HPが日本を含む12カ国の会社員らへの調査の結果を発表した。
撮影:今村拓馬
パソコン大手・HPが、日本やアメリカ、フランス、メキシコなど12カ国の計約1万5000人を対象にした調査の結果、日本は他の11カ国に比べて、仕事に不満を持っている傾向が強いことがわかった。
「好きな場所や時間に働ける職場で働くためならば、いくらまで減給してもいいか」という質問に対しては、グローバル平均は「11%の減給を受ける」という結果だったのに対し、日本は「21%の減給を受け入れる」という結果だった。
また日本はナレッジワーカー(知識労働者)のうち、「仕事との健全な関係性を築いている」としたのはグローバル平均が27%だったのに対し、日本はたった5%で12カ国で最も低かった。
世界の8割「働き方のためなら減給も構わない」
日本は「仕事との健全な関係性」という面で、最も低い結果になった。
出典:『プレスリリース HPワークリレーションシップ・インデックス』
調査によると「仕事をもっと愛することができるのであれば収入を減らしても構わない」と回答したのはグローバル平均では83%にのぼり、日本もほぼ平均並の84%だった。グローバル平均を大きく上回ったのは、インド96%やブラジルが92%だった。
また、許容できる「減給の幅」は国によって大きく異なる結果となった。
ブラジルとメキシコでは、仕事を愛するために認める「減給」は15%だったのに対して、インドと日本は21%の減給幅を受け入れると回答した。
HPの分析では「新興国のほうが希望の場所で働くために大幅な減給を受け入れる傾向がある」としている。
「常に仕事のやりがいを実感」日本はわずか5%
調査では「仕事のやりがいを感じるか」や「スキルへの自信があるか」、「在宅勤務ができるか」などについても質問した。
その結果、日本では、こうした質問に対して「常に実感している」とする回答が平均を大きく下回った。
- 仕事にやりがいを感じる…日本5%(グローバル平均28%)
- 私の仕事は目的を与えてくれる…日本4%(同28%)
- 仕事よりも心身のウェルビーイングを優先するよう奨励される…日本4%(同23%)
- 感情を伝えあうことを奨励される…日本4%(同23%)
- 人間的スキル(対人・パワースキル)に自信がある…日本3%(同31%)
- ハードスキル(ビジネス・技術スキル)に自信がある…日本3%(同31%)
- 簡単かつシームレスに在宅勤務ができる…日本5%(同26%)
- 特定の日に、オフィス勤務可リモート勤務かを選択できる…日本4%(同24%)
出典:『プレスリリース HPワークリレーションシップ・インデックス』
世界の傾向として「働き方」重視の傾向
調査結果について発表するHPのニュージーランドのカントリーマネージャー・Oliver Hill氏。
撮影:横山耕太郎
この調査結果については、10月15日から22日にシドニーで開催されたテックや音楽の複合イベント・SXSW Sydney 2023でHPが発表した。
HPのニュージーランドのカントリーマネージャー、Oliver Hill氏は、グローバルの傾向として収入よりも「働く時間や場所」を重視する傾向があるとし、次のように発言した。
「人々の優先順位は変化している。ボスに対して減給してくれとは誰も言わないが、自分の好きなところで働かせてくださいとは言うかもしれない」
また日本が、働き方の改善のために「他国よりも大きい減給幅でも受け入れる」とした結果については「日本は特に好きな場所で、好きなように働きたいと思っている傾向が強い」とした。
「前の世代と新しい世代とでは、人生の焦点が大きく変わってきている。より柔軟な働き方への配慮は、今後ますます重要性が増すと予想される」(Oliver Hill氏)
(取材協力・HP)