政府はグーグルが違法に競合他社を妨害していると非難している。
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- グーグルの幹部らは、検索エンジンが若い世代にとって無意味になってしまうことを恐れている、と同社の重役が証言した。
- シニアバイスプレジデントのプラバカール・ラグァバンは、グーグルはライバルに悩まされ、若者からは「グーグルじいさん」と呼ばれていると述べた。
- 同社はアメリカ政府が起こした重大な独占禁止法違反訴訟において正当性を主張している。
グーグル(Google)の重役が10月26日、同社の成功は不安定であると証言した。彼は、若いインターネット・ユーザーにとって自社製品が無用の存在に転落しかねないと懸念していると述べた。
グーグルの知識・情報製品のシニア・バイス・プレジデント、プラバカール・ラグァバン(Prabhakar Raghavan)は、過去25年で最大の独占禁止法違反訴訟で、正当性を主張する証言を行った。アメリカ政府は、至るところに現れるグーグルの検索エンジンが、違法に競合他社の参入を妨害しているとして同社を非難している。
ラグァバンはグーグルの優位性は強いものではなく、全方位敵だらけだと表現した。そして、若者たちからは「グーグルじいさん(Grandpa Google)」というあだ名を付けられ、面白い製品だと思われていないと彼は述べた。
「グーグルじいさんなら、答えを知っているし、宿題も手伝ってくれるという具合だ」とラグァバンは述べた。
「だが面白いことをしようとすると、彼らは別のところから始める」
グーグルの弁護士はラグァバンに、フォーチュンの1998年のある記事を見せた。それには「ヤフー(Yahoo!)は検索エンジン戦争に勝利し、さらなる飛躍を遂げようとしている」と書かれていた。
かつてヤフーで働いていたラグァバンは、グーグルは研究開発に多くの資金を費やして、テクノロジーの進化を先取りしようとしていると述べた。
「次の犠牲者になりたくないという強い思いを感じる」とラグァバンは述べた。
アメリカ司法省(DOJ)は、グーグルがアップル(Apple)などの企業に年間数十億ドルを支払って、同社の検索エンジンをiPhoneなどの人気製品のデフォルトに固定することで優勢を確保している証拠を提出している。
マイクロソフト(Microsoft)の幹部も、グーグルが独走状態を実現できるのは、何十億という検索集約したデータを使って将来の検索の効率を上げるからだと証言した。
グーグルによると、同社の検索エンジンが優勢なのは、製品が競合他社よりも優れているからだという。マイクロソフトといった競合と比べ、モバイル機器や新たなテクノロジーにいち早く投資した、その成果が今出ているだけだと同社は述べた。
また、他の検索エンジンがデフォルトになっている場合に、大半の消費者がグーグルに変更しているとの証拠を挙げた。
証言でラグァバンは、グーグルの競合はマイクロソフトのビング(Bing)といった従来の検索エンジンだけではなく、さまざまな「バーティカル」検索、例えば旅行や食事のセッティングに使う、エクスペディア(Expedia)やイェルプ(Yelp)などがある、とも述べた。
「我々は日々これらと戦っていると感じている」とラグァバンは述べた。
この独占禁止法違反訴訟は、司法省が25年前にマイクロソフトのインターネット・ブラウザの支配を追及して以来最大の訴訟で、トランプ政権だった2020年に提起された。裁判は9月に始まり、11月にかけてグーグルは反証することになる。
連邦地方判事のアミット・メフタ(Amit Mehta)は、来年初めまで判決を下さないとみられている。判事がグーグルの法を犯していると判断した場合、その市場支配力をどのように抑制するかは、また別の裁判で決めることになる。選択肢のひとつは、デフォルトの検索エンジンにさせる支払いを、グーグルに禁じることだろう。
グーグルは、バージニア州アレクサンドリアの司法当局からも、広告技術をめぐる同様の独占禁止法訴訟を申し立てられている。この訴訟はまだ、裁判が始まっていない。