが、それらを翻訳することもできる。

試しにリール動画で試してみたところ、これが意外と便利。英語以外の全く聞き取れない言語は、ワンテンポ遅れても、意味が分かるだけで嬉しい。

イヤフォンを忘れた日の通勤時間にも重宝しそうだ。

迫力のある絵が撮れるカメラ

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Pixel 8で撮影。

編集者の私にとって、仕事づかいとしてのPixelに期待したいことの一つに、「ミラーレス一眼を持たずに取材に足を運ぶ生活」というものがある。

かれこれ3年くらい使っているミラーレスをいまだに使いこなせていない私にとって、AIスマホに頼れるのであればそれで十分な気がするのだ。

ということで、いくつか写真を撮って、この夏にApple Careで新調したばかりのiPhone 12と比較してみた。

ほぼ新品とは言え、3年前に発売のiPhone 12の写真と並べると、いささか乱暴な比較にはなる。あくまで参考程度にしてほしい。

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左:Pixel 8、右:IPhone 12。それぞれポートレートモードで撮影。

まずはポートレートから。思った以上に違いが出ているのが分かる。iPhone 12では、青空と人物それぞれの明るさを両立させるのが難しいと感じていたのだが、Pixelは難なくやってのけてくれている。

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Pixel 8で撮影。

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iPhone 12で撮影。

夜景モードも、Pixelは葉っぱの細かい陰影まで捉えられている。

数週間カメラを使い回してみたところ、風景の場合は、Pixelのほうが細部のディティールまできれいに写るので、全体的に迫力が増した絵が撮れる印象だ。

一方で、人物に関してはコントラストが強い分、肌が不自然に白く見えてしまうのが少し気になった。この辺りは好みや慣れの問題でもあるだろう。

露出設定は面倒…

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ただ、操作感で気になった点がある。それが、露出設定だ。

iPhoneでは撮影画面をタップするだけで、露出の切り替えができるが、Pixelでは①調整のアイコンを押す②任意の操作(明るさ・シャドウ・ホワイトバランス)から選択、という2アクションが必要になる。

前回明るさを設定していれば、デフォルト表示が①だけで済むこともあるが、右下にあるアイコンまで指を伸ばさないといけない。

例えば、会議でプロジェクターに写し出されたスライドや、PCやモニターなどの液晶画面は、部屋の照明に合わせたデフォルトの設定だと、ホワイトアウトしてしまうことがよくあるだろう。

ささっと撮りたいタイミングなのに、操作が1アクション増えるだけで、つい手こずってしまうことがあった。

一方で、明るさ以外のシャドウとホワイトバランスが撮影画面から操作できるので、写真にこだわりたいシーンではありがたい。Pixelならではの写真のクセも、多少のコントロールが効くだろう。

音声マジック

Pixelと言えば、あのCMも相まって「消しゴムマジック」のイメージが定着しているのではないだろうか。

Pixel 8からは、音声マジックの機能も追加された。あまり仕事で使う機会はないかもしれないが、今回からの新機能ということで、そちらも見ていこう。

先日、首都高を走るバスツアーでレインボーブリッジを渡った時の映像で使ってみよう。

吹きさらしの海の上とあって、風の音が入ってしまうのはやむを得ない。だが、バスガイドの音声も聞き取りたい……。

音声マジックを使えば、ものの数秒で音声を「人の声」「ノイズ」「音楽」などに分類してくれる。修正後の音声も、ほとんど違和感はない。

同じくPixel 8から導入された「ベストテイク」も、あっと驚く機能だった。

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今回は1人の撮影だが、複数人だとより一層ベストテイクの機能が発揮されるだろう。

複数枚撮影すると、被写体の顔のみを検出して、その中から一番の表情を選ぶことができるというものだ。例えば、目をつぶってしまった時に、目が開いている表情に差し替えることができる。

1人や2人であれば、その場で撮り直しすることもあるが、大人数となると全員のベストな表情を捉えるのは難しい。先日家族で出かけた際に使ってみたのだが、素敵な一枚を残すことができて満足している。

もちろん、エアドロは使えない…

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これはもう、言うまでもない話だが、iPhoneでなくなると、Apple Watchは機能せず、AirDropやiCloudは使えない(ちなみにAir Podsは、パーソナライズはできないが、接続自体は可能だ)。

WindowsのPCであれば、「Nearby Share」というAndroid版AirDropのような機能があるので、スマホとPC間のデータ送受信は何ら問題はない。

しかし、あいにく手持ちのPCはMacなので、この記事で使う素材も、Googleフォトを通じてせっせとダウンロードするという運用で調達した。だが、Googleのサービスに一貫されているので、思ったほど面倒に感じることはなかった。

1点困るのが、iPhoneとPixel同士で写真をシェアするケース。当たり前のようにエアドロや共有アルバムを使って写真をシェアしていたが、それもLINEで送り合うしかない。いまだにiPhoneが根強い日本において、少し疎外感を感じてしまう瞬間だ。

荷物が減るスマホ

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安定のType-C充電。

iPhoneに慣れているからこそ、しばらくは不便を感じることにはなるだろう。それでもPixelは、仕事で使いたいスマホという意見には納得する。

実際に使ってみて、仕事における荷物がずいぶん減った。カメラもボイスレコーダーもいらない。Type-C充電なので、ケーブルもいらない。全てこの1台で事足りてしまう。

今年の初めのChatGPTの波は、AIによる生活の効率化を多くの人が体感した出来事だったが、Pixelの体験も似たようなものを感じた。あらゆる作業がGoogleのサービスのもとで一元化できるのは、もはや「荷物が減る」にとどまらず、「無駄が減る」スマホといった印象を受けた。

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