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- ラファー・インベスティングは、世界で最もパフォーマンスの悪い通貨である日本円に賭けている。
- 同ファンドは2023年における円のパフォーマンスの悪さを指摘しながらも、「激しい」円高を予想している。
- ラファーは、0.50ドルのVIXオプションを匿名で購入したことで、「50セント」として知られるようになった。
イギリスのラファー・インベスティング(Ruffer Investing)は、世界で最もパフォーマンスの悪い通貨である日本円に賭けている。
日本円は今年14%以上下落し、同ファンドにおけるパフォーマンス低迷の主な原因となっている。しかし、ジョナサン・ラファー(Jonathan Ruffer)会長は10月初旬の書簡に大逆転を期待していると記している。
「通貨の場合、方向転換を見込むことはファンダメンタルズがそれを示していたとしても常に危険が伴う。我々のパフォーマンスもそれに応じて悪化している。テクニカルな理由から円は売られすぎであり、それが解消されると急騰する可能性が高い。制御不能なまでに急騰するだろう」
円安の主な原因は、日本独自の「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)」にある。これによって超低金利が維持され、高利回りの国債市場においては日本円の魅力が失われている。
着々と進む円安によって、最終的には日本銀行が介入するのではないかと考えられている。日銀は夏に長短金利操作の運用を柔軟化したが、外貨の金利に対抗するには十分ではなかった。
しかしラファーは、買い手が急増することに賭けており、書簡にこう記している。
「我々の自信は、外貨を売って円を購入する者が現れるだろうという観測からきている。それは円の買いを促し、円相場の方向転換の触媒として作用するだろう。市場が混乱する中でこのような出来事が起これば、為替レートは2008年のように激しく動く可能性がある(短期間に対ポンドで50%上昇)」
日銀は国債利回りを低く抑えようとしており、日本国内の金融機関はそこから抜け出すために、現在の高値で国債を引き取ることになるだろうとラファーは予想している。その購入資金は、外貨建て国債を売却することで賄うことになる。
「これらの債権の多くはすでに円にヘッジされているが、外貨建てのまま保有されているものも多く、円への転換は短期間で行われるだろう」とラファーは記している。
低金利から利益を得るために多額の円を借りている海外投資家も、外国の債権を売却する際に円高に拍車をかけるだろう、とラファーは付け加えた。
ロンドンを拠点に250億ドル(約3兆7600億円)以上を運用するラファー・インベスティングは、数年前の株価上昇時に、VIXオプション市場で0.50ドルのVIXオプションを匿名で購入したことで、「50セント」として知られるようになった。同ファンドは当初、この取引で多額の損失を被ったものの、2020年の株価暴落時には8億ドル以上の利益を得た。