マイクロソフトのサティア・ナデラCEO。
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生成AIがクラウドコンピューティングの売上を加速させるという期待にもかかわらず、クラウド分野の成長率は足踏み状態が続いている。
アマゾン(Amazon)、マイクロソフト(Microsoft)、グーグル(Google)の3大クラウドプロバイダーは先ごろ発表した第3四半期決算で、クラウド利用顧客は世界経済の先行きが不透明ななか、依然としてIT予算の精査を続けていると報告した。
2023年のクラウド売上成長率が失速したのは、上昇を続けるインフレ率や不安定な地政学的対立への対処を顧客が進めたことが原因だ。
グーグルが24日に発表したクラウド部門の四半期売上成長率は22%で、前四半期の28%を下回ったことで投資家を失望させた。同社は投資家に対し、成長の停滞は「顧客の最適化努力」、要するにコスト削減によるものだと説明した。
アマゾンのクラウド部門は、直近2四半期の売上成長率をいずれも前年同期比12%と報告した。2022年の同時期、AWS(Amazon Web Services)の売上はその2倍以上の成長を示していた。
アマゾンのブライアン・オルサフスキーCFO(最高財務責任者)は26日、決算前の説明会で「顧客によるコスト最適化は、依然として逆風だ」と記者団に語った。
マイクロソフトは第3四半期のクラウド収入を24%の増加と発表したが、これは予想を上回るAIサービスの売上によって押し上げられたためだ。同社はChatGPTの開発元であるOpenAIに数十億ドルを投資しており、AIサービスの販売でアマゾンやグーグルを先行している。
マイクロソフトのサティア・ナデラ(Satya Nadella)CEOは24日の決算説明会で、同社が2018年に買収したギットハブ・コパイロット(GitHub Copilot)は、2022年から40%成長したと述べた。しかしグーグルと同様に、マイクロソフトのクラウド関連インフラおよびサービスの売上も、顧客が「最適化」を進めるなかで伸び悩んでいる。
グーグルの経営幹部らはクラウド支出に関するアナリストの質問をはぐらかしたが、マイクロソフトのエイミー・フッド(Amy Hood)CFOは、顧客の予算意識の高さが続いているのは懸念すべきことではないという考えを示した。
「顧客はこれからもそうし続けるだろう。それはワークロードを実行する上で重要な部分。新しいことではない」(フッド)
ナデラも24日の決算説明会で、成長の鈍化を心配の種とすべきではないというフッドの意見に同調した。
「ワークロードが始まり、最適化され、また新たなワークロードが始まる。われわれはおそらく本会計年度の後半に、かなり極端な最適化サイクルに入っていくことになるだろう」(ナデラ)