カリフォルニア州内での値上げについてはまだ決定していないとチポトレは述べている。
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- チポトレのある幹部は、カリフォルニア州の賃金上昇分のコストは、「間違いなく」メニュー価格を引き上げて顧客に転嫁することになるだろうと語っている。
- カリフォルニア州の新法案「AB1228」によって、2024年4月から時給は20ドルに引き上げられる。チポトレは最近、このこととは関係なく、メニュー価格を3%値上げしている。
- チポトレの広報担当者は、カリフォルニア州だけで値上げするかどうかはまだ決定していないと述べている。
アメリカのメキシコ料理チェーン、チポトレ(Chipotle)の幹部は、2023年の第3四半期の業績が好調だったのにも関わらず、店の商品の価格を引き上げることで、カリフォルニア州の新たな法律によるファーストフード従業員の最低賃金にかかるコストを「間違いなく」顧客に転嫁することになるだろうと述べた。
カリフォルニア州知事のギャビン・ニューサム(Gavin Newsom)が署名した新たな法案「AB1228」により、州内のファーストフード店従業員の最低賃金は2024年4月に時給20ドル(約3000円、1ドル=150円換算)に引き上げられる。カリフォルニア州の最低賃金は現在15.50ドル(約2325円)だが、2024年1月には16ドル(2400円)に引き上げられる予定だ。 これは連邦最低賃金7.25ドル(約1087円)の2倍以上になる。
チポトレ幹部は2023年10月26日の決算報告で、最近インフレを相殺するためにメニュー価格を3%引き上げたことを明らかにした。2021年6月以来、5回目の値上げとなる。
チポトレのジャック・アルトゥング(Jack Hartung)CFOは投資家に対し、2023年10月のメニュー価格の引き上げは、「来年(2024年)実施されるカリフォルニア州の賃金のことは考慮していない」と述べた。
アルトゥングはカリフォルニア州におけるチポトレの平均時給が約17ドル(約2545円)であることを指摘し、「我々の労働力のコストは大幅に増えるだろう」 と述べた。
「具体的にどの程度の価格設定にするかはまだ決めていない。一桁台%の半ばから後半の値上げになるだろうが、間違いなく実施する。最終的にどのくらい値上げするかを決定していないだけだ」と彼は話している。
同社の広報担当者であるエリン・ウォルフォード(Erin Wolford)は、この決算報告の後、Insiderに対して、まだ決定していないが、カリフォルニア州だけでの値上げになるだろうと話している。
「我々はそれを検討しているところで、おそらく、価格を一桁台%の中間(4~6%)か後半(7~9%)に上げる必要があると予想している」
チポトレはカリフォルニア州内に457店舗を展開しており、アルトゥングによると同チェーンの全店舗数の約15%を占めているというが、同社が公表している店舗数3300店以上という数からすると若干少ないようだ(計算上、3300店の15パーセントは495店となるため)。
チポトレは10月26日に素晴らしい決算を発表した。2023年9月30日までの四半期の総売上高は11.3%増の25億ドルとなったと同社は述べており、これはレストランの新規店と既存店の売上高の5%増によるもので、後者は取引量と平均売上高の両方の増加によるものだという。純利益は21.8%増加した。
ファーストフードの新たな賃金法案「AB1228」は、ギャビン・ニューサム州知事が2022年9月に署名した法案「AB257」、別名「FAST Recovery Act」に代わるものだが、「AB1228」は雇用者と労働者の双方から構成される「ファーストフード協議会」の創設なども盛り込まれている。
「AB1228」の下では、連邦政府のインフレ指標である消費者物価指数に応じて、州内のファーストフードの最低賃金を毎年年間3.5%まで引き上げることができる。
チポトレは決算発表で、同社の業績は「カリフォルニア州のAB1228法などの規制によるものも含め、賃金インフレの上昇や競争的な労働市場」によって影響を受ける可能性があるとしている。
11万人以上の従業員を擁するチポトレは、2023年9月30日までの四半期に全世界で6億1630万ドル(約922億円)を人件費に費やしているが、これはインフレを考慮しない場合、2020年の同時期から50%以上増加している。