手放す服に新たな選択肢。ビームスが「モノを売らないお店」期間限定でオープン

店舗外観

ビームスが期間限定でオープンする「モノを売らないお店」。

撮影:土屋咲花

BEAMS(ビームス)が10月20日から22日まで、「モノを売らないお店」を東京・原宿に期間限定でオープンする。お金の代わりに必要なのは、着なくなった服。来場者が服を持ち込んで、同じように他の人が持ち込んだ洋服やビームスの経年在庫と「物々交換」するという。

洋服への思いも一緒に「交換」

beams

BEAMS社員らが出品した、思い入れのある洋服たち。

撮影:土屋咲花

「サステナビリティと聞くとちょっとハードルが高く思う消費者に対し、どんなアウトプットをしていくべきかを考えてたどり着いたのが、自分たちが気持ちよく過ごすためのアイデアをスタッフという等身大の姿をもって伝えることです。

ファッションを愛する私たちも、消費者であるお客様と一緒になって物のライフサイクルの選択肢を見つけられる、そんな立場でありたいと思っています」

「モノを売らないお店」責任者の桑原優季さんは、今回の企画に込めた思いをこう説明した。

「売らないお店」は、来場者が持ち込んだ衣類1点につき、店内にあるアイテムを1点持ち帰ることができる物々交換システムだ。二つの方法で、そのままでは廃棄されてしまうかもしれない衣類を助ける。

一つは、思い入れのある服を持ち込み、その服にまつわるエピソードとともに次の使用者につなぐ「ストーリー交換ブース」。このブースに並ぶ服には、値段のタグの代わりに、洋服にまつわるエピソードを記した手書きのタグが付けられている

ストーリー

ビームス社員が出品した洋服。価格の代わりに、服にまつわる思い出をつづったタグが付いている。

撮影:土屋咲花

「今から26年前に、先輩から譲り受けた思い出のアイテム」

「初めてのハワイで、弟の結婚式でこのワンピースを着ていました。ちょっともう私には若いかな?ということでお譲りします」

ビームスの社員や企画に賛同したクリエイターが、既に約80点を出品した。ここに、来場者の持ち込んだ「ストーリーのある服」が加わっていく。

環境意識の高まりから、服を店頭回収したり、リユースしたりする取り組みは既に多くのアパレルブランドが実施している。「服にまつわるストーリー」も一緒に物々交換するのは、セレクトショップを中心とするビームスらしいアプローチだ。

「デザイナーや売り手の思いが乗っているお洋服っていうのがたくさんあって、その思いを続けていくっていうことが使命だと思っています」(桑原さん)

説明

出品した洋服にまつわるストーリーを話すビームス社員。

撮影:土屋咲花

もう一つは、「再循環ブース」。着られなくなった服を持ち込むと、ビームスの経年在庫から好きな洋服を持ち帰ることができる。

再循環ブースに持ち込まれた洋服は、衣類を回収して再生ポリエステルにリサイクルする「BRING」の事業を通してリサイクルやリユースされる。

ビームスでは2022年11月から、リサイクル事業者のジェプランが提供する「BRING」による店頭での衣類回収をスタートした。現在は19店舗に回収ボックスを設置し、2023年9月までに1100キログラムの衣類を回収している。

持ち込む服の基準は?

再循環ブース

「再循環ブース」では、着なくなった洋服を持ち込むと、経年在庫との交換チケットをもらえる。

撮影:土屋咲花

「ストーリー交換ブース」「再循環ブース」に持ち込める衣類は合計で5点まで。

いずれも、来場者にとっては今着ていない洋服や手放したい服であることには変わりないが、どちらのブースに持ち込むかのルールはあるのか。

桑原さんは

持ち込む物に対してどこまで思い出があるかという回答です。どこまでエピソードが語れるかというところが一つと、もう一つは、それを人に受け継いでいきたいかどうかをボーダーラインにしていただければ」

と説明する。

今後の展開については反響次第としながらも、「継続してできるよう努めたい」(桑原さん)としている。

今回の来場者数は3日間で200人を計画していたが、事前に「BRING」を置く店舗に衣類を持ち込んだ人が受け取れる入場チケットは120枚発行されており、想定以上となる見込みだ。初日の20日は、オープン前から約30人の列ができた。

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