X世代はそろそろ引退間近だが、老後の生活は結構キビしそう

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  • 米国退職保障研究所のレポートによると、X世代は定年退職に向けた準備がまったくできていないようだ。
  • X世代はグレート・リセッション(リーマン・ショックに起因する景気後退)により純資産の多くを失い、学生ローン、インフレーション、そのほかの借金の負担にもさらされている。
  • しかしながら、X世代は引退後用の貯蓄を増やしつつあり、政府プログラムを通じてさらなる支援を得ることもできる。

定年退職したら、それまでの労働の成果を悠々と楽しみたいものだ。しかし、それを実現するには計画に加え、目標に沿った金銭管理も必要になる。

1965年から1980年のあいだに生まれたX世代(日本で言う「団塊ジュニア世代」)の年長組は今後数年で職業生活から引退することになる。しかし米国退職保障研究所のレポートが示すように、X世代の人々の多くは年上のベビーブーマー世代(日本で言う「団塊世代」)や年下のミレニアル世代に比べて、引退の準備ができていない。

X世代と定年退職:統計

X世代の最年長者は今年58歳になる。引退して社会保障給付金を請求するようになるまであと数年しかない。しかし、彼らの多くは引退後の余生に向けて十分な貯蓄ができていない。

人種、性別、婚姻状況、収入などといった要素に関係なく、ほとんどのX世代が目標貯蓄額を満たしていないのである。一部のグループは特にひどい状況にある。たとえば、401(k)などといった雇用主拠出型の年金貯蓄プランに加入している人の比率は、X世代全体では55%だが、ヒスパニック系のX世代では35%でしかない。

さらに、平均的なX世代世帯の場合、個人口座にわずか4万ドル(約600万円)の年金貯蓄しかもっていない。

引退後のために準備しておくべき貯蓄額は年齢とともに増加し、フィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)によると、50歳の時点で収入の5倍に生活防衛資金を加えた額が必要だ。

X世代が貯蓄できなかった理由

X世代の人々も貯蓄が足りないことを痛感している。そうなったのにはいくつかの理由がある。

まず、X世代に占める大学卒業者の比率は高い。これは彼らが学生ローンの多額の負債を抱えていることも意味する。

また、民間企業では、X世代は確定給付型年金制度から確定拠出型年金制度への移行を直接経験した世代でもある。つまり、引退後に雇用主から決まった額が給付されなくなった。従業員自身のみが、年金に責任をもつようになった。

X世代はインフレーション、学生ローン、そして借金に苦しめられてきた。引退後用の貯蓄が足りていないのも不思議ではない。

足りない分を補う

2000年代初頭のグレート・リセッション、学生ローン、そして高額の負債に見舞われたX世代は、人生の後半に入ってから引退後用の貯蓄を始めた。

実際、X世代の年金貯蓄はゆっくりと増加する傾向にあり、この世代の人々の多くは今現在収入のピークを迎えている。つまり、これまでよりも多くを貯金に回せるということだ。

X世代が貯蓄を増やす一方で、法を通じてもそれをサポートできるだろう。

低所得者の年金貯蓄にとってはありがたいことに、まもなく連邦貯蓄者税額控除(Saver's Credit)が還付可能な貯蓄者マッチ(Saver's Match)に修正されるだろう。加えて、州が支援する年金貯蓄プログラムの数も増えつつある。

これらすべてが、より多くの労働者に、そして雇用主拠出型の年金プランをもたない人々に、新たな貯蓄機会を提供するだろう。

パンデミック、確定給付型年金制度の消滅、インフレーション、賃金の停滞など、X世代は余生の準備において不公平なまで多くの障害に遭遇してきた。米国退職保障研究所のレポートが強調するように、社会保障給付金などといった政府資源の強化を通じて、X世代の老後への備えを大いにサポートできるはずだ。

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