アメリカ連邦準備制度理事会のパウエル議長。
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- アポロのチーフ・エコノミストであるトーステン・スロックによると、アメリカ経済は景気後退に向かうが過去の景気後退よりは穏やかなものになる。
- というのも、今回は連邦準備制度理事会(FRB)によって「仕組まれた」ものだからだという。
- FRBは、実際に景気が後退し始めたら、これまで成長を鈍化させてきた措置を撤廃できるとスロックは付け加えた。
アメリカで前回景気が悪化したのは、致命的な新型コロナウイルスが世界を機能停止に追い込んだ時だった。その前は粗悪な住宅ローンが不動産業界を崩壊させた。さらにその前は、インターネットをめぐる熱狂がハイテク株を過剰に膨らませた。
アポロ・マネジメント(Apollo Management)のチーフ・エコノミスト、トーステン・スロック(Torsten Sløk)によると、また不況がやってくるが、今回は加害者が救世主でもあるため、被害はかなり軽減されるという。
「ここで言う景気減速とは、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が仕組んだもの、作り出したものなのだ」と、スロック10月25日に放送されたCNBCのニュース番組で語っている。
「FRBは景気を減速させようとしている。インフレ率を下げるためだ」
2022年3月以来、FRBは政策金利を11回にわたって上げ、ゼロ近辺から5.25%~5.5%にまで引き上げた。そのため、銀行、企業、住宅所有者の借入コストが押し上げられ、米国債の利回りは数年来の高水準に、住宅ローン金利は数十年来の高水準になった。
さらに、FRBは量的引き締めの一環としてバランスシートを縮小し、経済から流動性を引き出そうとしている。
しかし、このことは経済が急減速して縮小に転じた場合、FRBは成長を鈍化させてきた措置を撤廃できるため、下降トレンドを逆転させる力があることも意味している。