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- 長期債利回りの急上昇は、1969年のFRBの引き締めサイクルを反映しているとJPモルガンは指摘する。
- その年、利回りはFRBの最後の利上げの後に3カ月間上昇した。
- このトレンドは景気後退で終わった。現在の利回りが上昇を止めるのも景気後退が始まってからかもしれない。
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)による利上げは7月以降は一時停止しており、アメリカの長期国債利回りの上昇は一般的な市場の反応ではないとJPモルガンは指摘する。
同行のアナリストは10月25日のメモの中で、過去12回のFRBの引き締めサイクルでは、債券市場は一般的に最後の利上げの後、短期金利が長期金利より速く低下する強気のスティープニング(短期金利と長期金利の金利差が大きくなり、イールド・カーブの傾きが急になること)を経験したと指摘した。
しかし1969年には、長期金利が短期金利を上回るベア・スティープニングが起きた。そして現在の債券市場は、この異常なパターンが続いている。歴史的な国債暴落により、10年債と30年債の利回りはともに5%の大台を超えた。
市場では、7月の0.25%の利上げがこのサイクルの最後の利上げであるとの見方が大勢を占めており、1969年から教訓を得ることができるだろう。
「とはいえ、1969年のサイクルでは、景気後退はその最終利上げの3カ月後に始まっており、現在のベア・スティープニングは成長の下方シフトの明確な兆候が見られるまで続く可能性がある」とJPモルガンは付け加えた。
これまでのところ、景気後退のシグナルは引き続き好調な経済データによって覆い隠されており、第3四半期のGDPは過去2年間で最も速いペースで成長している。
JPモルガンはまた、1969年の引き締めサイクルに続く景気後退がS&P500種構成企業の収益に与えた影響は比較的軽微だったと指摘した。
「1969年のアメリカの景気後退を参考にすると、リスク資産に関しては景気後退の兆候が出始めると、その始まりから6カ月までは株式市場が下落するが、その後は急速に回復するという図式が得られる」とアナリストは付け加えた。