デビットカードは便利なツールだが、いつ、どこで使うかは気を付けた方が良い。
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- デビットカード詐欺は、カードのスキミングや盗難により発生することがある。
- デビットカードはクレジットカードほど補償が厚くないので、詐欺のあったときに損失を被ることがある。
- リスクを減らすには、頻繁に銀行の取引明細を見直し、特定の場所でのカード利用を回避することだ。
デビットカードは銀行口座の資金を手軽に使えるツールだが、いつ、どこで使うかは気を付けた方が良い。デビットカード詐欺の被害にあったときにすぐに金融機関に報告しなければ、甚大な詐欺被害の責任を負う羽目になる。
デビットカードを安全に利用し、リスクを最小限に抑えられるよう、デビットカード詐欺について知っておくべきことを以下に説明しよう。
デビットカード詐欺を見つける方法
デビットカード詐欺は、許可なくカードが不正利用されたときに起こる。
犯罪者が最も簡単にカード情報を手に入れるのは、デビットカードを紛失したり盗まれたりした場合だ。だが、犯罪者はスキミングと呼ばれるプロセスを通じてデビットカード情報を入手することもある。
スキミングは、店舗、レストラン、娯楽施設などあらゆるところで起こる可能性がある。犯罪者は機器を使用してカード情報を入手し、後日それを使ってカードを複製したり、オンラインショッピングをしたりする。
デビットカード詐欺は一般的か?
アメリカの連邦取引委員会が運営する消費者苦情ネットワーク(Federal Trade Commission Sentinel Network) には、2023年1月~6月までの間にデビットカードが不正決済手段として使われたケースが3万8000件以上報告された。消費者の被害総額は1億600万ドル(約160億円)に上る。
「残念ながらデビットカード詐欺はあまりにも頻繁に発生する。この問題に詳しい大半のアナリストによると、デビットカード詐欺を含むカード詐欺全体がコロナ禍で著しく増加した」と全米消費者連盟(National Consumer League) の公共政策・通信・詐欺部門のヴァイス・プレジデント、ジョン・ブルー氏は言う。
デビットカード詐欺が起こりやすい場所
- ガソリンスタンド:ブルー氏は、スキミングがよく起こる場所としてガソリンスタンドを警戒する。また、カードを機器に挿入したり非接触でタップしたりする代わりに、読取機に通すよう求められることもあるが、この方法は安全ではない。
- レストラン/バー:レストランの席でお会計をする際には決済方法に気をつけよう。接客係がカードをレジまで持って行くことがあるので、デビットカードよりも補償の厚いクレジットカードの利用を検討した方が良い、とブルー氏は言う。
- 旅行先:良く知らない場所や外国に旅行をする際には、スキミングや古い読取機に気をつけたい。また、カード利用が却下されないよう、取引先の銀行に旅行中であることを連絡しておくことが一般的に推奨される。
デビットカードには詐欺対応の保護機能はついているか?
デビットカードの約款には、詐欺に対する保護について具体的な条件が明記されているが、一般的にアメリカの金融機関は、レギュレーションEとして知られる電子資金決済法(Electronic Funds Transfers Act)を参照する(※日本ではデビットカード専用の法律がなく、銀行法が参照される)。この法律は電子送金サービスを利用する消費者とそのサービスを提供する金融機関の基本的な権利と責任を規定している。
アメリカの銀行が発行するデビットカードを紛失したり盗まれたりした場合、いかに早く通知するかが、詐欺による損失でいくら免責されるのかが決まる重要な要素だ。いつ銀行に通知するかによって、律でカバーされる状況は主に3つに分けられる。法律が消費者をどのように保護してくれるのか簡単に紹介しよう(※日本では各銀行の盗難補償規定や補償方針などで、補償の限度額や補償されない場合を細かく定めてある。あらかじめ調べておこう)。
- 状況1(損失額は最大50ドル):不正請求から2営業日以内に金融機関に通知した場合は、詐欺による損失の免責額は最大50ドルである。
- 状況2(損失額は最大500ドル):不正請求から2営業日後から60営業日以内に金融機関に通知した場合、詐欺による損失の免責額は最大500ドルである。
- 状況3(損失額は無制限):60営業日後に発生した詐欺によるいかなる損失について、銀行は法律により弁済を義務付けられていない。また、最初の60日間に発生した不正取引に対する免責額は引き続き最大500ドルである。
デビットカード詐欺を回避する方法
デビットカード詐欺を即座に特定するには、少なくとも週に1度は銀行の取引明細をチェックして、口座で異常な動きがないか確認することをブルー氏は推奨する。そうすることで、リスクを最小限に抑え、不正利用者による追加的なデビットカード取引を防げる。優れた個人情報保護サービスも銀行口座での不正に対する警戒になる。
デビットカード詐欺を報告する方法
詐欺に気づいたらすぐに銀行に電話しよう。2営業日以内が理想的だ。
アメリカでは国法銀行を監督する通貨監督庁も詐欺の報告や情報に関する追加手段を提供する。取引銀行は調査を実施し、調査中は不正取引に関連する口座からの資金移動を凍結する。
調査は数日から数週間ほど行われることがあるが、通常優良な国法銀行は地方銀行よりも迅速に調査を行う。銀行が不正の発生を判断すれば、再び口座にある資金を利用できるかもしれない。だが、資金を全額取り戻せないかもしれないことは認識しておこう。
デビットカード詐欺に関するよくある質問
デビットカードが不正利用されるとどうなるか?
- デビットカードが不正に利用されると、だれかがあなたのデビットカード情報を入手する。デビットカード詐欺にあったら、金融機関が調査できるよう通知しなければならない。だが、場合によってお金を失うこともある。
デビットカード詐欺はどのようにして起きるか?
- デビットカード詐欺は、カードの紛失時または盗難時に起きることがある。また、デビットカードで買い物をする際に、読取機を使ってデビットカードの情報が盗まれることもある。
デビットカード詐欺の被害は弁済されるか?
- すぐに銀行に被害を報告すれば取り戻せることもあるが、損失を被る場合があることも覚えておこう。電子資金決済法によると、不正利用から2営業日以内に金融機関に通知した場合、免責額は最大50ドルである。2営業日後から60営業日以内に銀行に通知した場合は、免責額は最大500ドルである。
デビットカード詐欺はどのくらい深刻か?
- デビットカード詐欺はよくある深刻な犯罪行為だ。連邦取引委員会が運営する消費者苦情ネットワーク(Federal Trade Commission Sentinel Network) には、2023年1月~6月までの間にデビットカードが不正決済手段として使われたケースが38,000件以上報告された。消費者の被害総額は1億600万ドル(約160億円)に上る。