「ホワイト水素」とは?…科学者たちは、これが世界を救うかもしれないと考えている

ドイツの水素発電所の内部。

ドイツの水素発電所の内部。

Jan Woitas/Picture Alliance via Getty Images

  • 水素発電はクリーンなエネルギーとして期待されている。
  • しかし、水素は通常、エネルギー集約的な方法を用いて研究室で製造する必要があった。
  • 新たに発見された水素源である「ホワイト水素」は、研究室での製造の必要性をなくす可能性がある。

フランスの2人の科学者が、気候変動緩和の救世主となりうるクリーンなエネルギー資源の、知られている限り最大の鉱床を発見した。

フランス国立科学研究センターの研究責任者であるジャック・ピロノン(Jacques Pironon)とフィリップ・デ・ドナト(Phillipe De Donato)は、600万トンから2億5000万トンのホワイト水素、すなわち天然由来の水素ガスの鉱床を発見したとCNNは報じている。

ホワイト水素は科学者にとっては比較的新しいものだ。2018年にマリの純度98%の水素ガスを発生する井戸を分析した研究により、この資源が科学界で注目されるようになったとCNNは報じている

現在、世界中の研究者がホワイト水素に関心を寄せており、気候危機から世界を救う動きの「スピードアップ」に役立つ可能性があると、地球化学者のヴィアチェスラフ・ズゴニック(Viacheslav Zgonnik)はCNNに語った。

ホワイト水素とは何か、なぜ特別なのか

水素エネルギーは新しいアイデアではない。水素は燃やしても水しか発生しないので、環境に優しいエネルギー源だ。しかし、つい最近まで、科学者たちは大量の水素は実験室でしか製造できないと考えていた。

アメリカ地質調査所の地球化学者、ジェフリー・エリス(Geoffrey Ellis)はCNNの取材に対し、「4年前に天然水素についてどう思うかと聞かれたら、私は『存在しない』と答えただろう」と述べた。

そして、エリスは間違っていたことがわかった。

ホワイト水素とは天然に存在する水素のことだ。その「色」はその起源を示し、ホワイト水素は地殻の中で自然に生成される。

他の「色」の水素は実験室で生成される。それには水を水素と酸素に分解する電気分解プロセスで作られるグリーン水素と、メタンガスから作られるグレー水素が含まれるとInsiderは以前報じている。

水素は最も豊富な元素だが、通常は他の分子とくっついているため、実験室での製造プロセスが必要になる。しかし、水素の分離にはエネルギーが必要で、通常は化石燃料が使われる。

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