Yコンビネーターの応募審査責任者が明かす、2万件超の応募から選ばれるスタートアップの特徴

スタートアップ

Austin Distel/Unsplash

アクセラレーターに成長を後押ししてほしいと望むアーリーステージのスタートアップにとって、「Yコンビネーター(Y Combinator)」という社名ほどそそられるものはないだろう。

スタートアップアクセラレーターであるYコンビネーターは、その狭き門でつとに有名だ。夏季と冬季のコホートに寄せられる応募は2万件以上、うち受け入れられるのはたったの1.5〜2%程度にすぎない。エアビーアンドビー(Airbnb)、ストライプ(Stripe)、ドロップボックス(Dropbox)など、シリコンバレーの有力企業の中にはYコンビネーター出身の企業も目立つ。

Yコンビネーターの2022年夏季のコホートに参加したスタートアップの数は、その前のコホートの参加数から40%減少したが、Yコンビネーターの広報担当者によれば、このコホートに採択されたスタートアップの数は17.5%増加したとのことだ。

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Yコンビネーターの応募審査チーム責任者、ステファニー・サイモン。

Y Combinator

Yコンビネーターの応募審査チームの責任者を務めるのがステファニー・サイモン(Stephanie Simon)だ。サイモンは2016年に応募審査チームのメンバーとなり、2020年11月に責任者となった。

サイモンはこれまでに何千もの申請書に目を通し、この特別なアクセラレータープログラムを勝ち抜こうとする気鋭のスタートアップのファウンダーたちに向けて最高のヒントを授けてきた。

先ごろ投稿したブログの中で、サイモンは現在募集中のコホートに応募しているファウンダーに対し、Yコンビネーターを困難な時期に会社経営をするための「エリートの基礎訓練」だと思ってほしいと書いている。

「特にテック界隈では、成功したスタートアップの少なくない数が景気後退期に誕生していることはよく知られているところです(「スタートアップ+景気後退」で検索すると、多数の記事が見つかります)。ここ数カ月、大手テック企業を辞めたファウンダーからの応募が多いのもそれが一因でしょう」

サイモンはInsiderの取材に対し、Yコンビネーターへの応募申請手続きは非常に簡単だと語っている。

スタートアップが申請書を提出すると、応募審査チームと幹部数人がそれを審査する。審査の結果面接へ進むことになったファウンダーには10分間のビデオ面接が設定され、その後すぐに受け入れるかどうか決定が下される。

サイモンによれば、「10分間の面接後、99%は1日以内に返答する」という。

またサイモンは、どれほど最先端で流行りのスタートアップであっても、それだけで他のスタートアップを差し置いて自動的に選ばれることはないとも話す。

Yコンビネーターでは、近年ならば「仮想通貨」や「チャットボット」など、特定の分野の応募数が急増することがある。しかしそれよりも重要なのは創業者チームの強さだ。「審査の観点は、『このスマートで印象的なスタートアップは何に取り組んでいるのか?』ということ」とサイモンは述べる。

Yコンビネーターの広報担当者によれば、今回のコホートでは当然のことながら大規模言語モデルやジェネレーティブAIといったアイデアが目につくものの、Yコンビネーターはあくまで「アイデアにではなくファウンダーに資金を提供する」のだと強調する。

サイモンは、Yコンビネーターが審査の際に重視するポイントを3つ教えてくれた。以降で紹介しよう。

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