非課税となる新NISAでは、できるだけ手数料も抑えたいものだ。
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- 2024年1月にスタートする新NISAに向けて、証券会社による売買手数料の無料化が相次いでいる。
- 現在、その競争に参戦しているのはSBI証券、楽天証券、松井証券、auカブコム証券、マネックス証券の5社だ。
- それぞれの売買手数料の無料化の詳細をまとめるとともに、整理してみた。
証券会社による売買手数料の無料化が相次いでいる。
2024年1月の新NISAスタートまであとわずか。新制度になってもひとり1つしか開設できない、NISA口座をめぐる顧客獲得競争が激化しているのだ。
2023年10月現在、この争いに参戦しているのは、ネット証券を中心とした5社。これまでは、その5社の一部で国内株式を中心に売買手数料が無料とされてきたが、2024年以降はそれが大幅に拡大される。
本記事では、そうした動きを整理してまとめる。新NISAの口座作成の際に、ぜひとも参考してもらいたい。
SBI証券:「ゼロ革命」でまずは国内株を
「ゼロ革命」と銘打って、売買手数料の無料化に着手したのがSBI証券だ。2023年9月30日発注分より、インターネットコースの顧客を対象に、オンラインの国内株式売買手数料を無料化している。
さらに、2024年1月より新NISAが運用開始されたら、国内株式以外にも無料化を拡大する。具体的には、 投資信託、米国株式、海外ETF(米国・中国・韓国・シンガポール) などだ。
SBI証券の売買手数料
2023年から無料化 | 2024年から無料化 |
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かねてよりSBI証券のNISAでは、米株ETFと中国・韓国ETFでは買付のみ手数料無料とされていた。それが、新NISA開始以後はこれらのETFにシンガポールETFを加え、売付の手数料まで無料化することになる。
ただし、「その他8ヵ国個別株」では、買付・売付ともに取引手数料ありが継続されるという。
楽天証券: 「ゼロコース」でSBIに追随
楽天証券は、国内株式(現物/信用)の取引手数料が0円になる「ゼロコース」を2023年10月1日にスタート。同時に大口優遇の国内株式取引手数料も0円に引き下げた。そして2024年の新NISA開始からは、国内株式に加え、海外ETF、投資信託の取引手数料も無料となる。
楽天証券の売買手数料
2023年から無料化 | 2024年から無料化 |
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なお、中国ETFを除く中国株式、ならびにシンガポールETFを除くアセアン株式には、引き続き取引手数料が発生することになる。
松井証券:手数料無料化のパイオニア
かねてよりNISA口座の日本株と投資信託の手数料無料を実施してきた松井証券。そうした流れを汲み、新NISAでは米国株を含むすべての取り扱い商品の売買手数料を無料にするという。
松井証券の売買手数料
かねてより無料化 | 2024年から無料化 |
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松井証券は、100年以上の歴史を有する老舗だ。だが、実はインターネット証券の草分け的存在でもある。昨今はスマホシフトにも意欲的に取り組んでいる。
auカブコム証券:後発ながらアグレッシブに展開
2019年よりKDDIグループ傘下となったauカブコム証券も、かねてより現行NISA取引における国内現物株式と投資信託の売買手数料を無料としてきた。そして、2024年1月より開始される新NISAにおいては、すべての取扱商品の売買手数料を無料化すると発表している。
auカブコム証券の売買手数料
かねてより無料化 | 2024年から無料化 |
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これにより、従来のNISAでは売買手数料が発生していたプチ株(単元未満株)の売買手数料が無料に。また、現行NISAでは取り扱いがなかった米国株式が、新NISA導入後は売買手数料無料の商品として追加されることになる。
マネックス証券:ドコモ提携でのシナジーに期待
マネックス証券も、かねてよりNISA口座の日本株(現物取引、単元未満取引)と投資信託の売買手数料は無料だった。そのうえで、2024年からの新NISA口座では、すべての取り扱い商品の売買手数料を無料化すると発表している。ちなみに、これまでは米国株と中国株は「買付のみ実質無料」としていた。
マネックス証券の売買手数料
かねてより無料化 | 2024年から無料化 |
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この新NISA手数料無料のみならず、NTTドコモとの資本業務提携によって今後どのような変化を見せるのかにも注目が集まるところだ。
まとめ
どちらもまずは国内株式より売買手数料を無料化し、それを海外商品や単元未満株などに拡大していくという流れだ。こうして並べてみると、手数料無料化に着手している証券会社の間では、ほぼ大差がないことが見て取れる。
そうなった場合、証券会社選びの決め手になるのは、取り扱い商品の数や内容だったり、使いやすさだったりになってくるだろう。となると、やはりSBI・楽天の2大人気証券会社の強みが目を引きそうだ。
ちなみに売買手数料が無料化されるということは、それだけ証券会社の利益が減るということを意味する。それでも、あえて各社ともに突っ込んでくる理由は、新規利用者の獲得にほかならない。特にどちらも独自の経済圏を発展させており、ユーザーさえ確保すれば、ほかにマネタイズの手段は多いからだ。
そのような視点からすると、この無料化の争いに、PayPay証券が未参加なのが気になる。ソフトバンクグループの次の一手が気になるところだ。