ユニクロやGUを展開するファーストリテイリングの2023年8月期連結決算(通期)は、大幅な増収増益で過去最高の業績となった。売上収益(売上高)が2兆7665億円(前期比20.2%増)、営業利益3810億円(28.2%増)、純利益2962億円(8.4%増)だった。
業績を押し上げたのは海外のユニクロ事業だ。ショルダーバッグの世界的なヒットは記憶に新しいが、連結全体に占める売上収益が初めて5割を超え、営業利益に占める割合も6割まで伸びた。
▶関連記事:ユニクロのショルダーバッグが「2023年の最も流行している商品」に… トレンドの「静かな贅沢」も後押しか
売上高5兆円の道筋はほぼ見えている
決算会見での柳井正ファーストリテイリング会長兼社長。
出典:決算会見より
2024年8月期の通期業績予想は引き続き増収増益で、連結売上収益は同社初の3兆円台となる、3兆500億円になる見込みだ。
今後もさらなる高みを目指す。10月12日の会見でファストリ会長兼社長の柳井正氏は、
「今後数年で売上高5兆円を達成し、さらに売上高10兆円を目指します。世界の主要都市にグローバル旗艦店を出店していく現在のやり方で、売上高5兆円までの道筋はほぼ見えています。これを2倍にするだけで、そんなに難しくない。10兆円は決して途方もない目標とは考えておりません」
と語った。
サクセッションプランも着々と
会見ではたびたび「チーム経営」が強調された。
出典:決算資料
決算会見では9月にユニクロの社長に就任した塚越大介氏についての質問が相次いだ。塚越氏は2022年からユニクロのグローバルCEOを務め、米国事業を黒字化した実績を持つ。
柳井氏は塚越氏を社長に抜擢した理由として「現場第一主義」であることなどを挙げ、
「塚越君には世界各国や各チームの経営者と経営チームを構築すると同時に、全社の各部門を連携し、真のグループ経営を実現して、経営の質を高めてもらいたいと考えています」(柳井氏)
と期待する。一方で、次のような要望も。
「私、柳井正は今後もユニクロとファストリの会長兼社長として、従来同様、グループ全体の経営の意思決定及び経営執行をやってまいります。念の為申し上げておきますが、私もまだ頑張りますので、どうか会長と呼ばずに社長と呼んでください。心からお願いいたします」(柳井氏)
2人の役割分担については「ない。みんなそんなことばかり言う(聞く)んですよ」とキッパリだ。
「すでに経営チームが中心となって、次の時代を担う20代30代の経営者候補を発掘し育成するサクセッションプランを作り、世界各地で実行しつつあります」(柳井氏)
と、経営のサクセッションプランについても進行中だと説明した。