悪質な「マネー系インフルエンサー」を嗅ぎ分ける 2つの警告サイン。正しい「お金のヒント」の見分け方とは

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「本当とは思えないほどの『おいしい話』は本当ではない」

Klaus Vedfelt/Getty Images

  • ネット上には、絶対に無視すべき、あるいは少なくとも疑ってかかるべき「お金のヒント」があふれている。
  • 本記事では、そうしたお金にまつわる間違ったアドバイスを特定する方法を、アン・レスター氏に尋ねた。
  • 同氏は言う。「JPモルガン経験者の私から言わせれば、身の毛がよだつほどひどい助言もある」

ネット上には、絶対に無視すべき、あるいは少なくとも疑ってかかるべき「お金のヒント」があふれている。

TikTokやYouTubeなどを眺めていたら、お金に関するさまざまなアドバイスに遭遇することは多いだろう。そのなかには、ザ・バジェットニスタ(The Budgetnista)ウェルス・パラ・トゥドゥーズ(Wealth Para Todos)など、資格をもつ専門家が安全なアドバイスをするアカウントも存在する。だが、そうではない有害なアドバイスを無責任に投げかけるアカウントも、残念ながら多いのだ。

本記事では、そうしたお金にまつわる間違ったアドバイスを特定する方法を、アン・レスター氏に尋ねた。レスター氏は以前、30年近くにわたってJPモルガンで働き、退職金関係の責任者も務めていた人物だ。

レスター氏は、老後資金や投資に関して、Z世代とミレニアル世代の人々をサポートするためにJPモルガンを退職。そして、アスペン・リーダーシップ・フォラーム(Aspen Leadership Forum)を立ち上げた。Z世代の40%がソーシャルメディアを通じてお金のことを学ぶと答える昨今、レスター氏は若者たちを退職までの正しい旅路に導くためなら残業もいとわない。

「ネット上には、本当にしっかりしたアドバイスもあるとは思う」とレスター氏は言う。「だが、JPモルガン経験者の私から言わせれば、身の毛がよだつほどひどい助言もあるようだ」

レスター氏によると、ネット上のお金に関するアドバイスでは、次の2点が警告サインになる

1:「買え」や「売れ」とだけ力説してくる場合

まずは、インフルエンサーの言葉をうのみにして、何かを買ったり売ったりしてはならない。それだけだ。

「このことは特に暗号通貨(仮想通貨)や個別株に当てはまる」と、レスター氏は説明する。

「自分の発言を本当に信じていて、テーブルをたたきながら力説している人もいるだろう。だが、その多くは……自分の利益になることを話して、売り手の裏でこっそり買ったりするのは、よくあることなのだ。金融市場が誕生して以来、ずっとそのようなことが行われてきた」

レスター氏は、投資家は何かから利益を得る場合、その理由を簡潔な言葉で説明できなければならないと主張する。たとえば、A社は人々が求めている製品をつくっている、などだ。その会社の経営がしっかりしていれば、それが時間とともに会社の価値に反映されていく。

しかし、暗号通貨に関しては、「その価値が今後も上がり続ける理由を理路整然と説明できる人に出会った試しがない」と、レスター氏は言う。

2:「誰もが従うべき」などと断定的に書かれている場合

「誰もが家を買うべき」のようなざっくりとしたアドバイスに出会ったら用心したほうがいい。なるほどと思うかもしれないが、金融の世界には、全員にとって正しい決断など存在しない。「家を買え」も例外ではないのだ。

レスター氏は、お金のアドバイスでは「貯金すべき」など、まず間違いなく正しいフレーズも少しはあるが、それ以外は個人の状況によって大きく変わると言う。もちろん貯金はすべきだが、どれだけ、どこに、何のために貯金をするかは人それぞれの状況や目標によって異なる。

「退職後のための長期貯蓄は、株式と債券のミックスに投資するべきだろう。これは優良なアドバイスだ。だが、それ以上の詳細は人それぞれだ」。たとえば、「最近、私が個人的に見つけたアドバイスには、『家を買うべき』といいながら『家は買ってはダメ』というものもあった。本当にひどいアドバイスだ。なぜなら、本当の答えは、買うか買わないかは状況による、だからだ」

2つの視点から危険を回避する

結局のところ、レスター氏は次の2点を推奨する。第一に、しっかりと時間をかけてアドバイスに問題がないか検討し、その出どころについて考えること。そのような情報を公開する人々の大半は、何らかの形で収入を得ているのだ。それはクリック回数かもしれないし(大きな太い文字を使う目的は私たちを感情的にしたり、不安にしたりしてクリックさせることにある)、何かを売っているのかもしれない。

「若者たちは〝システム〟に強い不信感を抱いている。なぜなら、常に自分たちが売り物にされていると感じているからだ。その意味で、健全な疑う心はすでに存在していると思う」として、レスター氏は付け加えた。「だが、それでもネット上の人々のほとんどは、ネットでの発言を通じて、収入を得ているのだという点を指摘しておきたいと思う」

ネットを通じてお金を稼ぐこと自体は悪いことではない。しかし、インフルエンサーはオーディエンスが彼らのアドバイスを現実的に検討できるようにするために、自らの収益モデルを公表すべきだろう。

レスター氏による第二の推奨事項は、「本当とは思えないほどの『おいしい話』は本当ではない」と考えることだ。

かつてのアップルやテスラのように、株価が急騰して初期投資家を大儲けさせる「個別株を見つけることは確かに可能」だ。この点は今後も変わらないだろう。しかし、レスター氏はこう続ける。「だが、現実問題として、それはお金を稼ぐ方法としては、長続きするものでも、信頼できるものでもない」。

お金を稼ぐ「簡単な」方法は、例外なくいつも「うまくいくのは初めのうちだけ」なのだ。

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