ドロップボックスのCEOドリュー・ハウストン。
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- ドロップボックスのCEOドリュー・ハウストンは、リモートワークには「90:10ルール」を採用しているとフォーチュンに語った。
- これは1年の90%をリモートワーク、残りの10%は社員のオフサイトイベントに充てるというものだ。
- 「人を信頼し、大人として扱えば、彼らは大人として行動する。監視よりも信頼だ」とハウストンは話している。
オンラインストレージサービスのドロップボックス(Dropbox)のドリュー・ハウストン(Drew Houston)CEOは、従業員にオフィス復帰を求めるビジネスリーダーたちの声が高まる中でも、リモートワーク中心の企業文化をアピールし続けている。
ハウストンは2023年10月15日に公開されたフォーチュン(Fortune)のインタビューで、ドロップボックスは年間の90%はリモートワーク、残りの10%を少数の従業員のオフサイト(会社を離れて社外で行う)イベントに費やすという「90:10ルール」を採用したと語っている。
ハウストンによると、同社で最初に90:10のアプローチを開始したのは2021年だという。
サンフランシスコを拠点とするドロップボックスは、レイオフが実施される前は3000人以上の従業員を抱えていたが、レイオフ後は従業員のオフィス常駐を義務付けていない。 新型コロナウイルス感染症が大流行する中、同社は2020年に「バーチャル・ファースト」企業になると発表し、リモートワークをデフォルトにした。
彼は、オフィス復帰が義務であると信じているCEOのことをどう思うかという質問に「従業員には選択肢がある。従業員はコントロールできるリソースではないと言いたい」と答えている。
「別の社会契約が必要であるし、コントロールを手放す必要がある。だが彼らを信頼して大人のように扱えば、彼らも大人のように振る舞うだろう。監視よりも信頼だ」とハウストンは付け加えている。
ハウストンは2007年にドロップボックスを共同設立した。フォーブス(Forbes)による彼の推定純資産は、21億ドル(約3150億円)だ。
ハウストンのアプローチは、メタ(Meta)CEOのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs )CEOのデイビッド・ソロモン(David Solomon)、JPモルガン(JPMorgan )CEOのジェームズ・ダイモン(James "Jamie" Dimon)といった他のビジネスリーダーたちとは対照的だ。
JPモルガンは一部の社員に週5日の出社を要請し、職場でIDの読み取りを監視することで出勤状況を把握していた。同社のダイモンCEOは2023年7月、エコノミスト(Economist)誌に次のように語っている。
「毎日1時間半もかけて通勤したくないという人の気持ちはよく分かる。しかし、彼らがここで仕事をしなければならないということでもない」
確かに、ドロップボックスのバーチャル・ファーストのワークカルチャーへ移行は、必ずしもポジティブなことばかりではない。それは従業員定着の重要なカギと見られていた有名で豪華なカフェテリアなどの従業員の特典を失うことでもあると2022年、元従業員はInsiderに語っている。
「明らかに、会社はこの件をポジティブに捉えようとしている」と2021年にドロップボックスを退社した元従業員はInsiderに語っている。
「バーチャル・ファーストはオフィスに行くのが好きな人にとっては選択肢が減ってしまうことでもある」
ドロップボックスの広報担当者はInsiderに対し、「バーチャル・ファースト企業に移行して以来、スタッフの定着率は過去最高を記録しており、最近採用された社員の70%が、ドロップボックスの職務に応募した主な理由としてバーチャル・ファーストを挙げている」と述べた。
(10月25日17:20 ドロップボックスの広報担当者のコメントを追加しました)