子どもの将来に「お金の不安」を植え付けかねない、お金にまつわる「親の口癖」とは

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子どものお金の価値観が形成されるのは、6〜9歳のころ。

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  • 「お金の不安」の解消に役立つのが、お金の情緒面と心理面に特化した「ファイナンシャルセラピー」だ。
  • 上原千華子氏の著書『「お金の不安」をやわらげる科学的な方法ファイナンシャル・セラピー』によると、子どものお金の価値観が形成されるのは6〜9歳のころだという。
  • その時期に、子どもの将来に「お金の不安」を植え付けかねない、お金にまつわる4つの「親の口癖」を同書より紹介する。

「お金の不安」は、万人共通のものだ。それは資産が多かろうが少なかろうが関係ない。それぞれの状況に応じた、それぞれの不安が生じてくる。

そうした「お金の不安」の解消に役立つのが、お金の情緒面と心理面に特化した「ファイナンシャルセラピー」だ。具体的な資産運用の方法についてのアドバイスではなく、お金を扱う際の妨げとなる心理的な障壁に焦点を当ててカウンセリングを行う。

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上原千華子氏

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たとえば、もっともありがちなお金の不安のひとつに、「資産形成の必要性に気づいていながら始められない」というものがある。しかし、その本当の原因は「自分の心の奥底に隠れていて、『行動しないという行動』を取らせているだけ」と、『「お金の不安」をやわらげる科学的な方法ファイナンシャル・セラピー』の著者、上原千華子氏は指摘する。

その背景にあるのが、お金に対する価値観や思い込みだ。そうした不安を手放していけるようサポートするのがファイナンシャルセラピーの役割なのである。

本書によれば、子どものお金の価値観が形成されるのは、脳の9割ができあがる6〜9歳のころ。この時期の子どもの脳は、スポンジのように周囲の影響を吸収する。お金の価値観も例外ではない。

子どもの将来に「お金の不安」を植え付けかねない、お金にまつわる4つの「親の口癖」を、上原氏の著書から紹介しよう。

口癖1:「うちにはお金がないのよ」

欲しいものをねだる子どもに対して、ついこんなセリフを口にする人も多いだろう。この口癖を繰り返し聞かされて育った子どもは、「私はお金に縁がない」という価値観を持つようになる。すると、その子どもは「毎日ケチケチとした生活を送る可能性がある」と、上原氏は指摘する。

「お金のことばかり話すのは恥ずかしい」とか、「お金があるとかえって不幸になる」といった口癖も要注意だ。「お金はよくないもの」「お金は諸悪の根源」といったネガティブイメージを子ども時代に植え付けられてしまうからだ。すると、成長してからも生きて行くのに不可欠なお金から目を背け、金銭管理のプライオリティが低い状態になってしまうかもしれない。

口癖2:「投資はギャンブル、貯金が一番」

定期預金に預けておけば10数年で元本が倍になった高金利時代は、今から30年以上も前のこと。かつては、ノーリスクの資産運用方法でも、いまの投資信託と遜色のないパフォーマンスを出せたのだ。現在は、定期預金に預けても、元本が倍になるまで3万6000年もかかる。そのうえ、円安や物価高になれば実質的な資産価値は下がってしまうのだ。

金融庁の資料によれば1989年からの20年間で、株式と債券に積立投資を行った場合の年間収益率を計算すると投資収益率は1年当たりで2〜8%となり、元本割れのケースがなかったという。投資信託は元本保証ではないため、必ず利益が出るとは限らないが、長期投資であれば現金のまま保有している場合よりもリスクを減らせるだろう。

上原氏は「個別相談に来られた方の中にも、身内が投資に失敗して大きな損を被ったため、『投資はギャンブル。やってはいけない』と言われて育った方が複数いました」と語る。しかし、2024年からはNISA制度が恒久化され、配当金・分配金や譲渡益が非課税となる。一方、預金利息には20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、地方税5%)の税金がかかる。税制から見ても、預金よりも投資のほうが有利なのだ。

口癖3:「人生、お金がすべてよ」

「ブランド物を身につけると、気分が上がる」「高い買い物は、気分がいい」といった口癖も要注意だ。子どものころから、お金を使うことで幸せになるという価値観がすり込まれ、無意識のうちに「お金持ちは偉い」「お金で幸せが買える」「お金で人生のすべてが決まる」といった思考になってしまう可能性があるという。

これは、裕福な家庭だけに起こることではない。自身が貧乏に苦しんだ経験を持つ親が「子どもには貧乏な思いをさせたくない」という親心や、貧乏だった子ども時代の反動で浪費につながってしまうケースもあると、上原氏は指摘する。

口癖4:「私のことが好きなら、お金ちょうだい」

このような口癖は、愛情の代わりにお金をもらう習慣があったり、経済的に自立させない、自分の価値を否定されて育ったといった体験が背景にあるという。そのような言葉を浴びながら育った子どもは、「お金が愛情の印」という価値観形成の要因になってしまうという。

「ちょっとお金貸してくれない?」という口癖も、お金は人がくれるものという意識が生まれ、経済的な自立を妨げる。また「お前はどうしようもない子だ!」という口癖で自身の価値観を否定されて育った子どもも、「自分はお金を持つ価値がない」という価値観につながるという。上原氏は、その結果、経済的に他者に依存したり、人を操るのにお金を使おうとしたり、また自身の経済力以上に人にお金を貢いだりしてしまうと語る。

まとめ

親の「お金に対する『悪い思い込み』」が、子どもに大きな影響を与えることを知るのは重要だ。「しつけのために」と発した言葉が、子どもの将来に「お金の不安」を植え付けるような事態は、親として避けたいだろう。



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