無印良品、増収増益も“国内店”が不調。銀座は食、新宿は服…テーマ特化で挽回狙う

無印看板

撮影:土屋咲花

無印良品を展開する良品計画は10月13日、2023年8月期通期連結決算を発表した。

売上高にあたる営業収益は5814億円(前期比117.2%)営業利益は331億円(同101.1%)純利益220億円(同89.8%)で、増収増益となった。

国内外の出店が順調に進んだことに加え、海外事業の売上が伸びたことで増収につながった。一方で円安と原材料高の影響で営業総利益率は微減した。

伸び悩む既存店にテコ入れ

堂前社長

良品計画の決算に登壇した堂前宣夫社長(左)と堀口健太経営企画部長。

良品計画の決算会見にて。オンラインにて開催。

決算会見で堂前宣夫社長は、国内既存店の伸びを課題に挙げた。

国内事業の営業収益は3428億円(前期比111.3%)で、営業利益は349億円(同87.3%)増収減益している。国内既存店を見ると、通期の売り上げは前年比96.5%と前年割れした。

同社は伸び悩む国内既存店に対し、テコ入れを進めている。

都市型の店舗は、「衣」「食」「住」それぞれにテーマを絞ったリニューアルが相次ぐ。

大阪・梅田のグランフロント大阪の店舗は9月8日、3フロアに増床して改装オープン。西日本で初めて空間設計事務所を設置した。銀座の旗艦店は9月末に「食」を中心とした店舗に改装。新宿の「MUJI新宿」は「無印良品 新宿靖国通り」に名前を変え、初の衣服特化型店舗として10月に再スタートした。

「都心までわざわざ電車に乗っていかなくても、普通の日用品であれば近くのお店で十分だろうっていうのが、コロナ禍の途中から普通の価値観として変わってきたと思います。

うちのお店も、コロナの間は地元の生活圏にあるお店は結構調子が良かった。

都会を中心に既存店があるところがずっと(前年を)割れてきた。そうした時に、どういう役割が都会のお店なのかっていうと、特別な情報を得て特別なものを買いに行く、あるいは何年に1度しか買わないかもしれない家具などを買いに行くというような、特殊な利用が必要になってくるんだろうと思いました」(堂前社長)

リニューアル店舗は再オープンからまだ日が浅いものの、いずれも好調という。

注力は「商品力」

新宿店舗

衣服に特化してリニューアルした「無印良品 新宿靖国通り」店。10月13日にオープンした。

出典:良品計画

一方で、国内生活圏の店舗は広い店舗面積を生かし切れていない点を課題として挙げ、「商品力」で改善を図る考えを示した。

「日常生活の基本を支える商品群を、きちんと作り上げることが中心の取り組みになる。

手に取りやすい価格で生活の役に立って、長持ちするだけでなく、地球環境を維持することに寄与する商品、社会課題を解決する商品、生活者一人ひとりの個性が輝く商品などの要素を含んだ独自性のある商品群をきちっと作り上げていこうと考えている」

9月下旬には、人気のスキンケアシリーズのうち「敏感肌用シリーズ」を2000年以来初めて全面リニューアル。原料を見直したほか、容器にリサイクルボトルを採用した。

2024年8月期は、営業収益6400億円(前期比110.1%)を見込む。売り上げ不足を背景に、中期経営計画(2022年8月~2024年8月期)で掲げていた7000億円から下方修正した。

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