ツイッター(Twitter)買収完了から1年、イーロン・マスク氏にはまだ実現していないアイデアがいくつもあるようだ。
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X(旧ツイッター)買収手続き完了から1年、イーロン・マスク氏は誰もが考えもしなかったような同プラットフォームの将来像を思い描いている模様だ。
10月26日、マスク氏とリンダ・ヤッカリーノ最高経営責任者(CEO)の提案でオンライン全社会議が開催された。
参加した2人の匿名の人物によれば、そこで話された内容のほとんどは、嫌になるほどいくつも進められているXの機能や仕様の変更に関することだったという。
証言者の2人とも、全社会議は基本的にあらかじめ用意された台本に従って進められたと説明したが、それでも「不規則発言」が全くなかったわけではないようだ。
Xはこの先1年かけてどんなふうに変わっていくのか。その青写真についてマスク氏は、「本格的な(full-fledged)」出会い系サイト兼デジタルバンクになると、興奮気味の口調で語ったという。
なお、オンライン全社会議で語られた他の要素については、米経済誌フォーチュン(Fortune)が、会議の直前に従業員宛てに送られたメールの中身は、テクノロジー専門メディアのヴァージ(The Verge)がそれぞれすでに報じている。
具体的にどんな出会い系アプリとしての機能が実装されるのか、そのような機能に対するユーザーの需要はあるのか、あるいは出会い系アプリの機能を持たせるためにこれ以上どのような変更を加えるのか、マスク氏は細かいところまで踏み込まなかったと参加者の一人は語る。
いずれにしても、現在利用されているほとんどの出会い系アプリが何らかの有料機能を提供していることを踏まえれば、今回マスク氏の口から語られたアイデアは、課金の必要な機能の追加を推進してきた同氏の方針と一致するものと言える。
Xの広報担当にコメントを求めたが得られなかった。報道関係者向けのメールアドレス経由でも対応を求めたが、「現在多忙のため、後ほどあらためてご連絡いただけますようお願いします」との自動応答が返ってきた。
マスク氏は冒頭紹介したオンライン全社会議でXの輝かしい未来を強調したものの、ここまでそれを信じて辞めずに残った従業員たちは納得していない。
全社会議を前に、複数の従業員が財務状態に関する質問を(マスク氏はじめ経営陣に)提出した。大手広告主の離脱に歯止めがかからない深刻な状況を各種メディアが相次いで報じており、従業員たちの懸念も当然だ。
メディア調査会社のコンバージェンス(COMvergence)によれば、マーケティングコンサル会社イービクイティ(Ebiquity)は世界の広告支出額上位100社のうち70社と取引があるが、そのうち2023年9月にXに広告出稿したのはわずか2社だけだった。前年同月の31社とは比較にならない数字だ。
他の従業員たちは現在の評価額についても質問を提出した。そのうちの一人は、Insider編集部の取材に対し、Xはいまだに「透明性ゼロ」だと吐き捨てた。
また、買収交渉中の2022年6月の従業員総会でマスク氏が約束した「スペースXが採用しているのと同じような」株式ベースの報酬制度が本当に導入されるのか、質問を提出した従業員もいた。
そして、前出の2人の証言者によれば、それらの質問は全社会議では取り上げられることはなかったという。