木星の赤道付近で高速のジェット気流が発見された。
NASA, ESA, CSA, STScI, Ricardo Hueso (UPV), Imke de Pater (UC Berkeley), Thierry Fouchet (Observatory of Paris), Leigh Fletcher (University of Leicester), Michael H. Wong (UC Berkeley), Joseph DePasquale (STScI)
- NASAの科学者は、木星の赤道付近で高速のジェット気流を発見して驚いた。
- 幅4800kmの帯状の気流は時速515kmで動いているという。
- これまでの望遠鏡では、木星の大気を詳細に見ることができなかったため、この激しい気流を見逃していた。
アメリカ航空宇宙局(NASA)のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)によって、木星の周囲を時速515kmで周る細いジェット気流が観測された。
JWSTよりも前のハッブル宇宙望遠鏡(HST)は、木星大気の霞んだ部分の画像をはっきりと捉えられるほどの精度ではなかったとNASAは今回の発見に関するプレスリリースで述べている。現在では、高い性能を持つJWSTのおかげで、ジェット気流を初めて観測できるようになっただけでなく、それがどれくらいの速さで動いているのかも算出できるようになった。
ガス状惑星である木星の赤道付近の高高度大気中で、幅4800kmの高速ジェット気流が、時速515kmで木星の周りを動いているという。これは地球上で最も強力なカテゴリー5のハリケーンの2倍の速さに相当する。
この発見をまとめた論文の筆頭著者であるリカルド・ウエソ(Ricardo Hueso)は、プレスリリースでこう述べている。
「これには我々も非常に驚かされた。ぼんやりと霞がかかって見えていた木星大気が、今でははっきりと見えるようになり、素早く自転する中でも追跡できるようになったのだ」
JWSTがジェット気流を検出できたのは、赤外線の特定の波長帯域で観測したときだけだった。このことから、高度の違いによって大気の特徴が変わることが明らかになった。NASAのチームは、高高度と低高度の風速を比較することで、高度が気流の風速にどのような影響を与えるかのかを測定できるようになったという。
JWSTは、約1年前に運用が開始されて以来、これまで隠れていた宇宙の姿をいくつも捉えてきた。今回の発見はその最新の成果となる。